新型コロナウイルス流行の影響を受けて、ここ日本でも音楽はじめ、さまざまなエンタメ関連のイベントが開催自粛による中止を発表しています。
音楽でいえば、中止を発表しているのは大規模イベントだけでなく、ライブハウス、クラブサイズのイベントもその流れを踏まえて、ここ数日、そういった自粛による開催中止をアナウンスするSNS投稿も以前より多く見かけるようになりました。
“イベント自粛”による損失カバーのオプション「YouTubeライブ配信 電子チケット」
海外に目を向けても欧米や中東、アフリカでの流行が連日報道されており、音楽関連のイベントではアメリカで今月開催予定だったULTRA MIAMI 2020、SXSW 2020が正式に今年の開催中止を発表するなど、新型コロナウイルス流行による影響によるこういったイベント開催自粛の流れはもはや日本のみならず、世界的なものになっており、今後、さらに加速されそうな予感…。
OFFICIAL NOTICE: pic.twitter.com/oIQwKXTiIw
— Ultra Music Festival (@ultra) 2020年3月6日
An Update on SXSW 2020. Please read our full statement here: https://t.co/P56nF8KFmE pic.twitter.com/ouJPKM9GNy
— SXSW (@sxsw) 2020年3月6日
とはいえ、自粛が進むとウイルス感染拡大防止という面では一定の効果があるのかもしれませんが、こういった自粛ムードによるイベント中止は事業者にとっては死活問題。現在、そのような状況を受けて、国や民間でもイベント中止による事業者の負債をカバーする特別融資や建て替えなど、様々な救済措置も行われています。
ただ、そういった措置は事業者からすると一時的には非常にありがたい反面、あくまで一時的な救済措置であり、要は融資であるため、返済の義務も生じるわけで。そういったことを考えると状況改善に向けた劇的な”カンフル剤”というより、経営判断のひとつのオプションという印象です(もちろんこれがありがたいという事業者も相当数いることだろうし、特に民間企業によるこういった取り組みは素晴らしいと思います)。
自粛による影響も顕在化してきた
ただ、イベント中止による影響はすでにこういった業界で生計を立てる方々を直撃しており、日本経済新聞によるとフリーランスのミュージャンはイベント中止により、今年3月だけで収入は6割以上の人が10万円以上の収入減になる見込みと報じています。
このようにダイレクトに被害を受ける人間が出てきてしまっているわけですが、今回のような災害は健康的な被害だけでなく、経済的にも人間を襲うことになり、今、より確実な対策なり補償が行われないと今後さらなる悲劇につながる可能性も十分に考えられます。
またフリーランスで活動されている方は、ミュージシャンに限らず様々な業界におられるため、音楽業界への支援のムードが高まるのはもちろん喜ばしいことですが、経済が疲弊していくということはすべてのフリーランサーにとって死活問題になります。
かくいう私も自営業者であるため、この問題が早期に解決されることはもちろん祈りつつも、正直な話、様々な要素が複雑に入り乱れる現在においては、徐々に先行きの不安もリアルに見え隠れしてきたことも少なからず感じている今日この頃です。
イベント参加の場合は、各ベニューが掲げている方針を遵守しよう
とはいえ、経済というやつは社会と密接に関連しているため、ここがどうにかこうにか正常運転化することが社会的に急務だと思うため、色々な事情はあるかと思いますが、個人的には元気なうちはイベントに参加したり、なんらかの形で社会との関係性は保っていくことができたらと思う次第。
ただ、その場合も例えば音楽イベントに参加するのであれば、各ベニューが現在、掲げている方針への理解も必須。今こそ、マナーを守って正しく遊ぶ必要ありありなわけです。
CIRCUSへお越しの方へ
— CIRCUS Tokyo (@CIRCUSTOKYO) 2020年3月6日
新型コロナウィルスの感染拡大予防のため、ご来場のお客様へご理解とご協力をお願い致します。 pic.twitter.com/aBOUsODAcN
以前、ご紹介した3/14に名古屋にオープンするclub GOODWEATHERもこんな感じで対策を発表されています。
club GOODWEATHERは予定通り3月14日のオープンを踏まえ、コロナウィルス対策をいたします。
— GOODWEATHER (@goodweather_org) 2020年3月5日
会場の衛生、除菌対策と共にスプレーの常設
次亜塩素酸水を用いた加湿及び空気清浄機の全域設置
分煙室設置導入までは全面禁煙
HACCP管理の徹底
会場入場時に非接触検温
を実施いたします(続きます
イベント開催による収益が見込めない時こそ、別の可能性を探る必要性
このようにエンタメを取り巻く環境は日増しに厳しくなっていますが、最近、見かけたツイートで興味深い意見だと感じたのが、こちら。
こういう時こそ儲けないと死ぬだけでは?ファンも観れないことに嘆いているのであって観れるのであれば対価を払うのは妥当。リアルに価値があるなら値引きすれば良い。課金したいファンもいる。無料にするのは何故ですか。その会場や人件費や芸術は無料になってないでしょ?
