先週末5/19~5/20に京都・スチールの森で行われた関西の名物クラブミュージック系フェスのThe Star Festival 2018に参戦してきました。
The Star Festival 2018参戦を振り返る
毎年、コアなクラブミュージック好きの好みをピンポイントで突く、通なラインナップに定評がある同フェス。今年もJimmy Edgar、Mathew Jonson、Ikonika、Zip、Talaboman、Florian Kupfer、Ivy Lab、Shigeto、寺田創一ら出演という豪華なラインナップで、初回の出演アーティスト発表の時点でかなり気になっていたため、えいや! と東京から新幹線含む電車を乗り継ぎ、京都は南丹市のスチールの森のまで足を運んでみました。
ただ、出発日5/19の午前中は仕事関係で色々やらなければいけないことがあったため、自宅を出たのがなんと午後2時頃。そんな体たらくだったので会場に着いたのは大体午後7時頃でした。また会場は山奥のため、その時間にはあたりはもう結構な暗さ。そこから会場内を散策し、ますは持ち込んだテントを張ることができる場所を探すという流れの中で、私のThe Star Festival 2018がスタートしました。
いつもどおりピースフルだった寺田創一
そんな一連の流れ、"到着の儀"を終え、最初に見たのはクラブシーンにおける世界的なジャパニーズクラシックハウス再評価の立役者、ご存知、寺田創一のライブ。当日の夕方にはその彼と彼の盟友横田信一郎による音楽制作のワークショップが行われていたのですが、先述のとおり、到着時間がそれをとっくに過ぎていたので間に合わず。無念。
閑話休題。
しかしながら、寺田創一ライブはさすが。いつもどおりハウシーなトラックと別プロジェクトのOmodaka系民謡の織りなす彼にしか成し得ないピースフルなライブセットが展開されていました。
寺田氏のライブに関しては、これまでに都内でのイベントのサポートDJを何度かさせて頂いたこともあったり、結構な回数を拝見させて頂いているわけですが、それでもいつ見ても素晴らしい。とにかく踊れるし、何より先ほども言いましたがピースフルの一言に尽きるのです。また今回は野外でのライブということもあり、その感じは輪をかけてピースフルでした。
キャンプ初心者が1人でテント張りに挑戦するも苦戦する
次にそのライブ終わりで一旦テントを張ると決めた場所に戻り、寝床作り作業を開始。私は最近アウトドアって良いなと思い出していたため、今回は人生初の1人アウトドアを敢行。しかし、知人から借りたテントがてっきり1人用の簡単に貼れるサイズのものかと思いきや、そうではなく、説明書を見ると"作業は必ず2人以上で行なってください"という無慈悲な注意書きあり。魂が一瞬で何かに吸い出され、真っ白になりました。
もちろん、私は「1人でテントなんか張れない~」なんて、キュートなセリフが似合う可愛い子ちゃんではないため、会場のキャンプ玄人な殿方の支援など受けることなどなく、涙ながらに作業開始。しかし、これが難しい。
特に私は完全にアウトドア初心者のため、とにかくこの作業は困難を極め、四苦八苦しながら真っ暗な夜空の下、あーでもないこーでもないと独り言を連発。そして、心が折れそうになるも、聴こえてくるステージからの音に励まされながらなんとか作業を完了。やりきった...。しかしながら、おそらく私のテントはその日会場に集まった多くのテントの中で1番不恰好なテントだったと思います。
Jimmy Edgarのレアグルーヴ飛び道具にやられる
とまあ、そんな思わず白目になるようなことがあったわけですが、気持ちを切り替え、個人的にその日のお目当の1つだったデトロイトが産んだ早熟の天才、Jimmy Edgarのプレイを聴くために足早にステージ方面へ。これは私が勝手に言っていることで恐縮ですが、Jimmy Edgarはその早熟なキャリア故、私の中ではデトロイトの元祖ワンダーボーイ的存在です。
"デトロイトテクノはジャズをテクノに変換したもので、Jimmy Edgarはデトロイトテクノをジャズに再変換した"
これは昔、雑誌で読んだ彼の作品レビューにあった一節ですが、そのパンチライン的な文章がすごく好きで、まさにそれを体現している名曲「I Wanna Be Your STD」にどハマりした経験があります。
その後、Scubaのレーベル「Hotflush」からのテクノとハウスの中間地点を行き来するようなトラックなどにもヤラレ、今に至る。というファン遍歴ですが、当日もそのテイストは健在。
ただ、そのセットの中でディスコ系レア・グルーヴのCarmen「Time To Move」をブッ込んできたところは結構な衝撃で、私のこれまでのクラブ遊びの経験からくる勝手な持論「良い海外のDJはセットの中に飛び道具としてレア・グルーヴを放り込んでくる」説にピッタリだったため、テンションぶちアガり。良いもの見れた感がハンパなかったです。
ちなみにJimmy Edgarは今週末5/25にはCircus Tokyoでの東京公演を控えているので、そちらにも足を運ぶつもりです。
Mathew JonsonとJohnny Dub
続いて登場したMathew Jonsonは、アシッドな音からスタート。序盤はかなりドープだという印象でしたが後半は結構アゲな展開だったなと。
また私はその間、小腹が空いたためフードエリアを散策。そこにはお酒以外にケバブ、カレー、ラーメン、ソーセージ、コーヒーを販売するキッチンカー、The Star Festival 2018と人気セレクトショップJournal StandardのコラボTシャツを販売するブースなどもがありました。
