2月のBandcamp Fridayが今週金曜日に行われ、当日はbandcampクラスタの方は登録済みのお気に入りアーティストやらレーベルからのアラートメールでメールボックスがエラいことになっていたかと思います。
Bandcamp Fridayの趣旨としては、コロナ禍に喘ぐアーティスト(及びレーベル)支援のためのもので、通常Bandcampが差し引く手数料を受け取らず、その分もアーティストに還元するといったいわば、サスティナブルなアーティスト活動のための崇高な企画なのは重々承知ですが、やはり、メールが大量に来すぎるのも考えもの。
特にそういう趣旨だということを理解はしているだけに、新作リリースの案内メールが来ても、やはり限りある財源からお金を払うので物理的に買えない場合は、どうしても罪悪感に苛まれるというか...。ホント、通知してくれたアーティスト、レーベル全員の音源買えなくてごめんなさいという気持ちもあって、心苦しさを感じてしまう部分もあります。
その大量の通知メールを含め、このBandcamp Fridayの状態を知り合いのアーティストがこんな風に表現していました。
bandcamp hangover saturday
— loscil (@_loscil_) 2021年2月6日
マジで言い得て妙です。
というわけで、いきなり冒頭からこの素晴らしきエコシステムの落とし穴にハマってしまっている感じもある私ですが、今月のBandcamp Fridayでの注目盤をここでひとつご紹介。
現在は脱ダブステップし、テクノ/ハウス系のDJ、プロデューサーとしても活躍しているダブステップのパイオニア、レジェンドの1人として一時代を築き上げた男と言えば、ご存知ダブステップの聖地、ロンドンはクロイドン出身のSkream(スクリーム)。
その彼がこのコロナ禍以降にスタートしたBandcamp Fridayにあわせて、過去2回リリースしているのが、自身のプロデューサーとしての活動初期の未発表レア音源をまとめた『Unreleased Classics』シリーズです。
先述のような彼のステイタスから、今となっては"ダブステップのSkream"イメージは、世間的に払拭されていると思いますが、自分ら世代だとSkreamといえば、"ダブステップ"、"クロイドン"、"Big Apple Records" といった重大ワードがついて回るし、代表曲を挙げろと言われれば、一番に挙がってくるのはやっぱり不動のダブステップクラシックとして名高い「Midnight Request Line」なんですよね。
そんな「Midnight Request Line」のアンリリースド・バージョン「Requestline VIP」が、なんと今回のBandcamp Fridayにあわせて、最新未発表曲集にしてシリーズ第三弾『Unreleased Classics Vol.3』に収録される形でリリースされました。
Bandcampページによると同未発表曲集には、2003年〜2007年の間に制作された未発表曲8曲が収録されており、「Requestline VIP」は、元々はSkreamと同じく当時から若きダブステップDJ/プロデューサーとして頭角を表していたYoungstaのためのエクスルクルーシヴとして制作されたものとのこと。
また以外にも2曲目に収録されている「Deeper Concentration」という、いわゆる王道のUKダブステップ風味満載の曲も「Requestline VIP」と同じくYoungstaのためのエクスルクルーシヴだそうです。
同未発表曲集には他にもラガダブステップ系の#1、ブロステップほどノイジーではない、あの頃のダブステップの歪んだウォブルベースが印象的な#7などが収録されています。
ダブステップの黎明期からアンダーグラウンドで盛り上がり出した時期に制作された、まさにSkreamの秘蔵音源という感じの作品ですが、こういったダブステップ系の未発表曲集のリリースも今回で最後。ただ、本人曰く、最後に最高のものを持ってきたとのことですが、「Midnight Request Line」のVIPは、私にとってはそのとおりすぎて...。
UKダブステップに関しては本日、こんな面白い動画を見つけました。UKのダブステップの歴史を解説する動画ですが、タイトルが「All My Homies Hate Skrillex | A story about what happened with dubstep.」で、パンチ効きすぎ。
なので、そういうこだわりがある人には特におすすめ音源なのかなと思います。以上、お後がよろしいようで。
▶︎Follow letter music Twitter!
▶︎あわせて読みたい