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噂のBehringer「TB-303」クローン「TD-3」は3色展開、販売価格は2万円以下になるそうだという話

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おそらく多くの音楽制作機材好きが「そのうちきっと…」と思っていたであろう機材がついに市場に姿を現すことに! 近年はクローンシンセシーンの台風の目、漫画「ONEPICE」風にいえば、「クローンシンセ王に俺はなる!」と言わんばかりの勢いで中古市場で高値を付ける類のハード機材の名機クローンを発表しまくっているBehringer(べリンガー)がついにやってくれました。

 

なんとRoland(ローランド)が誇るベースマシーンの名機「TB-303」をクローン化した「TD-3」がこの世に降臨するというから驚きです。

Behringerが「そこ、いっちゃいます!?」的なTB-303クローンをガチ発表

ただ、”驚き”の部分でというと、先述のとおり「そのうちTB-303のクローン化はするだろう」という、機材好きからしたらある程度は頭にあったというか結構なレベルで「そこは押さえておくべきところでしょう!」なところではあるものの、実際にやってしまうとなると逆に「そこ、マジでいっちゃいます!?」という意味での”驚き”の方が大きかったのではないでしょうか?(少なくとも私の中ではそう)

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TB-303今昔物語「Propellerheadsの"ReBirth"を思い出す」

というのも現在、本家であるRolandからは定額制で使用できるソフトシンセ・プラグインのサブスクリプションサービス「Roland Cloud」を展開しており、もちろんTB-303もソフトシンセ化済み。

確かその少し前だったかと思いますが、有名DAWソフト「Reason」で知られる機材メーカーのPropellerheads(プロペラヘッズ)は、当時販売していたTB-303のほかにもドラムマシーンのTR-808TR-909といったRoland系名機3機種をエミュレートしたソフトシンセ「ReBirth」のiOSアプリ「ReBirth RB-338」を知的財産権の問題で訴えられたことを理由に販売を終了させています(ReBirthのPC/Mac版もかつては存在しましたが、そちらは2005年に製造終了)。

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ちなみにこのソフトと「Recycle」という波形編集ソフトが昔はPropellerheadsから販売されていましてですね。2000年代初頭にDTMerの中ではかなりの人気ソフトになっていたことを記憶しています。

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これは私の肌感的なものですが、その当時はDAWといえば、Ableton Liveとかでなく、Digital Performer(DP)。ちょっとクリエイターぶりたい場合はそれとAppleの「Power Mac G5」を持っていればそんな感じになれたし、アマチュアでも一目置かれていたような時代でした(笑)。

 

TB-303今昔物語「”Digital Performerを独学で学ぶ”とプロフに書いていたファッション関係者を思い出す」

それでいうと誰だったっけな? 確か有名なファッションブランドのデザイナーだったか、ディレクターだったかの方のプロフィールに”学生時代に英語版のDigital Performerを独学で学ぶ”みたいなことが平然と加えられていたことがありました。

当時の私なんかにしたらその一文は、そこはかとなくカッコよく思えたし、モダンを通り越して近未来を感じましたね。

閑話休題。

Rolandは今では先述の「Roland Cloud」だけでなく、今はTB-303をコンパクト化したRoland Boutiqueシリーズの「TB-03」も発売しているので、Behringerがもし、TB-303のハードウェアクローンを作るというなら、それは完全に喧嘩を売っていると取られても仕方なきこと。

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特にTB-303は数あるRoland製品の中でもTR-808、TR-909と比肩するアイコニックな機材でダンスミュージックのジャンル自体を作ったというレベルで存在感を放つ名機中の名機なわけで...。

 

Behringer”808”クローン問題

ただ、近年、BehringerはTR-808、TR-909のクローンを制作していることも公にしているだけでなく、TR-808クローンの「RD-8」に関しては日本国内でも年内中に発売を予定しています。

そのあたりはもう「そんなの関係ねぇ!」精神で押し通そうとしている感さえありますし、TB-303クローンに関してもそれを”先例”化しているからこそやっていることのように思えてなりません。

まあ、Behringerのクローンは身も蓋もない言い方をすれば、いわゆる"パクリ"なわけですが、例えばさっきのRD-8にしても販売価格は3万7800円(税別)という価格面での魅力やオリジナルにない機能も搭載させるなど、厳密にいえば丸パクリではない仕様になっています。

ただの「TB-303」クローンに止まらない「TD-3」の魅力的な部分

今回の「TB-303」クローンである「TD-3」に関しても、機能面ではオリジナルになかったMIDI、最大16ボイスのポリチェインなどを搭載している模様。

笑えるのはこのオリジナルにないディストーションエフェクト搭載という部分。これまでのリーク情報によれば、このエフェクトは、なんとRolandの関連会社のBOSS(ボス)のエフェクター「DS-1」をモデルにしたものだそうで、ある意味やりたい放題みがものすごいなぁと思う次第です。

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ただ、Rolandは昨年、こういったクローン対策からかTR-808、TB-303をドイツで商標登録をしたことも報じられています。それにはどうやら先述のBehringerによる「RD-8」が影響しているとの声も大きいようです。

そんなこともあってか、Behringerは、オリジナルを彷彿とさせるシルバーボディ以外にも赤と青の2色を加えた3色展開で発売することを発表。

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その実機のパフォーマンス動画がBehringerの公式YouTubeで公開されていますが、その4:25あたりではDaft Punk(ダフト・パンク)のクラシック「Da Funk」のあのフレーズが演奏されているシーンもありました。

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販売価格は日本円で約1万8000円、予約開始という報道も

そんなわけで気になるのは販売価格ですが、その場合も気になるのは”Behringerならではの低価格”がどれくらいに設定されているか? なのですが、キタ、コレ!!!! お値段なんと149ユーロ、日本円で約1万8000円!

余談ですがRoland Boutiqueシリーズの「TB-03」の現在の市場販売価格が5万円ほどだということを考えるといかにコスパの面で光るものがあるかがよくわかるかと。

このように価格面で非常に魅力的なTD-3ですが、音質面でもBehringerがこだわるフルアナログ回路での再現サウンドになるため、単純な劣化版コピーに止まらないという点もやはり大きな魅力と言えるでしょう。

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Synth Anatomyによるとすでに海外では予約がスタートとのことだったので早速、その予約可能なサイトを覗いてみたみたのですが、なんらかの事情があったのか残念ながらそのページはそこに存在せず…。

でも、メーカーが公式にYouTubeに動画をアップしているくらいだし、とりあえず発売されることには間違いないはず! それを楽しみに待ちたいと思います。そして、どうせ発売されるなら多くの人に行き渡るように量産型ザクくらい量産してほしいものです。以上、お後がよろしいようで。

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Top Image via Synth Anatomy

Reference:Synth Anatomy, RA, RockOn