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「COSMIC LAB presents EXPANDED」XRライブ配信で見た「2021年版ハナタラシ」と「QUASAR」がヤバすごすぎたという話

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2月7日にオンラインライブ配信プラットフォーム「LIVEMINE」より配信された、COSMIC LAB主催"リアルとヴァーチャルが交錯した音と映像のショーケース"「COSMIC LAB presents EXPANDED -Audio Visual XstReam Live Sessions- 」が端的に言って凄すぎました。

 

元々、自分ら世代のサブカル、アングラ音楽好きは確実に一度は通るであろう、BOREDOMSのEYEちゃん。自分だとBECKの某アルバムのジャケデザイン、V∞REDOMS時代の活動だったり、当時住んでいた京都のクラブ・WORLDのフライヤーに載っていた"パーティー界の長嶋茂雄"という異名だったりが未だめちゃくちゃ記憶に残っているだけでなく、『Chocolate Synthesizer』の1曲目「ACID POLICE」の某フレーズをサンプリングして遊んだり、SUPER ROOTSシリーズの話で盛り上がっていたことを覚えています。

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そんなEYEちゃんがXRライブパフォーマンスをすると知り、その情報を得た時から全裸待機状態だった私。当日は、渋谷PARCOで現在も開催中のエキシビション、『“LAG ED” EYƎ exhibition』に足を運び、滝に打たれる代わりにノイズに打たれて身を清めた上で、配信ライブ視聴にのぞみました(連れて行った娘がノイズが怖くてギャン泣きしてしまい非常に申し訳ない気持ちになった)。

 
 
 
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このように配信開始前から個人的にテンションと期待値は爆上がりだったわけですが、実際の「COSMIC LAB presents EXPANDED」、まさにタイトルにある通り、自分の感覚、ビジョンが"エクスパンデッド(拡張)"されると言った感じで配信中は終始、度肝を抜かれっぱなしでした。

 

イベントのオープニングを飾ったのは、先述のEYEちゃんとCOSMICLABによる異次元の音と光のパフォーマンスをXRで増幅を試みた「PYLONORG」。これを見た自分の感想を平たく言えば、2021年バージョンの"ハナタラシ(HANATARASH)"という感じで、かつてサブカル雑誌で見知った、そして、大人になってからYouTubeのおかげで当時の映像を見ることで追体験したあの伝説が、パンデミック下で最新テクノロジーによってアップデートされ蘇る。そして、XRテクノロジーによって、EYEちゃんのビジョンが可視化可能になった。といった感じでした。

ライブ映像では、ARがコーンを振り回すEYEちゃんにフィルター的にかけらた感じだったり、EYEちゃん自体がもうリアル"DJ光光光"になるくらい眩く文字通り輝いたりするシーンが見られました。あとノイズもPCで見ていたからか、今の時代っぽい、デジタル感があるハイフリーケンシーな聴こえ方をする部分もあったので、なんかもう本当に2021年のハナタラシでした。

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このハナタラシに関しては、その存在を知らないと伝わりにくいと思いますが、興味を持った方は、下の動画を見ていただけるとなんとなく本稿で私が言わんとすることがご理解していただけるんじゃないかなと思います(マジ下の動画と今回のパフォーマンス見比べてほしい)。

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同じノイズ繋がりということであれば、こういったXRライブでMASONNAのライブも見てみたい。そんな風に思わされた配信ライブでもありました。

そして、ある意味「PYLONORG」よりも衝撃を受けたのが「QUASAR XR」という演目。

こちらは、COSMIC LAB開発の音と映像を同時に奏でる楽器”QUASAR”を用いたショウケースで、DMC5年連続世界一の偉業を持つ元KIREEKのDJ YASA率いるPlant Recordsとのライブセッションとのことでしたが、一言でいうともう本当に未来のライブパフォーマンスという感じ。XRを用いた配信ライブだからこそのライブパフォーマンスの拡張性がものすごかったです。

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QUASARを使ったライブパフォーマンスが気になったので事前に過去のそれを使ったものをチェックしていたのですが、今回は操作に連動する形で配信画面上にARのレイヤーが加わっていました(そう見えた)。

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河内音頭や雅楽の笙、BOREDOMSやOOIOOの活動で知られるYoshimiOの声といった音ネタが入ったQUASARのホッケーのパック? のような丸い物体を動かし、発音させると同時に配信画面上にARでビジュアル的にも浮かび上がる仕組みになっていたので、これにはマジでびっくり。一見の価値がありすぎて、見られたこと自体に感謝したい気持ちでいっぱいです。

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また、今回はCOSMIC LABだけでなく、VJをルーツに持つBACKSPACETOKYOも参加。BACKSPACETOKYOは、去年のPUNPEEワンマンライブ"Sofa Kingdomcome"、関西を拠点に活動するプロデューサー、Kafukaとの「現実に侵食するCG」、「Cross-Reality」がテーマのXRライブでも使用されたリアルタイムAR演出システム「Chausie」による最新のパフォーマンスを先述のKafukaとともに披露していました。

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ソーシャルディスタンスを確保する形で行われた昨年のMUTEK.JPのリアルイベントでは、観客スペースを3DCGで再現する映像付きのパフォーマンスを行なっていたKafuka。

今回は彼がプレイするステージの背面にスクリーンを背負ってのパフォーマンスとなりましたが、そのスクリーンのVJ映像とARが重なることで、配信画面越しにはなんというか飛び出すVJ映像みたいな感じに思える部分もありました。

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今後、このARによってビジュアルが飛び出してくる感じが、いかにしてリアルの空間に落とし込まれるのかはめちゃくちゃ期待。個人的にはスマートグラスとかよりも、SF映画で出てくるような"3Dホログラム"みたいなものとくっついて、その感じが現実世界にインストールされたらめちゃ良いなと思いました。

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COSMIC LABとBACKSPACETOKYOはイベントの最後の演目で「SPECIAL XRVJ SESSION」も行っています。

これは、今後もっとこういったXRシステムが汎用化し、いわゆる普通のクラブやそこでプレイするDJ、VJのパフォーマンスにインストールされたとしたら、近い将来、こんな感じの表現が毎週末クラブで体験できるようになるのかな? ということへの期待膨らませるものでした。

先述のようにクラブに"3Dホログラム"を発生させる装置だったり、ARにも対応するスマートグラスみたいなもの(実際はAR/MRグラスとスマートグラスは似て非なるものっぽい)をみんなが当たり前につける習慣が確立すれば、なんか実現できそう。あくまで素人意見ですが、そんな風に思えたので、次はこういった未来のクラブDJ、VJを感じるようなものをリアルの場に立って体験してみたいものです。

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あとそもそものDJプレイもカッコ良かったです。特に最後にかけていたこのどことなく昔のneco眠るを感じる曲がめちゃイケてました(Shazamの判定なので間違っていたらすいません)。

最後に。

この「COSMIC LAB presents EXPANDED -Audio Visual XstReam Live Sessions-」は、明日2月14日いっぱい(2月15日0時まで)、アーカイヴ視聴用チケットを購入することで視聴可能です。

チケット価格は1500円ですが、確実に元が取れること間違いなしなので、BOREDOMSを通過したサブカル好きのDJ、VJはもちろん、最近バーチャルライブに興味を持った音楽ファンは、チケットを購入して視聴することをおすすめします。

アーカイヴ配信チケットの購入はこちら。

*昨年執筆担当したバーチャルライブ/配信ライブのインタビューやコラム記事の一覧を作りました。

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all images via LIVEMINE/COSMIC LAB presents EXPANDED