先日、突如Lil Peep（リル・ピープ）のSNSで告知されたサプライズリミックス曲「Falling Down Travis Barker Remix」がリリースされました。オリジナルは、去年、Lil Peepと同じくSoundCloud Rapシーンのカリスマだった故XXXTentacion（XXXテンタシオン）の遺作コラボ曲としてリリースされた曲でしたが、そのリミックスを手がけたのはTravis Barker（トラヴィス・バーカー）。
そう、かの有名なロックバンドBlink-182（ブリンク 182）のドラマーのTravis Barkerです。
Blink-182のTravis Barkerがリミックスしたことでよりロックスター然とするLil Peep
アメリカ時間7/11にリリースされたこのリミックスでは、Travis Barker自らドラムを叩いているため、SoundCloudラップ、エモトラップキッズにとっては非常にキラーな1曲。エモロックに影響受けたトラックを生前発表していたLil Peepだけにそのあたりの背景を知るファンにとっては”胸アツさしかない”はずだと思います。
原曲と比べてディストーションが効いた歪むギターリフが印象的なトラックは、トラップというよりは、もはやエモエモロック。またブレイクではTravis Barkerのドラムプレイも冴え渡っているし、とにかくもうロックというほかはなし。
Lil Peepはかねてから自分にNirvana（ニルヴァーナ）のKurt Cobain（カート・コバーン）のイメージを重ねていただけあって、グランジ/オルタナの匂いがするラッパーでしたし、実際に2枚のアルバム『Come Over When You're Sober, Pt. 1』、『Come Over When You're Sober, Pt. 2』でもそれっぽい曲が目立っていました。
Good CharlotteからのBlink-182の流れはエモい
特に代表曲「Awful Things」は、Lil Peepの死後にトリビュートとして、彼がファンだったバンド、Good Charlotte（グッド・シャーロット）がカバーしていたし、やはりこういったロック路線は彼の曲にマッチすると再確認しました。
またエモロックが好きな人にとっては、Good CharlotteとBlink-182はほぼ同時代に全盛期を迎えていたロックバンドだし、それがテン年代後期に彼らの音楽に影響を受けてきたエモトラップ世代ラッパーの曲を通じてリンクすることを考えるとまさに”エモい”気持ちになります。
『Enema of the State』収録曲「Adam's Song」にインスパイアされた「Falling Down」リミックス
ちなみにこのリミックスですが、Travis Barker曰く、Blink-182が1999年にリリースした名盤『Enema of the State』収録の代表曲「Adam's Song」にインスパイアされたアレンジを行なっているとのことです。
確かに聴き比べてみるとドラムのタムの叩き方とかコーラス、ブレイクの部分とかそれっぽい気がします。それとモロなのがバース。そこが実際に聴き比べてみて1番わかりやすい…。
ちょっと興味深いのが「Adam's Song」は、かつてバンドの若いファンが自殺のBGMに選んだ曲としても知られています。（メンバーのMark Hoppusは、そのことについて以前「賢い人が曲を聴けば、自殺に反対している歌だというのは分かるはず」とインタビューで本質的には前向きな曲だと発言）、そんなエピソードを持つ曲が、自殺や鬱をテーマにすることが多かったLil Peepの音楽とリンクするところは奇縁だなぁと思いました。
現在、Blink-182は、先述の『Enema of the State』発売20周年記念北米ツアーをラッパーのLil Wayne（リル・ウェイン）をゲストに迎えて行なっています。私は性格が悪いので、このタイミングで「Adam's Song」に影響を受けたリミックスがリリースされたということとは、ツアーの宣伝要素も含まれているのかなぁとちょっと邪推してしまいそうになります。。
ラッパーとの交流も深いドラマー、Travis Barker
Travis Barker自体は、以前からラッパーとの交流も深いドラマーで、これまでに先述のLil Wayne,のほかにEminem（エミネム）、 The Game（ザ・ゲーム）、Rick Ross（リック・ロス）、さらにはLil Peepの先輩格 $uicideboy$（スーサイドボーイズ）ともコラボ。
最近も収監中のラッパー、03 Greedo（03グリード）とのコラボEP『Meet The Drummers』をリリースしています。
今後もLil PeepのSNSから目が離せない
今年4月にもファン人気が高いものの、サンプリングの権利問題で長らく公式にリリースされてこなかった「Star Shopping」がサプライズリリースされており、油断するとリリースがあるLil Peep。
まさに『HUNTER×HUNTER』でいうところの”死後に強まる念”状態とでもいいましょうか? ファンの方は今後もこまめに彼のSNSをチェックしておく必要があるかと。（『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8のサントラにもTy Dolla $ign（タイ・ダラー・サイン）とのコラボ曲収録されていたし…）以上、お後がよろしいようで。
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Top Image via Lil Peep
