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Daft PunkトリビュートDJ Mixを披露したDance System、実は筋金入りのフレンチハウス信者説

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ちょっと前の話になりますが、以前は、「Night Slugs」の設立者の1人で以前はL-Vis 1990名義で活動していたDance Systemが、BBC Radio 1のAnnie Macの番組でDaft PunkトリビュートDJ Mixを披露しました。

 

このDJ Mixは、先月突如発表されたDaft Punkの解散を受けてのもので、Mix中にプレイされたDaft Punkの「Teachers」にあわせて、彼らに影響を与えたDJ Deeon、Todd Edwards、K Alexi、DJ Tonka、Dave ClarkeなどDaft Punkの師匠筋にあたるプロデューサーたちからの音声メッセージが加えられていたことが非常に印象的でした。

Annie Macは番組でDance SystemをDaft Punkをトリビュートするにふさわしい人物として紹介していましたが、それは本当にそのとおり。特にその特別な「Teachers」からは、Dance Systemの心意気、花の慶次でいうところの"いくさ人"の魂のようなものを感じました。ということで、"Dance Systemさすがやで!"なわけですが、振り返ってみるとDance Systemってマジもんというか、筋金入りのフレンチハウス信者なんですよ。

元々、L-Vis 1990名義ではダブステップ移行のUKベースの旗手の1人という立ち位置を獲得していましたが、一時期そのスタイルを封印。その後、Dance System第1期では、インダストリアルなテクノスタイルを打ち出してており、以前、BROKEN HAZE氏がやっていたユニット「BETAPACK」なんかはそれをかなり意識していたと思います(昔、そんなことを本人と話したことがあるような)。

 

ただ、その音楽的嗜好は、以前、「Night Slugs」のもう1人の設立者、Bok Bokにインタビューした時(2016年)に、レーベルとしてはそのフェーズは終わったと言っていたとおり、翌年のL-Vis 1990名義のアルバム『12 Thousand Nights」では、シンガーやラッパーを迎えてのベーシーなダンスホール、トラップとなり、再びベースミュージック回帰していたことを記憶しています。

そして、2019年頃から、Dance System第2期がスタートし、今に至る。なわけですが、この時期の音楽性はテクノ寄りな曲もあるものの、ハウシーな曲も増え、特に去年からは「Let's Go!」、「Hands in the Air」(意外にもコラボレーターはあのハドモ)のような、Daft Punk一派関連曲で知られる「Roulé」や「Crydamoure」を通過したフレンチタッチなフィルターハウスもリリースしています。

このスタイルの変化にDance Systemサウンドの従来のファンは、若干戸惑いもあったかもしれませんが、思い返せば、L-Vis 1990時代にも彼はThomas Bangalterの「Roulé」作品のひとつ、「Spinal Scratch」のブートレグを公開していたほか、Dance Systemとして、Factの名物企画「Against The Clock」ではフィルターハウス曲を制作する様子を披露。しかもそれを自身のBandcampで「Get It On」という曲名でリリースもしています。

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ちなみにこの曲、Daft Punk一派の影響を感じさせる往年のフィルターハウス具合がモロすぎて、自分のようなフレンチタッチ狂、フレンチハウス信者からすると思わずにやけてしまうレベル。しかもちょっとマニアックなことを言うと、現代に制作されたこともあって、音質、音圧がモダナイズされた今様の"フレンチハウス"という感じのため、「Roulé」と「Crydamoure」の遺伝子をばっちり受け継いでいることがわかってヤバい。

まあ、何が言いたいかというと、Annie Macの前口上は正解だということ。その言葉通り、今のUKクラブシーンでDance Systemほど、Daft PunkのトリビュートDJ Mixを披露するのにふさわしい人物はいないんじゃないかなと私も思うという話です。

その証拠にDance Systemさん、去年リリースした『Relentless EP』の収録曲「Get Freaky」では先述のDaft Punkの師匠の1人でシカゴハウス/ゲットーハウスのOG、DJ Deeonとコラボ。一見するとこれはシカゴオマージュなのですが、個人的にはこれはシカゴと見せかけたDaft Punkオマージュなんじゃないかなと、彼のフレンチハウス信者ぶりを知ってしまうと疑わずにはいられません。

ちなみにDJ Deeonは、UK・グラスゴーの人気レーベル「Numbers」から、90年代に自身が発表したシカゴ・ゲットー・ハウスの傑作シングルの編集盤「DEEON DOEZ DEEON!」をリリースしています。こちらも今の音質に対応するべくリマスターされている(といっても2015年リリースですが)のでDJ諸氏は要チェックです!収録曲の中でも特におすすめは「2 B Free」、"飛べる"ゲットーマナーのハウスです。

それにしてもこんな感じのゲットー・ハウスにフィルターかけることを当時、思いついたDaft Punk一派、マジでコロンブスの卵的発想力の持ち主だなと...。結局、Daft Punkは、偉大な存在だった。それに尽きるという話です。以上、お後がよろしいようで。

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