今年2月に初来日した今、注目のニューカマーバンドSuperorganism(スーパーオーガニズム)が、発売されたばかりの宇多田ヒカル最新アルバム『初恋』収録曲「パクチーの唄」をカバーした音源が公開されていました。
Superorganismと宇多田ヒカル
宇多田ヒカルの新曲でいうと、先日、結構な斬新エンディングも話題になった「花より男子」続編的ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』でもイメージソングとして「初恋」が採用されていたこともかつてのドラマファンからしたら胸アツだったのではないでしょうか?
Superorganismと宇多田ヒカルの前の戯言的雑記
私的にも花男の嵐主題歌→King & Prince主題歌というジャニーズホットラインからの宇多田ヒカル再登板はある意味王道で、今にして思えば待ってました感があったなと。
あとドラマは正直TVerで飛ばし飛ばししか見てなかったのですが、最終回は最後30分くらいちょうど鑑賞できました。そしたら反町隆史の姿が…。「花男」松嶋菜々子からの「花晴れ」反町か〜的なキャスティングも前シリーズファンにはその流れを踏襲している感があって良いのかなとか、あと前シリーズでいえば、大人の事情感は多少感じるものの、そのキャストが一部カメオ出演していたことも中々良いファンサービスだったなと。
でも何より、放送終了後にTwitterで見かけた、
最終回を見てケンコバが「少女漫画は主人公の女の子をずっと好きな優しい男は幸せになれない!主人公をずっといじってたようなドSの男が少し弱みを見せただけで『何なのこの気持ち?』とか言う!気がついたら『私好き!』とか言う!あんなもん悪魔の辞典や!」てキレてたの思い出した。
上記、ツイートがマジでパンチラインすぎだった。というのが個人的な「花晴れ」と最高に脱線した末の宇多田ヒカル「初恋」の感想です。なので、あとでやっぱりちゃんと聴き直したいと思います。
閑話休題。
Superorganismの成り立ちに関するアレコレ
そんな宇多田ヒカルのカバー曲ですが、このタイミングで来る? くらいの絶妙さで話題のSuperorganism抜擢となっていたので私的にはかなりアガりました。というのも出来がめちゃ彼らっぽい。MVのアニメーションもめちゃSuperorganism色が出ていたのも良かったです。
と、ここでサクッとSuperorganismについて紹介すると、同バンドはボーカルの日本人ティーンネイジャーOronoを中心にイギリス、ニュージーランド、オーストラリア、韓国など多国籍なメンバーで構成されています。
その結成のきっかけはインターネット上でのThe Eversonsという前身のニュージランドのバンドと、当時アメリカの女子高生だったOronoことOrono Noguchi(オルノ・ノグチ)の交流がきっかけ。
ちなみにThe Eversonsは2015年に日本愛を込めた日本語歌唱の『The Eversons present The Emilys:スーパー素晴らしい漫画のバンド(Super Awesome Cartoon Band)』EPという音源をリリース。これが一部でカルトヒットし、ファンフォーラムまで作られていたそうです。
その後、The Eversons+Oronoのほかにニュージランド人のRuby、B、オーストラリアのシドニーに住むSoulがバンドに加わり、2017年にロンドンを拠点に定め、Soulを除く他7人がイーストロンドンのテラスハウスで同居、スタジオ化させて24時間体制で音楽制作できる環境を整えたそうです。
ちなみにメンバーがバラバラに住んでいた時はSkypeを通してコミュニケーションしたり、前身バンドが作ったGaragebandのデモファイルをOronoがネットを介して受け取り、Macbook Airで歌パートを録音して曲を完成させていたそうな。
音楽制作もひと昔前と違い、最近では究極的にはPCさえなくても専用アプリがゴロゴロちゃんとした楽器メーカーからもリリースされていたりするので、スマホがあればできたりするので、この手法に関しては実は音楽制作をしている人にとってはそこまで驚くことではなかったりするエピソードなのです。
会ったことないけど”ネットでは友人”のトラックメイカー
あとネットを通して、なぜか実生活ではあったことないけど、俺らは友達みたいなのって音楽活動しているとよくあることでして。特にダンスミュージック系を作っている人にとっては結構なトラックメイカーあるあるです。
というのも私も昔、音楽活動を勢力的に行っていた頃は、仮にお互いが日本に住んでいたとしても実際に邂逅したのは知り合ってから3年後…。みたいなことは結構ありました。ただ、ベルリンのインディーズテクノレーベルから作品をリリースしていた際、そこのレーベルオーナーや、昔、リミックスしてもらったアーティストにベルリンで初めてリアルであった時とかはかなり感慨深かったです。
意外にも日本のヒットチャートにもチャートインしていたSuperorganism
閑話休題再び。そんなネット生まれのSuperorganismですが、昨年リリースした超サイケ、というかこれぞインターネットなMVも話題になった「Something For Your M.I.N.D」などが話題になりました。
その曲中で聴こえる「Something For Your Mind~」という声ネタはダンスミュージックの有名声ネタC'hantal - The Realmをサンプリングしたものです。
youtu.beその声ネタのさらに元ネタはこちら。
そこからBBC「Sound of 2018」ノミネート、これまでに数々のスターを輩出してきた名門インディーレーベル「Domino」と契約するなどそのキャリアは急上昇。そして、今年3月にセルフタイトルのデビューアルバム「Superorganism」をリリース。何気にその収録曲のうち、シングルカットされた「Everybody Wants to Be Famous」がここ日本でもBillboardシングルヒットチャートHot100日本版でもチャートインしていることは見逃せません。
ちなみに「Everybody Wants to Be Famous」のMVも今っぽいVapor踏襲オシャレサイケな仕上がりでトラックもMV同様、カメラのシャッター音、レジの音、よくわからないノイズなど”サンプリング”が際立つ内容になっています。
インディーポップのギリギリ王道とその裏に潜む安定感
中毒性があると形容されることが多い彼らですが、私的にはある程度メチャクチャやっても実はキャッチーでポップですという”インディーポップのギリギリ王道”なラインを攻めつつも、前身バンドがそれなりのキャリアを積んでいたが故の音楽的な安定感も裏に潜んでいる気がするため、一発屋にはならないかなという変な安堵感を感じることも事実。
そして、そういうところも中毒性の一部だなと思っています。ですのでそこは特に良い意味で玄人おじさんとか、「レトリックがどうとかなんたらかんたら」と音楽語りたい系の批評家タイプの方には突き刺さる部分の1つなのではないでしょうか。あくまで勝手な持論ですが…。
私はそこまでドープかつ論理的に音楽批評できるほどの器ではないので、こんな感じのざっくりとした褒め言葉で好きなアーティストを持ち上げることしかできないのですが、最後に、Superorganism関連作のお気にの1曲をご紹介させて頂きます。
そう、私の推し曲は、先述の「Something For Your M.I.N.D」をHot ChipのJoe Goddardがどサイケ変態ディスコに調理したリミックスです。
これ、絶対Altz(アルツ)とかIdjut Boys(イジャット・ボーイズ)とかディスコダブ好きな人に響く内容だと思います。
余談ですがバンド名のSuperorganismとは日本語にすると超個体となります。超個体とは調べてみると
アリ,ハチなどの昆虫の階級が生体器官の各機能を分担して,集団としてあたかも個体のようになるもの
だそうで、まさにこのバンドにぴったりな名前。インテリか! とツッコミたくなりますね。以上、お後がよろしいようで。
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Top Image via FUJI ROCK
Source: Wikipidea1, 2, Fader, Billboard Japan