2016年の「XXL Freshman」に選出され、今や若手ラッパーの中でもトップクラスの人気を誇るLil Uzi Vert(リル・ウージー・ヴァート)が自身の音楽活動終了宣言を行い、海外はおろか日本のファンの間でも衝撃が走っています。
Lil Uzi VertがInstagramで音楽活動の終了を宣言
一昨年前の2017年にはLil Peep(リル・ピープ)、昨年2018年にはXXXTentacion(XXXテンタシオン)にMac Miller(マック・ミラー)という才能ある若きラッパーがこの世を去り、ヒップホップファンの間では生存中の人気ラッパーたちにはどうか長く活動してほしいものだという祈りにも似た願望のようなものがあるかとは思いますが、今回のLil Uzi Vertは、まだ生存中で「XO Tour Llif3」のような世界的ヒット曲をまだまだ出すポテンシャルも多分に秘めているだけに複雑な気持ちです。
というのも今回の引退宣言に際し、Lil Uzi Vertは、自身のInstagramのストーリーで、ファンへの感謝とともに、「普通の人間に戻りたい」と発言。さらに自分がストックしている音源を全て消去したと明かし、「朝起きたら今から6年前の無名だった2013年の頃に戻っていたらいいのに…」という自身の現在の気持ちを吐露しています。
ちなみにLil Uzi Vertは、2014年1/19にセルフリリースで『Purple Thoughtz EP Vol. 1』というEPをリリース。その後、冒頭でお伝えしたとおり、2016年には若手ラッパーの登竜門「XXL Freshman」に選出されブレイクのきっかけを掴み、2017年には先述の「XO Tour Llif3」を収録したデビューアルバム『Luv Is Rage 2』をリリースし、ヒットを飛ばしました。
2019年に発売と言われている新作アルバム『Eternal Atake』はどうなる?
過去にはYoung Thugとともに制作したストック曲が1500曲ほどあることを明かしていたりもするだけに、それも今後どうなることやらとヤキモキした気持ちになっているファンも中にはいることでしょう。それらの音源に関してはコラボ曲なので、さすがに全部消すと大人の事情も発生しそうなので、最悪の場合、単純にお蔵入りで済みそうですが、やっぱり気になるのは昨年12月に完成したと報じられたLil Uzi Vertにとっての2ndスタジオアルバムとなる『Eternal Atake』の行方です。
昨年9月に彼がリリースした「New Patek」はコラボ曲を除くと唯一のソロアーティスト名義となるリリースで、『Eternal Atake』に収録されるだろうと期待されている1曲です。
また同アルバムには噂をもとに作られたあくまで非公式のものではあるものの収録曲リストも存在。Geniusのそのページを見ていると収録曲は24曲となっており、中にはすでにリーク済みでファンの中での同アルバムに収録されることを最も期待されている人気プロデューサーのPi'erre Bourne(ピエール・ボーン)が手がけたChief Keef(チーフ・キーフ)とのコラボ曲「Count Up」も含まれています。
あとこれはその収録曲リストには含まれていませんが、03 Greedo(オースリー・グリード)との「Bentley Truck」も昨年7月にThe Faderが掲載した次のLil Uzi Vertアルバムに収録が期待されるスニペット(Snippet =曲の断片)が公開された曲のひとつとしてピックアップされていました。
『Eternal Atake』のアルバムアートワークはアニメ風
なお、『Eternal Atake』のアルバムアートワークは現在のところ、一応決定済。こちらは当初、1997年に集団自殺騒動が起きたカルト集団「Heaven’s Gate」のロゴをモチーフにしたもの。
しかし、その騒動の生存者2名から訴えられたことにより、アニメ風のアートワークに変更されています。
このアニメ風デザインは、自身の2015年のトラック「He Did It」MVをアニメの『ワンピース』、『BLACK LAGOON』、『鋼の錬金術師』、『ドラゴンボールZ』映像をフッテージにしていたり、『ドラゴンボールZ』の登場人物トランクスの名前をトラック名にした「Super Saiyan Trunks(スーパーサイヤ人トランクス)」などをリリースしてしまう彼らしいといえば彼らしいですが。
まあ、このあたりのアニメネタについては彼と同世代のラッパーたちの間ではよくある話なんで、特別に彼がアニヲタというよりは、日本のアニメを観て育ったSoundCloud Rap世代の特徴でありトレンドだったりします。
引退理由はレコードレーベルとの揉め事か?
なお、今回のLil Uzi Vert引退発言については、レコードレーベルとのなんらかの揉め事が原因になっているのでは? と指摘する声もあります。それを暗示するのが、昨年末にリリースされたShabazz PBGとのコラボ曲「Shells」でのLil Uzi Vertの”Tryna figure out how I'm tryna get out my deal”というバース。この部分がレコードレーベルとの何らかの諍いがあり『Eternal Atake』リリースができない状況が所持ているため、彼がレコードレーベルとの契約から抜けようとしているという暗示では? と推測されている部分です。
ラッパーの引退については例えば2018年にはVince Staples(ヴィンス・ステイプルズ)が引退のためのクラウドファンディングで200万ドル(約2億1700万円)を集めようとしたものの、その額に達しないことがわかり、のちに取りやめています。
Seeing as we clearly won’t reach our goal of 2 million dollars, I am cancelling the gofundme and refunding all the little people with big voices. I expect to hear no further slander.
— Vince Staples (@vincestaples) March 15, 2018
また人気プロデューサーのMetro Boomin(メトロ・ブーミン)も引退を示唆するものの、昨年秋にカムバックアルバム『Not All Heroes Wear Capes』をリリースしたりと、ネット上で指摘されているとおりこの界隈のアーティストたちの引退発言はあまり信頼できるものではないため、取り立てて心配する必要はなかったりとも思います。また悪い言い方をすれば、引退発言自体が壮大なプロモーション施策の場合もあります。6ix9ine的なね…。
Lil Uzi Vertの引退発言に関する真意は現時点ではまだよくわかりませんが、ここはとにかく今後の彼からの発表を待つしかないのかな〜と。私としては、とにかく『Eternal Atake』はリリースして欲しいんですけどね。
あっ、そういやこの機会にLil Uzi Vertのことをもっと深く振り返ろうと思ってググってたら、実は彼の身長は161cmだそうです。革ジャンとか超クールに着こなしているからもっと大柄なのかなと思っていたのですが、意外と小柄なんですね。でもそのくらいのサイズであんなにもスタイリッシュにウエアを着こなせるのはやっぱりサイズ感とかのバランス感覚が良いんでしょうね。私も身長がある方ではないので是非着こなしの参考にしたい...。
以上、お後がよろしいようで。
追記:Lil Uzi Vertが新曲「Sanguine Paradise」と「That’s A Rack」をリリース
追記:
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Top Image via Lil Uzi Vert
Source: hnhp, The Fader, Genius