哲学書執筆、トランプ大統領支持、黒人奴隷説など4月のTwitter再開以降、ともかく話題を振りまきまくってきたKaye West(カニエ・ウエスト)が、かねてからの宣言どおり6/1に新作アルバム『ye』をリリースしました。
「I Thought About Killing You」が1番好きだったものの…
私はまだ一周しか聴けていないのでアレですが、特に5曲目の「No Mistake」、「Ghost Town」なんかはKanye Westらしいレアグルーヴ系サンプリングだな〜という感じと変に今のトレンド、Trap、Trapしてないところが良いな〜というのが感想ですかね。
ただ、1曲目「I Thought About Killing You」の前半の逆再生音っぽいサンプルとか後半のビートが入ってくる部分のアンビエントっぽいサンプルは個人的には好物の部類でカッコいいな〜なんて思っていたら、この曲、実はベルリンの実験電子音響系レーベル「PAN」から去年リリースされたコンピ『Mono No Aware』収録曲からの無断サンプリングだったそうです。
Kanye samples mono no aware smh
— PAN (@PAN_hq) June 1, 2018
PANコンピ『Mono No Aware』収録曲Kareem Lotfy「Fr3sh」が無断サンプリング
といっても現段階ではKanye West側からの正式な発表とか謝罪はないので、まだ完全に公式にクロというわけではないのですが、PANのオーナーBill Kouligas曰く、「I Thought About Killing You」の後半部分のアンビエントテイストな上物は、『Mono No Aware』収録のKareem Lotfy「Fr3sh」とのこと。
実際、聴き比べてみると、ああ、確かにと思えるレベルなので、「あっ、Kanyeやってんな〜」と思えたりもしますが、今回の無断サンプリングについて、Bill Kouligasは、「音楽カルチャーの頂点にいるようなヤツが、アングラアーティストの曲をわざわざ無断でサンプリングしてリリースしてんじゃねえよ! これは頂点による下々からの吸い上げだ、搾取!」的な感じで怒り心頭になっており、その主張も確かに理解できるなと。有名なアーティストがオリジネーターでないにも関わらず全部手柄を結局持って行ってしまう的な...。
Kanyeのために創作活動をしているようなものじゃないか!というパンチライン
さらにパンチラインなのが、「これでは我々はKanye Westのために創作活動をしているようなものじゃないか!」という彼の弁。個人的にその情報を知らずに最初は聴いていたので、「I Thought About Killing You」実は、このアルバムで1番カッコいいと思っていただけに、ある意味Kanyeの手口というか、そういうものにまんまと引っかかっていたなと思った次第。まあ、もちろん、なんらかの曲からのサンプリングだというのはこれまでの作品傾向からわかってはいましたが…。
ただ、もちろん、Kanyeクラスなら気持ちよくサンプリング使用料払ってあげてよ。という気持ちにはなりますが、まさか彼がPANの音源に目をつけるなんて! という驚きも少なからずあります。掘ってんな、Kanye。そこは不謹慎ですが感心した部分ですかね。
今後のPANとKanye Westの間で法廷闘争が行われるか気になるところです。ただその場合、もちろん勝手なイメージですが、Kanye側はその資金力にものを言わせてとんでもなくハイクラスの腕利き弁護士を雇いそうだなと。
『Mono No Aware』好内容ですぞ
最後に余談ですが、『Mono No Aware』は、ローマ字読みからもわかるとおり、こちら日本語の「もののあわれ」という概念にインスパイアされたエクスペリメンタル/アンビエント曲集になっています。例のレーベルオーナーのBill Kouligasをはじめ、Yves Tumor、M.E.S.H.、そして以前ご紹介したPan DaijingとHVADとのコラボ曲「Zhao Hua」なんかも収録されていたりと、内容的にbvdub系のドローン、アンビエント系なんかが好きなら存分に楽しめるかと思いますので、気になった方は是非ご一聴あれ。
なお、PANからは、先月、CRZKNYが地獄記念日ライブを披露したイベントのヘッドライナーだったVisionistも以前、リリースを行なっています。
▶︎あわせて読みたい記事はこちら
Top Image via Genius
Source: Fact