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Spotify、SoundCloudなど音楽配信サービスによる新型コロナ禍音楽業界支援情報まとめ

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先日の東京オリンピック延期発表をきっかけに地獄の釜のフタがまた少し開いたTwitter。児童の新型コロナ感染の可能性、和牛業界に関するミスリード的な情報がSNSに飛び出し、インフォデミックが爆発したと思ったら、小池知事会見発の都内週末外出自粛要請、からの食料買い占め砲乱れ打ち…。とにかく、もう色々な面でグヘェ〜としかなりません。

 

都内の外出自粛に関しては、かねてから問題になっている”ライブハウス”についても言及があったものの、自粛要請に伴う補償は今のところ考えていないというなかなかの仕打ち。外食、エンタメ、レジャー産業としては自粛の判断に悩むところを通り越しているのではないかと...。

この件について、個人的には”もはや我が国の行政は市民の生活を補償する余裕さえないのか?”ということ、そして、すでにまことしやかに囁かれている”オーバーシュートによるロックダウン”を見越した上で、今週末は見送りという判断なのかなという疑念も生じております。

また色々と人を感情的な行動に誘う要因が続出中ですが、ここは下記のTwitter発言のようにファクトをベースにした論理的思考になることがまず肝要。そして、そこから自分がどういった行動をとればいいのかを一考するべきではないのかなと。

 

 

新型コロナ禍、音楽配信サービスがアーティスト還元など支援策を続々実施

さて、ここで今回の本題へ。先述の支援に関して、現在、新型コロナウイルス禍によって、出演予定だったイベントキャンセルが相次ぎ、DJ、ミュージシャンら音楽業界人が苦境に立たされていることはすでにご存知のとおりかと思います。こういった状況を少しでも緩和するためにここ日本でも有料ライブ配信サービスが注目を集めたり、海外ではbandcampによる収益還元キャンペーンが行われたのは記憶に新しいところ。

こういった業界支援の動きが今、拡がりを見せており、直近だけでもSpotify、SoundCloud、Mixcloud、Beatportがそれぞれ施策を打ち出しています。そこで今回はそういった支援のための施策とその特色をざっとご紹介することで、いくばくかの音楽業界支援に役立てることができたら幸いです。

 

11億円超の寄付、傘下のサービスまでフル動員して行うSpotify「COVID-19 MUSIC RELIEF」

音楽ストリーミング業界の巨人Spotifyが音楽業界支援策として「COVID-19 MUSIC RELIEF」なるプロジェクトを立ち上げました。Spotifyはコロナ問題が起こって以来、アーティストに何らかの還元を行なっていないことで一部から批判に晒されていたようですが、今回の支援策ではまさに業界の巨人らしい大規模な支援を行うことを発表しています。

 具体的に行うのは以下の施策。

・音楽業界支援団体(MusiCares、PRS Foundation、Help Musicians)に対して、ユーザーからの直接寄付を募る。またその集まった寄付金額と同額をSpotifyから寄付。その際、Spotifyからの寄付には上限1000万ドル(日本円で約11億円超)が設けられている。

・プラットフォーム内のアーティストページにユーザーが直接アーティストに寄付を行えるドネーション機能を追加(予定)。この機能で集まった寄付金は、アーティスト自身が受け取ることができる or 他の支援を必要とするアーティストへの寄付のために転用可。

・健康管理団体と提携し、新型コロナウイルス関連ニュースや健康情報、またはそういった団体への寄付を募るための広告をプラットフォームに配信(予定)

・傘下の音楽制作者向けクラウドソーシングサービス「SoundBetter」を通して発生した案件の収益のうち、サービス側が受け取る収益を30日間限定でクリエイターに還元。

・傘下のポッドキャスト配信サービス「Anchor」でポッドキャストコンテンツが2020年4/1より収益化可能に。リスナーがクリエイターに対して支払う月額サブスクサポート料金「Listener Support」収益のうち、サービス側が受け取る収益を6ヶ月の期間限定でクリエイターに還元。

・傘下のクラウドベースオーディオレコーディングサービス「Soundtrap」内の機能のひとつ、音楽学習ツール「Soundtrap for Education」を学校教育機関が無料利用できる期間を延長。

*「Soundtrap」はオンラインDAW機能とポッドキャスト制作機能の2つを併せ持つサービス。あまり詳しくないのですが色々興味深いサービスなので、近いうちにリサーチして記事化してみようと思っています。

