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冬のCRZKNY祭り、WEG、ハバナイ、サニーデイ・サービス関連最新3曲を聴く

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2017年も残すところ残り5日。世間的には有名音楽サイトや個人ブログが今年のベストアルバムとかを今月に入って発表しまくりですね。でも実は私はアルバムBest50とかはまだしもBest10を選ぶくらいでもぶっちゃけキツイ。それだけ音楽聴いてないのか? と疑われそうですが、実はその逆。

というのも私は某巨大資本が運営する雑貨店のユニークな小物などについても謎なコラム(ちなみに先日ワンオフで入った仕事は池袋の乙女ロードについてのコラム)を書いたりもしていますが、仕事として音楽や映画に関する文章を書いて生計を立てているフリーランス・ライターの端くれでして、もちろん音楽に関しても普通の人よりは大分聴いている方だとは思います。

結論からいうと年間ベストアルバムとか選べなかった

ですので、いわゆる年間チャート上位に入ってくるようなアルバムはもちろんチェックしていますし、このブログで取り上げるようなよくわからない80sのインダストリアルコンピとかまで1年を通して聴いている身ではあるのですが、昨今のデジタル音源、ストリーミングとかになってくると、アルバムを仕事として1枚通してまるまる聴くことは意外と1〜2回程度で、後は収録曲をかいつまで聴いていることが多かったなぁと振り返ってみて思いました。例えば、仕事がデキるタスク管理とかが得意な人ならそういう時ようにプレイリストを作ったりするのでしょうが、物臭な私はひたすら記憶を頼りに聴きたくなった曲をSpotifyなり、SoundCloudなりで検索しているので、たまにメロとかは頭に浮かぶものの、タイトルが出てこず、この前、往年の乙女ハウス的ジャパニーズおしゃれハウスの金字塔Free Tempoの曲を聴こうとしたらi-Depだったということがございました…。

結果『Meridian』がベストでした

とまあ、そういう前置きがあるのですが、年間ベスト、アルバムで選ぶというか、マジでよく聴いたというものをあげるとそれは広島が生んだ鬼才、というか日本の音楽シーンをぶっ壊しかねない危険なお方、CRZKNYが今春リリースしたアルバム『Meridian』かなと思います。これに関しては先ほどよく聴いたと書きましたが、それは紛れもない事実で、それ以上にアルバム単位で記憶に残るアルバムが私の中ではこれ以外になかった。

youtu.be

Lana Del Rey、SZA、Kelela、Gorillaz、Phoenix、Drake、Kendrick Lammer、Migos、Ride、ギャラガー兄弟それぞれのソロ、、King Kruleとかとにかくアルバムを聴きましたが、1枚通して記憶に残っているのが『Meridian』。CD3枚組、しかも鬼ノイズ、鬼低音、鬼ビートという歴史的なアンダーグラウンド・ビューティフル・スカム・シットが、そう考えると私的2017年ベスト1 of 1となります。それぐらい衝撃があるアルバムでした。

春先に外で歩きながら、聴いていた時、私は路傍に咲く美しい桜の花を見たのですが、それを綺麗だと認識する間もなく『Meridian』サウンドはその光景を燃やし尽くす。そんなイメージが逆に綺麗。多分、その時、私の中で今年のアルバムベストは決定したのかもしれません。まさにボジティヴな意味でCRZKNYの呪い。Phoenixの『Ti Amo』も良かったんですけどね。その「空想の中の真夏のイタリア」ですら、脳内に残った『Meridian』の残り火で燃やされたような気がします。まさに一生燃え続ける地獄の業火。漫画の必殺技のようなアルバムと言えるでしょう。

閑話休題。

そんなこんなで年末を迎えたわけなんですが、ここ数日の間、CRZKNY関連作が立て続けに3作リリースされていました。実のところ、その中で最初にリリースされたworld's end girlfriendの「LAST WALTZ(CRZKNY REMIX)」のことを告知されているのをTwitterで見たときから気になっていたものの、何しろ年末でバタバタしていて、今日の今日まで聴けませんでした。その直後にリリースされたハバナイ、サニーデイ・サービスのものについても同じくという状況。

 

冬のCRZKNY祭り、3曲一気聴き

しかし、ようやくこの3曲を、律儀にもリリース日順に聴いてみたところ、春先から続くCRZKNYの呪いは健在。29日にもあと1曲リリースがあるそうなので、厳密には「冬のCRZKNY祭り」怒涛の4部作なのでしょうが、現状、勝手に私の中では3部作。そこも『Meridian』を彷彿とさせます。

曲の感想を述べていくとworld's end girlfriend - LAST WALTZ(CRZKNY REMIX)は、ゴスっぽくて『Meridian』からの架け橋といった感じ。ダークなドローンで低音エグくて、金切りデス声のようなノイズ、一瞬無音っぽくなってピーという甲高い音がなるくらいから耳がトリップするドラッギーな曲。なので『Meridian』が好きなで未聴の方はまずはこちらからどうぞ。

次にHave a Nice Day! - Riot Girl (CRZKNY mix)。これは1月に発売されるハバナイのアルバム「Dystopia Romance 3.0」からの先行曲だそうです。同曲のオリジナルといえば、『Meridian』リリパ東京場所でもご本人がオープニングでプレイしていた記憶が。ちなみにリミックス版はイントロがまさかのNew Orderの「Blue Monday」オマージュ。その時点で一気に持って行かれたのですが、曲調がまさかのドがつくシンセPOP。完全にMGMTの「Kids」でまたもや度肝を抜かれます。普通にエモいし、キャッチー。イベントとかのラストでDJがプレイしたら大合唱が起こる系で、CRZKNYの引き出しの多さに感服しました。

最後にサニーデイ・サービス - 抱きしめたり feat. CRZKNY。この曲も9月のモジュラーシンセイベントでのライブで聴いたかな。逆再生っぽく聴こえる高音とえぐい低音が交互に攻め立ててくる感じがヤバし。イメージ的には前から後ろから間髪なく責められるようでもあり、迷い込んだ先の迷路で上から下からという感じで壁が飛び出してくるような感じです。メロウなギターのメロディはフリで、低音ヤクザに因縁をひたすらつけ続けられるような感じで素晴らしいです。ミニマル出し、超トリッピー。ちょっと前にネットでバズったテクノ法要みたいなイベントでこの曲聴いたら、涅槃に見せかけた地獄に行けそうです。

こんな感じで一見タイプが違う3曲でしたが、結局CRZKNYのクレイジーさを余すことなく堪能できるというファンなら出会うべくして出会う必然性の高い3曲だったというのが感想のまとめ。3曲通して聴くと原宿のカリスマ店員だかなんだかのオネエキャラに弄ばれるなら、シモーヌ深雪と一夜を過ごしたいという願望を叶えてくれるような気分にさせてくれます。(シモーヌ深雪をご存知ない方は各自、グーグル様にお尋ねください)

来年も完全プライベートで抜きで「ベストアルバム2018年」みたいなものが選べなかったとしたら完全にCRZKNYのせいです。それくらい年の瀬にやられました。素晴らしい。残りの1曲も楽しみです。

しつこいくらい出てきた『Meridian』というワードが気になった方へ

最後に余談ではありますが、本文中、何度も出てきた『Meridian』というワード。決してSEO対策ではないですよ。私的ベストアルバム2017なこちらに関して書いた記事やリリパにいってヤラれた話を記事化していますので、良かったらそちらも読んでみてください。よろしくどうぞ。 

Text by Lady Citizen aka JF