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YOSI HORIKAWA、DJ Krushら出演「MUSO Culture Festival」、舞台はなんとバーチャル化した禅寺! という話

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以前からファンで都内で行われるライブにはほぼ全て参戦しているサウンドデザイナーのYOSI HORIKAWAのほか、DJ Krushらが出演する静岡県沼津市を舞台にしたカルチャーフェスティバル「MUSO Culture Festival 2021」。実はこのフェス、昨今のコロナ禍による事情を逆手にとり、とても興味深い形で開催されることになっていてマジでびっくり!

 

昨年12月に開催がアナウンスされた時点では、“音 × 禅 × 食” をテーマに掲げ、メイン会場となる禅寺の「大中寺」を中心にミュージックライブやサウンドインスタレーション、アート展示、座禅会、沼津産品のフードマーケットなど多様なコンテンツを展開するとのことでしたが、年明けからのコロナ禍による緊急事態宣言発令を受け、当初実施予定だったプログラムを変更。

なんと、当初実施予定だったコンテンツは、オンライン上で空間を自由自在に動き回ることができるテクノロジー「Matterport」を用いて、バーチャルで再現された仮想大中寺「夢中空間」を中心に展開されることになったというから驚きです。

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バーチャルで再現された仮想の大中寺はPC/スマホからアクセス可能。しかもVRデバイスにも対応しています。

私はとりいそぎPCでアクセスしてみましたが、こんな感じで3Dモデルの大中寺が用意されており、視点が切り替えられるほか、実写された大中寺の360°映像をグルグル回しながら、VR空間に再現された寺内散策することができます。

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このVR空間では、当初リアルで実施予定だったYosi Horikawaによるサウンドインスタレーション音源を聴くことができます。こちらはサウンドデザイナーとしての彼の真骨頂が現れるバイノーラル音響で楽しめるので、良い音響聴きをお持ちの方はそのスペックをフルで活かして楽しむが吉です。

仮想空間内に再現された寺内の散策に使う機能窓は視聴者側で自由に開閉可能。

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必要な時に出して、例えば、BGMとしてバーチャル空間の中で流れる音楽のオン/オフ、視点を切り替える、任意の寺内スペースに直接アクセスするような操作ができます。

機能窓を閉じると下の画像のように画面上がこんな感じですっきりした状態になります。

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さらにオート再生モードもあり、機能窓の中にある再生ボタンを押すと、自動で寺内を回るバーチャルツアーモードが起動します。

また、寺内には3つのタッチポイントあり。そのうちの2つは触れると今回のために制作されたアートインスタレーションのメイキング動画を視聴できる仕組みになっています。

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ちなみに「MUSO Culture Festival 2021」は、2月19日(金)〜2月21日(日)まで開催され、2月20日(土)17時からはこのVR空間内で、事前に無観客で収録されたDJ KRUSHとYOSI HORIKAWA、ermhoiの"禅の真髄をサウンドを通じて体験するかのようなコンセプチュアルなライブ"を楽しむことができます。(事前予約でのリアルコンテンツも一部あり)

 

また、先述のような事情から中止になったアフターパーティーに出演する予定だったKaoru Inoue、Chee Shimizu、ELLI ARAKAWA、Masaaki Hara、DJ Emerald、Hi-Ray、MORTSAFEら7組のDJたちによる、禅の世界を想起させるスペシャルミックスも「MUSO Culture Festival」の公式サイトで公開されています。

昨年からのコロナ禍以降、私はVRやARなどXRテクノロジーを使ったバーチャルライブを含む配信ライブについてのレビューやコラムを色々なメディアに寄稿させて頂いているのですが、今年に関しては、すでにいくつかの海外フェスの開催中止発表も関係してか、Boiler Roomの10デイズバーチャルフェス「SYSTEMRESTART.TV」(2/18~2/27にかけて開催)のようなライブやDJのほか、トークセッションやインスタレーション、映像作品上映など、従来のフェスに見られるようなコンテンツまでをまるっとオンラインに移植したバーチャルフェスが今後、増加していきそうな予感がします。

こういった複数コンテンツをオンラインで体験できるバーチャルフェスは、昨年であれば、有名フェスのTomorrowlandのバーチャルフェス「Tomorrowland Around the World 2020」(日本からは元ジャニーズの山Pこと山下智久がトークゲストとして出演)、東アフリカのNyege Nyege Festival、日本であれば昨年末、リアルとのハイブリッド開催となったMUTEK.JP 2020などが挙げられるかと思いますが、これらのバーチャルフェスは、1日のみの開催ではなく、複数日で開催されていることが大きなポイント。

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なのでそういうリアルのフェスを踏襲したというか、"日程"を意識させられることも現実の追体験的な要素のひとつになっているのかなと個人的には思います。その意味では「MUSO Culture Festival 2021」も、最近のバーチャルフェスにおける体験設計のスタンダードを踏襲していると言えるでしょう。

そのことを踏まえて考えると、今年は、海外、日本問わずコロナの感染拡大状況によっては、バーチャルライブ、フェス開催事例が増えてきていることをあり、こういった形での開催が検討されることも増えていくのではないでしょうか? (すでに2021年度の開催中止を発表しているグラストンベリーが配信での開催を検討しているとの話も)

コロナ禍以前は、海外に限らず、日本国内でも大小様々なフェスが開催されていただけにオンラインへの移行は開催判断時のオプションのひとつになってくるはずです(マネタイズ面などの課題はあるかと思いますが)。

「MUSO Culture Festival 2021」のバーチャル化に関しては、元々リアル開催が予定されていたことから、おそらく短期間で実行に移されたはず。なので、そのスピード感には感服するばかりです。

個人的にはYOSIさんが出演されることもあって、実際に遊びに行こうと思っていたので、今回のバーチャル化は、本当にありがたい限りですし、コロナ収束のあかつきには沼津に足を運んでリアルでこのフェスを楽しんでみたいです(予定されていた沼津産品のフードマーケット気になってました

そういった遊びにいく側の次回開催への望みをつなぐという意味でもバーチャル開催の意義はあると思います。もちろん、実際には運営側は色々大変だとは思いますが...。

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そんなわけでサウンド&アートインスタレーションとライブ、さらには禅寺めぐりまでが可能なバーチャル大中寺「夢中空間」は、期間内であれば、いつでもアクセスできるようなので、気になった方はこちらのリンク先からどうぞ。余談ですが、「夢中空間」で流れるインスタレーション用の音楽、作業用BGMとしてもめちゃくちゃ秀逸なので、イベント後はその用途で使ってみるのも良いかと。

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All images via MUSO Culture Festival 2021 「夢中空間」

Reference:

https://www.muso-festival.com/

https://pointed.jp/2020/12/02/muso-culture-festival-2021/