私はなんとなく関西に来たということが頭にあったため、まずは大阪・堂島を想起させる堂島カレーを購入。当日の夜はかなり冷え込んでいたため、その程よい辛さが良い感じに身体を温めてくれました。
そして、その裏手の方にはRedbullのブースがあり、そこでBoiler Roomにて"あまりにもレイヴすぎる"内容(動画を観てお察しください)を放送したために、当時のイギリス首相からも苦言を呈されたという伝説を持つLEVELSというマンチェスターのベースミュージッククルーがいるわけですが、そのメンバーのJohnny DubがありとあらゆるベースミュージックをミックスするDJを披露。そのプレイがめちゃ良かったので、また観たいなと思います。
ジャンルレスで圧巻のプレイだったTalaboman
そんな感じで会場を散策しつつ、食事やお酒を飲んだりしていると、ついに1番のお目当だったTalabomanの2人が日付が変わった午前0時頃に登場。ディスコ・ダブやトラバル系、ミニマルテクノ、エクスペリメンタルテクノなどかなり幅広い選曲で繰り広げられていくDJセットは最高しかなかったです。
Talabomanのアルバムは、ともかくズブズブでドープなトライバル色が強い内容だと個人的には感じていたものの、ネットで公開されているいくつかのミックスは、そのテイストは引き継ぎつつも、また違う感じ。そのため、当日はどんな感じになるんだろうかと以前からかなり楽しみにしていました。その時間帯の冷え込みもなかなかのものでしたが、彼らのプレイはまさに寒さを吹き飛ばす圧巻のプレイだったと言わせて頂きたいですね。
そして、Lo-FiハウサーFlorian Kapperにステージのバトンは繋がれ、ゆるめのBPMからそのセットがスタート。40分が経過したところで、私の初日は終了。このフェスで1番不恰好なテントで仮眠という流れに。
個人的には田中フミヤ優勝だったThe Star Festival 2018
2日目。朝7時頃、むくりとテントの中から這い出し再びステージへ。その時はジャパニーズテクノ・レジェンド田中フミヤがプレイしていましたが、それが早朝の眠たさを吹き飛ばすドープなセットですごく良かったです。
それから2時間くらい踊ったり休んだりを繰り返していると先日の夜の天気とは一転、晴れ間も広まり、徐々に気温も上昇。10時過ぎくらいにはかなり暖かく、過ごしやすい感じに。その後Zipが登場してちょっとしてから私は所用があったので、泣く泣く会場を後にしました。
個人的な総括としては、Talabomanも捨てがたいものの、ベテラン感というかテクノの匠さがひしひしと伝わってきた田中フミヤがやはりベストでスタフェス優勝という感じですかね。うん、田中フミヤ優勝で間違いないです。
The Star Festival会場内の感想
最後に会場内の感想も少し。会場に到着した際は、暗かったので周りがどうなっているかよくわからなかったのですが、会場のスチールの森は、噂に聞いていたとおり、超大自然といった感じ開放感がハンパなかったです。子供連れの方も結構おられて、ドープなテクノが鳴り響く中、子供が無邪気に主にキャンプサイトエリアを走り回るなど、かなり心和む場面も多々見ることができました。
またステージからおそらく半径100~150mくらい(個人的かつ勝手な目測によります)の場所にもテントを張っている人が結構いました。夜通しステージから近い場所で休憩しながらフェスを楽しめるという演者との物理的な距離の近さもこのフェスの魅力ではないでしょうか。
それと会場内には電源の貸し出しもあったり、洗い物ができる水道スペースに加えて、靴洗い専用の蛇口もあったりと、これが何気にすごく助かりました。というのも夜の間はあまり気づかなかったのですが、ステージがある場所近くにはいくつかぬかるみポイントがそれまでの天気のせいでできており、気づかずに何度か足を取られてしまいました。そのため次の日の朝に履いていったブーツを見るとかなりドロドロになってしまっており、ちょっとこのまま帰るのもなーと思っていたのですが、そこである程度泥を落とすことができたのは先述のとおり助かるなと。
私は電車をメインの移動手段として会場まで行っていたため、あまり汚れたブーツだと、帰宅する日が特によく晴れていただけに気がひけるなと思っていたので、そのありがたさはひとしおといった感じでとにかく助かりました。
電車メインでも楽々快適な会場への移動
あと先程、電車をメインに移動と言いましたが、公共交通機関を使ってのアクセスの良さも噂通り魅力的でした。京都駅で電車を乗り換えて園部駅というところまで行き、その駅を降りると会場まで15分のシャトルバスも運行。そのバスは片道500円の乗車料金がかかりはするものの、自動車で会場まで行くという選択肢がなかった私にとってはポイント高し。おそらく京都駅からトータル1時間ちょっとくらいの時間で会場まで行ける点は、大いに交通の便が良いと言えるでしょう。
大自然の中で音楽も楽しめるかつアクセスも良好なThe Star Festivalは、野外フェス入門という面でとても優秀なコンテンツだと思いました。特に都市型以外の野外フェス慣れしていない人にとっては、最初に経験しておくべき野外フェスだと言えるでしょう。
というわけで来年までに個人的にはもっとアウトドアスキルを高めて、次回はBBQなんぞにもチャレンジしたり、今回は参加できなかった朝ヨガも試してみたいですね。以上、極私的「The Star Festival 2018参戦振り返り日記」でした。お後がよろしいようで。
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Top image via The Star Festival