Twitchとの提携によりSoundCloud有料プランユーザーがライブ配信を収益化可能に

近年、音楽クリエイターフレンドリーな機能を充実させているSoundCloudは、動画配信プラットフォームのTwitchと提携し、アーティストがライブパフォーマンス動画を配信する際にアフィリエイトによる収益化を可能にしました。

 概要は以下のとおり。

・有料プラン「SoundCloud Pro」、「SoundCloud Premier」、「Repost by SoundCloud」ユーザー向け

・アーティストは自身のマーチャンダイズ広告の表示やアカウントを通じたファンとのチャット交流など可能に。

・専用のアプリケーションフォームに必要事項を記載し申請。後日、Twitchからアフィリエイトプログラムの招待メールが届く

・これにあわせて「SoundCloud Pro Unlimited」の利用料を3/30までの申し込みに限り、半額にする
*ただ、SoundCloud Premierの収益可能対象になるのは限られた国のユーザーからの再生に限定されているはずなので、そのルールがこれにも適用されるのかは気になるところ。しかしながらロックダウンされている欧米諸国はほぼその収益対象なので、そちらの音楽クリエイターたちにとっては問題なしと思われ…。

 

ファンが支払う「SELECT」月額サブスク料金から発生する収益を還元

オリジナル曲を制作せず、DJ1本の場合、音楽ストリーミングサービス界隈でマネタイズするのはちょっと前までほぼ無理ゲーでしたが、そこに光を差し込む形でMixcloud先輩がローンチしたのが、DJ Mixを収益化させる「Mixcloud SELECT」。

この機能はローンチ発表当初は、限られたDJやラジオ局にのみ開放されていた機能でしたが、いつの間にかMixcloudの有料プラン「Mixcloud Pro」に組み込まれていてビックリ! ですので、私もちょっとやってみようかなと思ったり…。

収益を得るにはDJやポッドキャストのクリエイターのチャンネルにファンが月額サブスク料金を支払うのが条件。その際にクリエイターは月額2.99ドルからサブスク料金を自由に設定が可能です。

通常、この収益はクリエイター以外にDJ Mixなど公開されているコンテンツに使用された音源の権利者であるアーティストやレーベル及びパプリッシャーとMixcloudの間で収益が分配された上でクリエイターに支払われますが、今回のキャンペーンでは先述のMixcloudが受け取る収益は差し引かれず、クリエイターに収益が還元されます。

また現在は3ヶ月の無料トライアルが可能。トライアル終了後は月額15ドルの利用料が発生するものの、解約後もファンがサブスク料金を支払い続ける限り、クリエイターはチャリンチャリーンになります。

なのでMixcloud Proスタート後、3ヶ月がマネタイズ用に使い続けるかどうかの分水嶺になります。サブスク料金最安2.99ドルに設定した場合、単純計算で6人集まれば、トライアル終了後は赤がでない見通しです。

 

24時間配信ライブイベントによる収益を寄付に充てるBeatport

あとBeatportが日本時間3/28早朝に音楽業界と「COVID-19連帯対応基金」を募ることを目的にした24時間配信ライブイベント「ReConnect」をTwitchをホストにYouTubeほか各種SNSプラットフォームで配信します。

こちらではNina Kraviz(ニーナ・クラヴィッツ)ら24組のDJが自宅やプライベートスタジオからDJプレイを配信。個人的にNina Kravizには、せっかく自宅ということなので、願わくばかの有名な「アルフォート」を食べる様子で世界を沸かせてほしいし、以前のコーチェラで見せた謎自宅感も出してほしいなと思っています。

ちなみに今月初め、彼女はモスクワの自宅からDJセットを配信していましたが、レコードの枚数さすがにすげぇなと思うものの、意外と自宅の様子は生活感あって普通でした(笑)。

youtu.be

色々と先行き不透明で世の中、ハードモードに突入していますが、怒りに身を任せるだけでなく、音楽業界に限らず、すべての経済は因果関係にあるので、まずは自分が出来る範囲で色々サポートできる方法を探ってみるのも必要な時期がやってきているのだと思います。

余談ですが、最近、外食産業向けの「ごちめし」による飲食店支援「さきめし」なるサービスが、音楽業界でいうところの有料配信ライブ的存在で、今、求められている良いサービスだなと感じています。

 以上、お後がよろしいようで。

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