去る11/9、ついに待望のLil Peep(リル・ピープ)の遺作にしてセカンドアルバムとなる『Come Over When You’re Sober, Pt.2』がリリースされたわけですが、私は、その仕上がり具合は予想以上にエモロック、というかエモ・ポストロック化していると感じました。
極私的Lil Peep『Come Over When You’re Sober, Pt.2』の感想
先行曲リリースの時点で、Lil Peep印のエモトラップ感は強いだろうなと感じていましたが、アルバムでは1曲目の「Broken Smile」から完全にエモロックバンドのアルバムのオープニングを感じ、2曲目の先行曲の1つとしてリリースされていた「Runaway」のダークなエモ路線とバッチリ合致する流れがまず最高だなと思わされました。
そして3曲目の「Sex with My EX」のイントロのギターに合わせての歌い出しなんかはこういうエモバンドの曲あるよな〜という感じで、生前彼が自ら旗頭となって、体現していたエモトラップのロックとヒップホップのクロスオーバー感をもう1段階上のレベルで表現したような曲で素晴らしや。
エモトラップならぬエモ・ポストトラップ
個人的には最近、近年復活し、再注目されているアメリカのエモ・ポストロックバンドのAmerican Footballが1999年にリリースした『American Football』を知人に教えてもらって以来、結構な頻度で愛聴しているのですが、そのテイストというかエモ・ポストロックを特に感じたのが、6曲目「16 Lines」と8曲目の「Hate Me」です。
「16 Lines」は逆再生音も効果的に使ったメロウなテイストで、「Hate Me」は、太めのファンキーなベースラインも印象的ですが、ウワ音とギターの使い方がホント、自分が今ハマっている先述のエモ・ポストロックのリフをサンプリングしたような感じがするので、アルバムの中ではハイライトはこの2曲だなと。
さらに付け加えて言うならアルバム発売直前の先行曲としてMVも公開されている「Life Is Beautiful」も先述の2曲に比べるとギター感は少ないですが、メロはホント、American Footballに通じるものがあると思いました。これについては、自分が今、American Footballにハマっているというのもあるかもしれませんが(笑)。
あとボーナストラック2曲を除けば、最後のディストーション強めの「Fingers」もまさにM83ラインというか、エモ・ポストロックバンドのアルバムのラスト曲っぽさがあって、自分の中ではこのアルバムは総じて、エモトラップというより、エモ・ポストトラップ的な作品だなと思っています。
プロデューサーのSmokeasac絶対エモ・ポストロック好き説(仮)
そういう意味ではこのアルバムの存在をLil Peepの死の直後から明かし、今作のプロデューサーを務めたSmokeasac(スモーカサック)のエモ、ポストロック志向がよく反映されているのかなぁと。まあ、Smokeasacがエモ・ポストロックに造形が深いかどうかはわかりませんが、収録曲を聴いてる限り、こいつ絶対そっち系好きだなと思います。
余談ですが、Lil Peepの前作アルバム『Come Over When You’re Sober, Pt.1』収録曲「Awful Things」は、以前トリビュートとして、彼が生前ファンだったというGood Charlotte(グッド・シャーロット)がカバー。
ですので叶わぬ夢ではありますが、『Come Over When You’re Sober, Pt.2』 収録曲のうち、1曲で良いのでAmerican Footballがカバーしてくれたらめちゃくちゃ俺得すぎて小躍りするレベルで嬉しいです。
最後に同アルバムからは、先述の「Life Is Beautiful」含め、先行曲のMVも公開されていますが、聴いているとそこはかとなくアメリカンなエモバンド(ポストロックを含む)を感じるため、荒野を横断するように伸びたハイウェイ、そこを疾走する車、場末のカウボーイがいそうなバーなんかが頭に浮かんできます。今後、もし、ほかの収録曲のMVが制作されるならそういう感じのMVも公開してほしいものです。
あっ、そういやLil Peepのドキュメンタリー制作の話もあったので、そちらも続報に引き続き期待ですね。
以上、お後がよろしいようで。
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Top Image via Lil Peep