letter music

日々更新される音楽情報を雑談を交えて文字化するWebzine

Twitterの投げ銭機能「Tip Jar」の普及はいかに面倒臭いの壁を乗り越えられるかが鍵だと思うという話

f:id:fantasydub:20210511113332p:plain

先週末、かねてから予告されていたTwitterの投げ銭機能「Tip Jar」がついに導入となりました。

 

Twitterユーザーが自分がサポートしたいユーザーに対して、投げ銭できるTip Jar。この機能では、相手のプロフィールに登録された決済サービスを使い、投げ銭することが可能になります。

Twitterのブログによると5月7日の時点では、Tip Jarは、英語圏のユーザー向けの機能で、英語設定のiOS版とAndroid版のTwitterアプリであれば、全ユーザーが投げ銭が可能。但し、投げ銭を受け取ることができるユーザーは、クリエーター、ジャーナリスト、非営利団体など一部のユーザーのみで、現時点では誰もが投げ銭を受け取ることはできません。しかしながら、今後はより多くのユーザーのプロフィールに追加されるようになり、英語以外の言語にも拡大されるとのことです。

そんなわけで実際に英語設定にすれば使えるのかなと思って、Twitterを英語設定にしたところ、すでに投げ銭を受け取れる送金サービスを登録しているユーザーにはこんな感じで投げ銭画面が表示されました。

f:id:fantasydub:20210511113842p:plain




ちなみに同じ投げ銭対象ユーザーのプロフィールを日本語設定で開いたところ、英語設定と同じようにそのユーザーが設定している送金サービスが表示されたので、現在は日本語設定でも送金する相手側さえ、設定を済ませていれば送金自体はできそうな感じです。(実際には送金まではやっていないので確かなことは言えませんが、少なくとも送金サービスの画面まではたどり着けました)。

f:id:fantasydub:20210511114018p:plain

 

そんなTip Jarですが、BBCのニュースを見ているとおもしろいことを発見。それによると、この機能はいわゆる"バズったら宣伝"にルーツがあり、バズったツイートにそのツイ主が送金サービスやPatreonのアカウントのリンク先を投稿していたことに影響を受けて誕生した機能だそう。そのことを考えると"ユーザーの間で育まれてきたTwitter文化から生まれた機能"だと言うこともできそうです。

www.bbc.com

ちなみにTip Jarでは、現在、投げ銭を受け取るクリエイターは、Cash App、PayPal、Venmo、Patreon、Bandcampなどのアカウントを送金手段として紐づけることができますが、私のような音楽ファンだとBandcampが紐づけられる点はかなりありがたいです。

とはいえ、将来的には漫画アプリなどのように携帯のキャリア決済のようにスマホの使用料とあわせて支払えるようになれば、少なくとも投げ銭する初動の心理的なハードルに関しては大分下がるのになぁと思ったり...。

これは送金サービスの初期設定さえしてしまえば、どうとでもなる問題でもあるため、Twitterにそのようなことを求めるのもアレですが...。ただ、中にはわざわざ送金サービスのアカウントを作って...というのが面倒臭いと思う人もいるはず。

私はnoteでのたまに記事を書いていますが、noteも記事を購入したり、投げ銭するにはアカウントにクレジットカードを紐づける必要があります。日常的にnoteを利用して、記事を購入して読んでいる人はさておき、そうでない人の場合は意外とそこまでして...という心理も少なからず働くと思うので、意外に呼びかける側である私からしても投げ銭系のコンテンツはハードルが高い印象があります(それを言えばBandcampも結局アカウント作って、クレジットカードかPaypal情報を紐づける必要があるのでアレですがそうですが)。

こういったコンテンツにお金を支払う場合は、投げ銭する側の対象への熱量はまず必須として、投げ銭のための心理的、物理的なハードルを以下に低くするかは結構ポイントではないかなと。

 

以前、00年代に携帯の着メロ、着うたが爆発的に広がった理由には、クレジットカードを持てない未成年でもキャリア決済ができたことに関係があると聞いたことがあります。

スマホだと今は各種サイトのアカウントを使って一度でもログインして支払い情報を入れると、ログインパスワードも記録できて、結構簡単に支払いを完了できます。しかしながら、テクノロジーによって、そういったことが可能になっても、意外と人の本質というか、面倒臭さには勝てない部分は確実にあると思うので、今後、こういったサービスはいかにスマホと相性を良くするのが肝なのかなと素人ながらに思いました。

ただ、実際にTip Jarを触ってみたところ、Twitterから直接、送金アプリを選んで送金するまでのフローは思っていた以上にスムース。さっきのBBCの記事じゃないけど、確かに"バズったら宣伝"の延長でTwitterユーザーに投げ銭を呼びかける、導線としてはかなり優秀なのかもしれません(Twitter自体は手数料取らないしね!)。

もちろん、誰もがマネタイズできるわけではありませんが、それなりのファンベースを持つクリエイターだと確かにあったらありがたい機能だし、"投げ銭を呼びかける"こともまたTwitterがいう、"新しい会話"=コミュニケーションでもあるので、近年、個人クリエイターの経済的な独立性に注目が集まっていることを考えるとコミュニケーションツールであるSNS的には今、取り入れるべき機能なのかもしれません。

余談ですが、この前ラランドのメンバーのニシダ氏がファンからのLINE Payの送金で生活しているみたいな記事を見かけました。私も面倒臭さを例に挙げたり、世間的にもあれこれ言われていますが、そのことを考えると実際に推しのために送金するようなコアなファンは確実に存在するので、予想以上にTip Jarも普及するんじゃないのかなと。

というわけで私のアカウントはまだTip Jarは使えませんが、その練習として、そして、クレジットカード登録という面倒臭さに打ち勝った証として、私のnoteに投げ銭をして頂けたら泣いて喜びます(笑)。ぜひ、ご検討ください。

ちなみに私のnoteのおすすめ記事はこちら。

BOREDOMSのEYE氏などが出演したXRイベントで使われた「音と映像を同時に奏でる楽器”QUASAR”」を用いたパフォーマンス"QUASAR XR"に関するインタビュー記事です。

 J-WAVE(81.3fm) SONAR MUSIC 新世代UKヒップホップ特集に出演させていただいた際にお話ししたUKドリルについての記事です。Drakeと結びつくことでグローバル化が進んだUKドリルのくだりは結構おもしろいと思います。

今や世界各地のラッパーが取り入れているトラップ。そのグローバル化において、大きな役割を果たしたのは、2012年に"ハドモ"ことHudson MohawkeとLuniceが、TNGHTとして、トラップを取り入れた『TNGHT EP』をリリースしたことだと思います。しかし、それよりも先にハドモと同郷のプロデューサーのRuskoがトラップを取り入れていたことをGucci ManeやDiploとの交流から仮説的に論じてみました。

▶︎あわせて読みたい

▶︎Follow letter music Twitter! 


Top image via pixabay