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ロンドンの若手ラッパー、CoultsによるUK音楽の伝統を感じる新曲「TRUST ME」を聴く

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以前、今、にわかにUKで注目を集めるロンドンのアンダーグラウンドヒップホップコレクティブ「LOVE SEPT」周辺のラッパー、HEN$HAW、BVDLVDの曲について、Twitterでババっと投稿していたのですが、それを見つけた同世代のロンドンを拠点に活動するCoultsというラッパーが、最近リリースされたばかりの新曲「TRUST ME」を送ってくれました。

 

Coultsは、日本人の血を引く人物で我々日本人とも縁が深い人物。以前は、YouTuberとして活動していたようですが、昨年夏にデビュープロジェクトとなるアルバム(ミックステープ?)『Excerpt from a Dream』をリリースして以来、現在はUKラップシーンで日々奮闘中のようです。

さて、現在は各種音楽プラットフォームで配信中の「TRUST ME」ですが、ジャンル的には「LOVE SEPT」などと同じく、今どきの若者らしく"エモラップ"スタイルでメロディラップ的なフロウが印象的な曲になっています。

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キレイめ、かつ、アンビエンスで心地良いウワ音のせいか、どことなくオルタナR&B的な装いも見せるバックトラックですが、個人的に注目したいのは終盤のパート。ボーカルがVaporwaveっぽくスクリューされるのですが、その感じはむしろ、Witchhouseを彷彿とさせる感じでした。

こういった1曲の中に複数の音楽要素を感じられるのもまた、今っぽい感性ならではのもの。と思うと同時にこういうジャンル横断、折衷的な感じもまたUK音楽の歴史を辿れば実にUKっぽいなとも思いました。ラッパーとしてのキャリアはまだ1年足らずだけに今後の活躍にも期待です。

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それにしても今や日本も含め、世界中の若者が自己表現の一環として、こんな感じで曲を作り、発表していることを考えるとヒップホップはもはやブラックカルチャーの一要素ではなく、人種の壁を越え、モダン・ユースカルチャーの象徴になっているんだということを改めて思いました。

ひと昔前、それこそ干支の1周前くらいのエレクトロ全盛期には"ギターをラップトップに持ち替える"ことがヒップなことの代名詞でしたが、時代は移り、"ラップトップをiPhoneに持ち変え、マイクを持ってスピットする"ことがヒップ。"←今、ここ感"がすごい。

 

イギリスのこの世代では今、black midiやBlack Country, New Roadのような新世代ロックバンドがにわかに注目を集めていますが、"ギターをラップトップに持ち替える"少し前は、「It Just Won’t Do」で知られるTim Deluxの影響で、ギターはリサイクルショップに売り払われるも、その数年後にはBloc Partyらの台頭で今度はタンテがリサイクルショップに売り払われるようになったという英国ジョークを昔、イギリス人の友人から聞いたことがあります。

そこからの"ギターをラップトップに持ち替えた"を経ての今ですが、今後、またそのカルチャーに揺り戻しが起きて、iphoneからギターに持ち替える時代がやってくるのかも気になります。このように見ていくと、いつも気がつけば"80年代リバイバル"がやってくるの同じ様にUK音楽の歴史においても"ギター"と"クラブ"というトレンドも交互に入れ替わっていることに気づきます。

なお、冒頭で出てきた「LOVE SEPT」やHEN$HAW、BVDLVDといった日本ではまだ聞き馴染みのないUKのアングララップ周辺に関してはこちらの記事で紹介しているので、気になった方は合わせてチェックしてみてください。

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