毎度のことですが、その卓越したDJセンスと選曲スキルで掲げたテーマに沿った最高のDJ Mixをドロップし続ける謎のDJ、カルロスひろしが、4月の90s日本語ラップで夏を表現した『中央分離帯でGOODNIGHT』に続き、もう1人の謎のDJことやなぎトライブと再タッグ。青い夏をテーマにしたDJ Mix『青夏』を公開しました。
カルロスひろしとやなぎトライブが奥の細道を通り青い夏の訪れを告げる
この新作Mixの冒頭を告げるのは、現在はS/名義で活動するFKA Soccerboy(かつてSoccerboyと呼ばれた存在)による、あの俳聖松尾芭蕉の「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也〜」で始まる『奥の細道』を引用したナレーション。それから始まる約35分のカルロスひろし&やなぎトライブがナビゲートするサウンドジャーニーは、わびさびを感じる5LACK x OLIVE OIL「もういい」という超弩級のムーディー日本語ラップへと繋がります。
SUPERCAR x ゆるふわギャングに心奪われる
さらにMixは、SUPERCAR(スーパーカー)の名曲「Strobolights」をネタに再構築した「Strobolights(ゆるふわギャング version)」というドリーミー極まりないアンセムに着地。
ちなみにネタ元のオリジナル曲はSUPERCARの名盤『HIGHVISION』に収録。さらにゆるふわギャングは同アルバムに収録された「Strobolights」と並ぶ名曲「YUMEGIWA LAST BOY」ネタの「YUMEGIWA LAST BOY(ゆるふわギャング version)」もリリースしているので、そちらも気になった人は是非チェックしていただければと。
日本語ラップとインディーを絶妙にブレンドするアプローチって最高
その後Mixは、人気インディーバンドのCero「Double Exposure」に続くという、カルロスひろし系ではまた新しいアプローチを見せるのですが、それもまた”SUPERCARからの”という部分を考えると抜群のつなげ方だなと。
そのほかに、The Killer(ザ・キラーズ)が2004年に世に送り出したインディーアンセム「Mr. Brightside」ネタのkZm「Dream Chaser feat. BIM」、yahyel「Rude」と現行のオルタナティヴな日本語ラップ、インディーR&B系サウンドを織り交ぜていくところはさすがの一言。
日本語ラップとJ-POP、それらが持つ文学性をMixで表現
そして、個人的にすごく好きな曲、Taeyoung Boy × Droittte「KIRI」というMura Masa(ムラマサ)系のこれまたインディー系テイストの日本語ラップもあったりしたと思ったら、以前のカルロスひろしのMixでも使用されたNujabes(ヌジャベス)オマージュな曲「Roll Up(Tribute)」も最高だったNF Zessho「Velvet Sofa (Another)」からの、からの、今年のJ-POPシーン最強新人シンガー小袋成彬「門出」という文学めいた歌詞の曲にスムースに音源をシフトしていくところは本当に最高すぎです。
勝手な意見ですが、今回はなんというか日本語ラップとJ-Popの文学性をMixで表現している感がすごい。「これぞ、DJ的言葉遊び」とでも言いましょうか。やっぱDJ Mix作りはなんだかんだ言ってもセンスと曲の背景やそこ込められたメッセージを読み取ることなんだな〜と改めて実感させられました。
回を重ねる毎にアップデートされているカルロスひろし関連DJ MIX
変な話、カルロスひろし仕事は毎回秀逸なのですが、それが回を重ねる毎にアップデートされている気がするので、正直、次も楽しみにするしかない。そんなことを声に出して言いたいなと思いながら本稿を綴らせて頂いております、はい。
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