コペンハーゲンを拠点にする北欧女子2人組ユニットSmerz(スメーツ)がEP『Have fun』を今月リリースしました。以前、”北欧が産んだ機械仕掛けのR&B”としてご紹介した彼女たちのこの新作もその感じがブレることなく今回も相当カッコいい仕上がりになっています。
次世代型北欧ビートから生まれた当然変異のR&B
EPという形をとっているものの、収録曲は8曲というアルバム並みのボリュームとなった『Have fun』には、既発曲の「Oh my my」、「No harm」、「Half life」も収録。今回もミニマルで音数を極限まで省いたソリッドなトラックにR&Bスタイルのボーカルが乗るといったSmerz印な内容になっています。
ただ、収録曲のビートフォームは実に多彩。インダストリアルで硬い実験電子音響系からJ Dilaのようなグルーヴィーなものまであり、聴いていると2000年代にRöyksoppが打ち立てた”北欧ビート”の今というか、これが”ポスト北欧ビート”だという主張がヒシヒシと伝わって来るような感じがします。
新曲「Worth it」のMV
またSmerzはMVも毎回独特のアート系映像に仕立て上げていますが、「Worth it」のMVではファッションショーのランウェイがモチーフに。自ら手がけたこちらにはメンバーの2人もモデル役として出演しています。
曲自体は、ほぼインダストリアルなSEやビートで構成されたSmerzらしい内容で、もう1つのSmerzの特徴であるR&Bボーカルは後半部分になってようやく出現といった感じ。ただそのオートチューンロボ声ボーカルが、まるでシンセパートのようにソリッドなトラックに乗っかるところがまたなんとも味があって良いなと思います。
インダストリアルなJuke/Footwork系やスームスなR&Bも
ちなみに「Fitness」ではボーカルを封印。こちらは完全に実験電子音響音楽になっており、こもるノイジーなベースとJuke/Footwork的な高速ビートが印象的です。このあたりは公言しているDJ Rashadの影響を感じます。
逆に「Bail on me」は、他の曲とは異なり、比較的にメロディックかつビートもグルーヴィーな先述のJ Dila系。相変わらず音数は制限されてはいるものの、普通にR&Bとして聴けるスームスで心地よい曲になっています。
次世代型北欧ビートから生まれた当然変異のR&B、是非ご堪能ください。
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Top Image via Smerz