ライブミュージックビジネスにとっては”失われた一年”となってしまった2020年。以前、誰かが2020年は後の世の新たなVaporwave的なものにおいて”失われたもの”の記号になる的なことを言っておられましたが、それは言い得て妙な話。実際に海外でワクチン接種が始まるも変異種の登場により、コロナ禍収束はまだまだ先になるなという印象がどうにも拭い去れない2020年末、みなさんどのようにお過ごしでしょうか?
私個人もご多分にもれず仕事の面では大いに苦境に立たされた2020年でしたが、どうにかこうにか所謂”年末進行”というやつを今年も無事迎えることができまして、先月から続く腰痛および首痛に悩まされながらも、年の瀬の今も仕事に追われています。
とここで本題に。
去る12月24日、ZeebraもEminem(エミネム)もフェイクと言ってのける伝説のラッパーのノリアキ(Noriaki)がまさか、まさかの奇跡の復活! 一夜限りの復活ライブをYouTube配信で行いました。私は諸事情あって、リアタイはできなかったものの、アーカイヴで視聴させていただき、何かこみ上げるものを感じた次第です。
ノリアキといえば、自分の分野だとエレクトロハウス全盛期だった2006年に1stシングル『デビュー/unstoppable』でデビューした"日本が生んだ最後のカリスマ"で、当時、私も少しばかり熱を上げさせて頂いたリアルな漢。
そんな彼が失われた一年である2020年、この世の春を謳歌している”コロナ”をビシッとシメるためにクリスマスイブに復活を果たし、奇跡の復活配信ライブ「ノリアキ Special X'mas Live "THE REAL TIME"」を敢行! さらに新曲「know real key」まで発表しました。
そのリアルなライブはTwitterのトレンド入りはもちろんのこと、膨大な数のアクセス数により、回線を落とすほどの反響を獲得。マジでコロナ以上に猛威を振るうバイラル力をリアルに見せつけてくれたので、感無量すぎでした。
ノリアキの生き様に感銘を受けたノリアキクラスタは、ライブ中に思い思いのノリアキに関する名言をTwitterに投稿しまくっていましたが、中でも自分的に1番くらったのは”ノリアキの登場以前、音楽は答え探しだった。ノリアキの登場以後、音楽は答え合わせになった。”というツイート。この言葉がこんなにも似合うのはノリアキをおいて他にはいないはずです。
最近、銀杏BOYZの「GOD SAVE THE わーるど」という曲の歌詞の一節である「ポストトゥルースでぼやけて」という部分も引用されている峯田和伸のインタビュー記事を読んだのですが、ノリアキの今回の復活劇はまさにそれ。
SNSを中心にポストトゥルースが飛び交いまくり、人々のリアルがぼけまくった2020年においては、一筋の光であり、リアルそのものでした。折りしもZeebraが不倫で叩かれ、Eminemが”Gucci Gang”という謎のワードを延々と繰り返す若手にディスられた2020年、やっぱりリアルだったのはノリアキだけだったという話ですよ…。
Eminemを”クソ、ダサい、お前みたいな年寄り誰も聴かねえ”と宣戦布告するLil Pump。 pic.twitter.com/sgRRFUIWsY
— HipHop News 🏵@Dすけ (@HotHipHopNews2) 2020年12月24日
その証拠に
“きみを押し潰す重荷
立派に散ったウボォーギン”
という2020年最もリリカルなパンチラインを盛り込んだ新曲「know real key」でも、MV再生による収益を全て医療従事者支援のために寄付するという徹底したリアルっぷりを追求してくれたノリアキ。「ひきしめよう」という標語では到底伝わらない熱いモノを感じました…。
それを見て思ったのは、”リアルな生き様”をこの人類史上稀に見るハードモードの年の瀬に見せつけてくれた彼の爪の垢を冨樫氏も木多氏も煎じて来年は漫画を書いて国民を勇気づけてほしいし、日本政府を含む全ての行政が今一度、フル回転でコロナ禍収束に向けた対策に真剣に取り組んでほしいということ。マジでお願いしたい次第です。
あとマジレス的なライブの感想を言うと、最後の最後で現在のリアルなノリアキの姿を見せてくれたのが何より良かったです。そんなわけで、私からはこの記事を読んで頂いている方に向けてノリアキの名曲「きみはポイズン」を捧げたいと思います。
それにしても改めて90sヒップホップのオマージュがすげぇな、このMV。テン年代後期に巻き起こる空前の90sリバイバルの先を行っていたノリアキ。Noriaki is real, indeed…
ちなみにノリアキのことを知らない方は、以下の記事で彼がどれだけリアルな存在かがよくわかるので一読をおすすめします。以上、お後がよろしいようで。
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Top Image via 古屋雄作チャンネル