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DJ Boringが語る「Winona」制作秘話とそこからデジタルで作るLo-Fiハウス制作方法を考えてみた話

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昨今の4つ打ちダンスミュージックシーンで、注目を集めているジャンルといえば、Lo-Fiハウス。そのLo-Fiハウスの代表するアンセムの1つがDJ Boringによるハリウッド女優のウィノナ・ライダーのインタビューをサンプリングしてLo-Fiな質感のディープハウスに付け加えたのが「Winona」だというわけなのですが最近、その作り手であるDJ Boringが自ら同曲の制作秘話を語るというインタビュー動画が公開されていました。

DJ Boring語るLo-Fiハウス名曲「Winona」制作秘話動画

Lo-Fiハウスシーンにおける最大級のヒット曲 「Winona」なんですが、この曲は冒頭でお伝えしたとおり、女優ウィノナ・ライダーの声をサンプリングした奇妙な90s回帰的キャッチさーがウケて、人気YouTubeチャンネル「Slav」などを通じてネットを中心にカルトヒット。

特にSlavで公開された動画は今では300万回以上もの再生記録をカウントするなど、リリース当時完全に無名だったDJ Boringを一躍有名プロデューサーへと押し上げるきっかけになりました。

youtu.be

Winona

Winona

  • DJ Boring
  • ハウス
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

「Winona」と『ストレンジャー・シングス』の関係

またその人気に火がつきだした2016年当時は、ウィノナ・ライダーが出演したNetflixのドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が流行したこともあり、『シザー・ハンズ』、『リアリティ・バイツ』、『17歳のカルテ』など90年代の映画界におけるウィノナ・ライダー再評価も行われたため、彼女の画像や動画もよくネット上では見受けられるなんてこともありました。

前置きが長くなりましたが、そのウィノナ人気にあいまって「Winona」はよく知られたLo-Fiハウスアンセムと化したわけですが、DJ Boringのインタビュー動画では、自ら同曲を制作当時、『ストレンジャー・シングス』をよく観ていたので、そのウィノナ・ライダーによる「It’s difficult to be judged~」という同曲でもフィーチャーされたインタビュー動画をサンプリングネタにすることを決めた的なことを語っています。

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元ネタのインタビューはこちら。

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そのインタビュー動画を制作した音楽メディアFactでは、それに先駆けDJ Boringは、同メディアの名物企画「Against The Clock」に出演。そこでは設けられた10分間を使って即興で曲を制作する姿を確認することができます。

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DJ Boringの制作環境は意外にデジタルだった件

ちなみにLo-Fiハウスという、かつてはアナログハード機材を使ったロウハウス(Raw House)とも呼ばれていたジャンルだけあって、どんなアナログハード機材を使って音楽制作をしているのか気になっていたのですが、その動画を見る限り、メインDAWは、Ableton Liveで、Rolandの新世代ハードドラムマシーンTR-8を使用。他にはRoland Cloud版Jupiter 8、Juno-106、TR-808などのソフトシンセ、打ち込みは鍵盤の代わりにAbletonのPushを使用して音楽制作を行っているようです。

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「Winona」自体はLo-Fiハウスアンセムというだけあって、読んで字のごとく音質はLo-Fiなので、ちょっと以外。そういうところは今っぽくて、ミックスやマスタリングの段階でそういう質感に編集しているのかな〜なんて思いました。

個人的には、最近、これはLo-Fiハウス制作に使えそうだなと思える、デジタルの汚し系プラグインを発見したので、そのあたりすごく気になります。

 

“デジタルで作るLo-Fiハウス”に使えるプラグイン

ついでにそのプラグインをちょっとこの場でご紹介。機材メーカーのiZotopeが無料で提供する「Vinyl」は、デジタルで制作した音源をあたかもアナログレコードを再生した時に発生するようなノイズを加えるプラグインで、Lo-Fiな質感をそこに加えることができます。

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調べていると、こちら、”傷がついたアナログレコード”のその傷つき具合まで細かく設定できるそうなので、かなり面白そうです。フルデジタルの場合、同じく機材メーカーのNormard Factoryが販売する「MAGNETIC ll」というプラグインもアナログのオープンリールレコーディング効果を加えることができたりするので、合わせて使うと”デジタルメイドのLo-Fiハウス”制作に力を発揮してくれそうです。

あと、DJ Boringは動画でドラムパートのTR-808にNative Instrumentsのエフェクター系プラグイン「Guitar Rig」を差し込んでいたので、その方法で音を荒くするというのもありだなと思いました。

Lo-Fiハウスに興味があって、制作してみたいという方は是非1度お試しあれ!

iZotope - Vinyl
Normard Factory - MAGNETIC ll
Native Instruments - Guitar Rig

なお、DJ Boringについては以前、1度記事にまとめましたので、この記事を読んで興味が出た人はそちらもチェックしてみてください。

最後に「Winona」では、DJ Sabrina The Teenage DJというイギリスの若手女性DJ/プロデューサーが制作したフリーダウンロード可能なブートレグリミックスがあります。

soundcloud.com

このDJ Sabrina The Teenage DJは、80sシンセポップをメインにしたDJ Mixや、そういったテイストのサンプリング系Lo-Fiハウスなどを制作しているので、なかなか興味深い存在です。彼女の音楽については近いうちにご紹介したいと思っています。

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Top Image via Slav

Source: FACTmagazine1, 2, Who Sampled