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Juice WRLDがXXXTentacionとLil Peepを追悼する『Too Soon..』発表、さらにC.O.S.A.も追悼曲公開で染みるという話

f:id:fantasydub:20180622225537p:plain大きな話題となったXXXTentacionの銃殺事件。先日、容疑者に関しては色々とネット上で噂があったものの、Dedrick Devonshay Williamsという容疑者が逮捕され、今後の捜査の進展に注目が集まっています。

Juice WRLDがXXXTentacionを追悼

そんなタイミングで、目下、大躍進中の若手SoundCloudラッパーのJuice WRLD(ジューシー・ワールド)が、XXXTentacion(XXXテンタシオン)と昨年の11月に亡くなったLil Peep(リル・ピープ)の二人を追悼するための作品『Too Soon..』を発表していました。

 

次のスターSoundCloudラッパーJuice WRLD

Juice WRLDは、シカゴ出身の現在19歳の若手で、今年3月にシングル「Lucid Dreams」をリリース。同曲は最近の全米シングルチャートBillboard Hot 100でも6位をマークするなどロングランヒット曲となっています。

Lucid Dreams

Lucid Dreams

  • Juice WRLD
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 トラックのスタイルとしてはいわゆるEmo Trapで、サンプリングネタになっているのは、Sting(スティング)の有名曲「Shape of My Heart」で、あのフレーズもばっちり曲中で聴こえてきます。

Shape of My Heart

Shape of My Heart

  • スティング
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

MVは、SoundCloudラッパー御用達の「Lyrical Lemonade」のCole Bennettが手がけており、トラックの音にマッチしたエキゾチックな仕上がりで、このMVにStingがさらっと出演していても違和感ないなという感じです。

youtu.be

それにしてもCole Bennett、かつてのJ-Popでいうところのダウンタウン浜田に頭を叩かれたら売れるジンクス並みに彼がMVを手がけると売れるというジンクスが囁かれてもおかしくないくらい次世代スターラッパーに関わっているなと。

XXXTentacionとLil Peepに思いを馳せる追悼作『Too Soon..』

閑話休題。

そんなJuice WRLDの先輩格にあたる2人のSoundCloudラッパーXXXTentacionとLil Peep追悼作品『Too Soon..』には、「Legends」と「Rich and Blind」の2曲が収録。これらの曲は現在はYouTubeとSoundCloud両方で視聴可能ですが、SoundCloudでは、Emo Trapらしく「Rich and Blind」のプレイヤーには#Alternative Rockというハッシュタグがついていて、個人的にはグッときます。

追悼曲その1 「Legends」

というわけでここでまず「Legends」についてご紹介したいのですが、Geniusでチェックしたところ、こちらの方が、もう1つの「Rich and Blind」よりもこの記事を執筆している時点ではページ閲覧数は多くなっていました。

youtu.be

ちなみに「Legends」のリリックで特に胸に突き刺さったのは1バース目、

What's the 27 Clu-u-u-ub? We ain't making it past 21

という部分。”the 27 Clu-u-u-ub”というのは、以前、XXXTentacionの訃報を紹介する当Webzineの記事でも触れた、27歳で夭折したJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリクス)、Kurt Cobain(カート・コバーン)、Jim Morrison(ジム・モリソン)といった伝説のミュージシャンたちのことを指します。やはり、この部分は音楽に関わる人間にとってはどうしても引っかかる部分なのでしょうね。

続く”We ain't making it past 21”は、20歳で亡くなったXXXTentacionと21歳で亡くなったLil Peepのことを指します。こちらも先述の記事で触れたのですが、新世代のカリスマは27歳ではなく、21歳で夭折するというある意味で、新しい不幸なジンクスとして捉えられていることは印象的です。

次に印象的だったのは

Yeah, hold on, just hear me out They tell me I'ma be a legend
I don't want that title now 'Cause all the legends seem to die out
What the fuck is this 'bout?

