ノルウェー女子による機械仕掛けのR&B
ミニマルなトラック構成に太いドラムマシーンの音。近年のLo-Fiなダンスミュージック、ローハウス的なアプローチに柔らかいR&Bスタイルのボーカルが乗っかる。
そんなスタイルで注目を集めているノルウェー出身の女子二人がデンマークで結成したSmerz(スメーツ)が、名門レーベルXLから最近リリースした「Oh my my」が独特のマシーンR&Bという感じを醸し出していてイケてます。
全体的にシンプルな構成でリズムパターンも極限までソリッドになっているこの曲、特に不穏なシンセの上モノ、ノイズ、所々で顔を出す暴力的な鈍器ベースといったバックトラックの要素と、しっとりしたR&B系ボーカルが非常によくマッチしていて、先述のとおり、マシーンR&B感を強烈に感じるトラックです。
ベッドルームのダークなシンセポップ
Smerzは、昨年デビュー作にあたる「Okey」が、海外の人気音楽ブログ「Gorilla vs. Bear」の2016年のベスト・デビュー・リリースのひとつに選出されたり、ロンドンの人気ネットラジオ局「NTS」、その他影響力のあるDJらからのサポートを受けている若手デュオ。
これまでのリリースの曲も新作同様、シンプルな曲構成になっていて、いずれもそのボーカルを際立たせる内容になっているのが特徴と言えるでしょう。
ジャンル的にはベッドルーム・シンセポップのダーク版のように感じる彼女たちのリリースの中でオススメのトラックとして名前を挙げたいのが、「Because」という曲。
80年代のクラシック・ハウスのような太いベースラインが印象的です。
その他にもどことなくGrime的なビートアプローチの「Blessed」、TR-808のいかにも機械っぽいリズムなR&Bチューン「Thrill」も彼女たちの音楽性を物語っている気がします。
そして、これは特にオススメというのがエクスペリメンタルな「You see?」。この曲はどちらかといえば、他の曲と比べるとボーカルパートは少なめになっているインストパート主体の曲なのですが、攻め立てるようなチョップ系シンセ音が非常にアグレッシヴでかっこいいトラックだなと思います。
ちなみにSmerzが影響を受けているのは、Kode 9主宰のベースミュージックの人気レーベルHyper dubからのリリースで知られるJessy Lanza(ジェシー・ランザ)、Jukeのベテランだった故DJ Rashadだそうです。
そのことについては、Jessy Lanza、DJ Spinn、DJ Rashadによるこのコラボ曲「You Never Show Your Love (Teklife Mix)」を聴いてもらえれば、どことなく通じるものを感じてもらえるのではないでしょうか?
音楽だけでなくMVのDIY感もデュオのアーティーさを示しているようなSmerzなのですが、ライブパフォーマンスの動画もいくつか公開されています。ロンドンのモダンアート博物館として知られるテート・モダンでのパフォーマンスはチェックしておくとよいでしょう。
北欧といえば、スウェディッシュポップや、近年のTodd Terjeのようなディスコ・リヴァイバルといったキャッチーでポップな印象を少なからず持ってしまいがちですが、Smerzはインダストリアルさを醸し出させながらも、北欧的なポップなメロディーセンスもひしひしと感じさせてくれます。
近い将来、Oneohtrix Point Neverあたりとコラボしてくれたら嬉しいなと思います。
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Top image via Sarah Riisager/Smerz Facebook