— お蛇 (@chinshonatsuyo) 2020年3月6日
記憶に新しいところではBAD HOP、NUMBER GIRLの無観客配信ライブやTGCの無観客配信ショーなどが話題になりましたが、先述のツイートにあるようにこういう時こそ、能動的にオンラインでアーティスト、スタッフ、事業者がマネタイズできる仕組みがもっと広がれば良いなぁと思いました。
もちろん、無料配信でこういったイベントの内容で盛り上がれることはもちろんありがたいし、リアルなファンなら音源買ったり、マーチ買ったりとアーティストを支えることはできますが、事業者側をサポートするのはかなり現状、オンラインからでは特に今今となると難しい。ただ、なんらかの形でそういった方々にも収益が行き渡るシステムがあれば…。
もちろん”リアルな現場体験”が重視されるライブ事業においては、配信とは比べるまでもないことかもしれませんが、日本のように自然災害も多い国だとこういったことも今後は十分視野に入れてオプションとしてのカードも持っておくと非常事態にもいくばくかの助けになるではないでしょうか?
「イベント参加方法」の選択肢が与えられる
そういう意味で、最近電子チケット販売システム「ZAIKO」がローンチした新システム「YouTubeライブ配信 電子チケット」は非常に興味深いです。先述のような新型コロナウイルス流行によるイベント自粛の流れを受けて、開発されたものとプレスリリースにある同システムですが、ポイントはユーザーがオン/オフラインでイベントに参加できる、つまり参加形態の選択肢がユーザーに与えられる点にあります。
例えば音楽好きでアーティストだけでなくお気に入りのヴェニューやイベンターをサポートしたくとも持病を抱えていると現場に足を運ぶのはやはりリスクがあります。しかしながら、もし、そのイベントが配信されていれば、自宅でそれを楽しみ、その対価としてお金を支払うことも可能なわけで。そのための配信ライブチケットをこのシステムでは販売することができるのです!
現在のところ、配信ライブといえば”無料”という印象も少なからずあるため、配信ライブ用のチケットを購入するという感覚の浸透はまだまだ日本では現実的に難しいかもしれませんが、今後、こういった流れも多角的にイベント業界を支援するという意味で広がっていってほしいですね。
また新型コロナウイルス流行が収まった後も十分、配信ライブチケット販売はミュージシャンの収益面においてはプラスになりますし、チケット完売でライブ、イベントに参加したくとも参加できない人にとってはまさに選択肢のひとつになり得るはず。
”表現に関わる仕事”にもサスティナビリティを
“ライブ体験”には一家言ある人も多く、それ故に様々なご意見があるとは思います。しかし、私としては”表現に関わる仕事”が生活の糧になっている方のことを考えると、こういった音楽ファンと表現者、それを支える事業者をつなぐ経済的に”サスティナブル”なシステムはもっと世の中に実装されてほしいなぁと思う次第。
なお、ZAIKOはイベントの出演者が自ら電子チケットを発見して集客することが可能だったり、データ分析・顧客管理機能にも強みがあるサービスなので、色々と使い道はあるのではないかと。
めちゃ余談ですが、私は昨年の中村佳穂さんの配信ライブをたまたま観たことをきっかけにファンになったものの、彼女の人気の高さ故に、毎回がライブチケットが光の速さで完売するため、まだ生で観たことがありません。ですので、近い将来、こういう配信専門のチケットを販売することで現場でのライブチケットが買えなかった人もライブを楽しめるという機会が与えられることになればいいなぁと思います。
またその意味で、今後、今話題の”5G回線”の大容量・低遅延通信という特性を活かした配信ライブが普及すれば、こういうサービスはより浸透するのではないかと思ったり…。
あと、ファンとしての布教活動を少しばかり。最近公開された中村佳穂 "アイアム主人公" うたのげんざいち 2019 in STUDIOCOASTと『アイアム主人公』Official Art Track、めちゃ良い感じなのです。是非、ライブアレンジとの比較を楽しんでみてください。
「ZAIKO」の「YouTubeライブ配信 電子チケット」の詳細はこちら。
以上、お後がよろしいようで。
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