という部分。ここの”Legends”は、XXXTentacionとLil Peepのことを指し、先述の「Lucid Dreams」のヒットで売れっ子ラッパーの仲間入りをしたJuice WRLDだけに、次のスターであるポストXXXTentacion、ポストLil Peepの座に座ることはほぼ確定、既定路線なわけですが、ここで彼は、売れてレジェンドになっても死んだら意味なくない? 的なある意味で率直、ある意味で悟ったようなリリックをスピットしている点は非常に単純明快かつ深いなと感じます。

それ以外にはインタールードの

I’m tryna make it out I'm tryna change the world
I'm tryna take her out I'm tryna take your girl
More importantly, I'm tryna change the world
Maybe flex with some diamonds and pearls, yeah

も胸にグサっとくる部分で、2人の夭折したラッパーたちは生前、アーティスト活動が成功し、巨大なファンベースを獲得。そこで彼らは世の中を良い方向に変えていくためにその影響力を使い、支持層に訴えていくことでそれを実現しようと考えていました。Geniusの解説によると、特にXXXTentacionは、暴力的なイメージや実際に元カノ暴行といったスキャンダルがあったものの、今年5月にはチャリティー財団「Helping Hand Foundation」を母親とともに立ち上げることを発表していたり、NGO団体の「Miami Children’s Initiative」のパートナーになっていたりもしました。

XXXTentacionの場合、そのスキャンダルから訃報が報じられた際、自業自得だと口にする人間も少なからずいましたが、こういった社会貢献活動にも実際は取り組んでいたことはもしかしたらその暴力的なイメージのため、多くの人には伝わらなかったのかもしれません。

これを受けて、Juice WRLDは、有名になり、影響力を持った限り、”Legends”たちの意思をついで世界を良い方向に変えてやると意気込んでいるところは、素直にすごいし、「君、ほんま立派な19歳やで」と言いたくなります。

 

追悼曲その2「Rich and Blind」

youtu.be


もう1つの曲「Rich and Blind」では、SoundCloudラッパーあるあるに触れており、例えば、

I know I have a purpose, but I don't see the purpose
They tell me the death of me gon' be the perkys
I know they laced pills, I bought them on purpose

という部分では、”Perky”はこの世代のトレンドドラッグ「パーコセット(Percocet)」のことで、以前の曲でもドラッグについてラップしていることから彼もそれなりには他の同世代同様それなりに嗜んでいることは明らかです。しかし、他のスター同様、特にLil Peepのようにドラッグ中毒や過剰摂取はその命を縮めることになると自分の周囲が心配していることをこの部分のリリックに込めていたりします。

またそのほかに、

We die in three like musketeers

という部分では、XXXTentacion、Lil Peep以外に第3のラッパーの死を嘆いていますが、その3人目は現時点では誰かというのは明確でなく、Cheef Keefの従兄弟で今年1月に亡くなったFredo Santana、もしくはXXXTentacionと同日に射殺されたことが報じられたJimmy Wopoではないかとネットでは推測されている模様。

それ以外には、「なぜ、俺たちは死ぬために生きるのか?」と哲学めいたリリックの場所があったり、Netflixの人気ドラマ『13の理由』を引き合いに出し、自殺について触れていたりもします。

そして曲の後半のコーラス部分ではそんな少し精神的に不安定な部分を感じる彼の思考を読み解きたい、もしくは心配する人間がいるが、そうしたところで、結果は満足できるようなものにはならず、ただ、彼の不確実かつ不安定な思考回路に気づくだけだとラップしていたりするため、こちらはある意味で先述のハッシュタグ然りで、非常にEmo Trapを感じる作品だと私は感じています。

それにしても毎回Geniusのアノテーション職人たちには頭が下がる思いですね。今回も色々と興味深いことを知ることができました。

 

日本人ラッパーC.O.S.A.によるXXXTentacion追悼曲「XXX」

長々とJuice WRLD/『Too Soon..』について述べさせていただきましたが、最後に国内からのXXXTentacion追悼曲となったC.O.S.A.の「XXX」に触れたいと思います。

soundcloud.com

この曲はXXXTentacionのトラック「Carry On」をビートジャックし、その死を追悼する内容であり、彼以外にも2PacのようにC.O.S.A.に影響与えたと思われる故人となったラッパーにも触れられています。こちらは日本語のため、私的にはJuice WRLDによる追悼作品よりもストレートにグサグサと胸に突き刺さり、染みるなぁというのが感想です。

若い時は「明日なんてものはいつまでも続く」と思いがちですが、やはり文豪志賀直哉が「城の崎にて」で示したように「人間はの生は常に死と隣り合わせで、ただ何者かの力によって生かされているにすぎない」ということが改めて脳裏に過ぎりました。

というわけで、今週末は本棚から志賀直哉を引っ張り出して読み返してみようかなと思います。以上、お後がよろしいようで。

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source: Complex, Wikipedia1, 2, Genius1, 2