新型コロナウイルス禍で需要が高まるライブ配信。現在、有名音楽プラットフォームが著名アーティストを集結させた音型配信イベントをチャリティーを目的に毎週末行なっており、そういった配信イベントのことを海外音楽メディアでは最近”バーチャル・レイヴ”と形容するようになってきました。
音源のライセンス問題をクリアしたライブ配信プラットフォーム「Mixcloud Live」
また先述のような著名DJでなくともローカルDJやお宅DJたちも連日、自宅から自身のDJセット配信を行う機会が増えており、それに伴い、その”手引き書”のような記事もよく見かけるようになってきました。
このようにアマチュアDJたちのライブ配信DJセットが増えるにつれ、トラブルになってきそうなのが著作権が原因でのBAN。FacebookやらPeriscopeのような有名プラットフォームだと音源のライセンスに引っかかりBANされることも決して少なくないのではないでしょうか? (個人的な肌感覚だと三大メジャーレーベル関連作品だと結構そういうことがありそう。実際にTwiterで某フェスのステージの様子を撮影して公開したところ、何度かSNSのアカウントを凍結されそうになったことがあります)
そのようなトラブルを回避してくれそうなのが、このほどMixcloudが発表したライブ配信プラットフォームの「Mixcloud Live」。こちらはほかのライブ配信プラットフォーム、例えばFacebook LiveのようにOBS, Wirecastなどのストリーミングソフトウェアと組み合わせて使用することができる仕様になっているようです。
DJ Magによりますと「Mixcloud Live」リリースは、先述のような事情で増えたライブ配信が急増するに伴い、増えたライセンス、著作権問題を受けてのものとのこと。では、なぜ「Mixcloud Live」がこういったライセンス問題を解決するかというと、これはMixcloudのシステム上の優位性が大いに関係しているからだといえます。
Mixcloudのライセンス処理により、BANの心配なくライブ配信DJが可能
Mixcloudは現在、ライセンスされたプラットフォーム、つまりラジオ局などのようにユーザーが使用した楽曲のライセンス料をロイヤリティ管理会社に支払う形態になっています。そのため、例えばユーザーがMixcloudに自身が録音したDJ Mixを合法的にアップロード、公開することができます。またそういったライセンス処理が行われているため、Mixcloudの有料ユーザー向けプラン「Mixcloud Pro」には「Select」のようなマネタイズ機能が備え付けられています。
「Select」に関してはすでに知られた機能なので、ここでの説明はごくごく簡単にとどめさせていただきますが、この機能ではユーザーが持つチャンネルをほかのユーザーに向けて月額制のサブスクリプションチャンネルとして提供することで、そのサブスク料を収益化することができます。
その支払われる収益はもちろんMixcloudが手数料やライセンス料を差し引きますが、現在は新型コロナ禍で影響を受けたDJ含むクリエイター支援のため還元中です(2020年3/20より3ヶ月限定)。
そのあたりはこちらの記事を呼んでいただけたら幸いです。
5/2追記:Mixcloudは楽曲のライセンス料をロイヤリティ管理会社に支払う形態とっていますが、完全に"合法"とするのは、著作権法の観点から抵抗があると法律家の方が問題提起されています。
訴えられるリスクは高くないと思います。
— Eisuke Mizuguchi (@eisukewater) 2020年4月29日
Mixcloudが原盤利用の許諾を取っていない楽曲の権利者が、楽曲の使用を認識すること自体困難だと思いますし、仮に認識できてもコストをかけて法的手続をとることは考え難いと思います。
ただ、それをもって著作権クリアと称するのは私には抵抗があります。
この件に関してTwitter上で興味深い議論が行われています。
「Select」機能が備われば合法的にライブ配信DJでマネタイズできそう
興味深いのは、この「Select」機能がライブ配信にも備われば、DJ配信も合法的にサブスク形式でマネタイズできるようになるというところ。正直、海外の専門家からは大型イベントを再開できるのは2021年になるという見解がでていることから、プロアマDJ問わず、クラブやフェスの現場でDJしてギャラをもらうというのはしばらくは無理めな感じがするだけに、ファンからの定期的な支援が受けられる「Select」と組み合わせることで、ライブ配信DJセットの収益化も合法的に”民主化”されるのではないかなと思ったり…。
そうなってくると、選曲やテクニックだけでなく、映像演出のクオリティも”加点”ポイントになり、DJセットの配信の価値を引き上げることにもつながりそうですね。これまでは体験に価値がありましたが、今後しばらくは映像面での視覚的な"体験"もDJセットの良し悪しに関わってきそうです。
ちなみに私はこんな映像演出が加えられた配信は配信ウケポイントが高いんじゃないかなと思います(もちろんDJセットなので選曲が最重要ですが。あとキャラのライセンスねw)。
Quarantine party lvl 100: Green Hill Zone
— comrademassie (@ComradeMassie) 2020年4月5日
Watch the full set here: https://t.co/L3cGtrBRyP pic.twitter.com/MPMl3JpmJK
「Mixcloud Live」は現在、限られたユーザー向けのβ版のみ公開中で、早速YouTubeでレビューしている猛者も。ほかのプラットフォーム同様にURL、ストリームキーが必要になってくる模様。このあたりはこれまでにOBSのようなソフトを使って配信されている人には抵抗なさそうですね。
需要が高まっているだけに早めのリリースをお願いしたいところであります。以上、お後がよろしいようで。
追記:一般ユーザーも「Mixcloud Live」使用可能に!
先日、β版が開放されていたと報じられていた「Mixcloud Live」ですが、Mixcloudが公式にサービスをローンチしていました。
Mixcloudのブログによると、「Mixcloud Live」は、有料プラン「Mixcloud Pro」向けの機能となり、記事でもこうなったらいいな予想として挙げていた「Select」との連携による収益化も可能とのことです。
現在は先月から行われている「Mixcloud Pro」90日間無料トライアルキャンペーン中なので、DJセットのライブ配信をず試してみたい人はすぐにスタート可能です。
ちなみに「Mixcloud Live」使用登録画面にある「START A 90 DAY TRIAL」をクリックすると、「Mixcloud Pro」の90日間無料トライアル登録画面に進みました。
個人的に胸アツなのはなんといっても先述の「Select」との連携。このサービスは有料プランではありますが、仮にユーザーが有料プランを解約した場合も、ユーザーのチャンネルにサブスクファンが付いている限りは、ファンからのサブスク料が収益として入ってくる仕組みになっています。ですので、とりあえずライブ配信でマネタイズを試みたい方は90日間無料期間にサブスクしてくれるファンを囲い込むことに全力を投じてみるのが吉です。というわけで私ものちほどいじってみようかなと。
なお、配信に使えるソフトはXSplit、Streamlabs OBS、Wirecast、vMix、Lightstreamとのこと。現在は「Mixcloud Live」の使用ガイドも公開されています。
Mixcloud Liveの使用登録はこちら
Mixcloud Liveの使用ガイドはこちら
あわせて読みたい記事はこちら
Follow letter music Twitter!
Reference:
https://djmag.com/news/mixcloud-announce-new-live-streaming-platform