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cero有料配信ライブから感じた電子チケット制ライブストリーミングの可能性について語りたい件

f:id:fantasydub:20200314031605j:plain3/13、21時より配信されたceroの電子チケット制ライブ「Contemporary http Cruise」観ました。この有料配信ライブは昨今の新型コロナウイルス感染拡大によるイベント自粛の影響により、元々予定されていたバンドの仙台公演中止を受けて、急遽決定したものとのことですが、良き内容でした。というかcero、マジかっこいい。

 

有料の"電子チケット制配信ライブ"という試み

ceroにとっても初の電子チケット発行を活用した有料配信ライブとのことですが、本配信には以前、当webzineでもご紹介させて頂いた、電子チケット販売プラットフォーム「ZAIKO」の新システム「ライブ配信 電子チケット」を活用。有料配信チケットの料金は1000円で販売され、500円単位からの投げ銭も可能でした。

ちなみに投げ銭はチケット購入時にこんな感じで行えるようになっていました。

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最近のイベント開催自粛に伴う無観客ライブ配信は、ファンにとっては経済的な面でありがたい部分がある反面、本来ライブを行うことで、収益を得られたはずの演者、プロモーター、ヴェニュー、各種スタッフにとっては中々に頭の痛い問題です。

そのため、クラウドファンディングや投げ銭制を活用されることもありましたが、今回のように配信を”イベント化”し、チケットを有料で販売する例はこれまであまり見られなかったと思います。 

しかしながら、その流れも今回のceroの電子チケット制配信ライブをきっかけに拡がっていきそうな予感。やっぱり前例ができるとそれに続く流れが出来上がる。そういった動きと連動するかのようにケーブル販売で有名なオヤイデ電気さんが、配信ライブに伴うケーブル貸し出しプロジェクト「オヤイデ電気・配信サウンドサポートプロジェクト」を始動。

このサービスでは、オンラインでの配信ライブを実施するアーティストやイベントへ、マイクケーブル、ラインケーブル、電源タップ、電源ケーブルなどオヤイデ電気製品が貸し出され、高音質にこだわった配信ライブが実現するとのことです。

pointed.jp

 

気がかりだった音、映像のクオリティも満足いくレベルでした

また個人的に今回の有料配信ライブでちょっと気がかりだった配信ならではの音飛びと映像の問題ですが、それもただの懸念に終わりました。音飛び自体は1~2度くらいはあったものの、驚いたのは映像のクオリティ。私は仕事用のMacbook Air(Retinaディスプレイではないモデル)で配信ライブを視聴していましたが、映像の粗さを感じることなくストレスフリーで観られたので満足です。

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”イベント自粛”、思うことはあるけど自分ができる形でサポートしたり、楽しむことが大事なのでは?

新型コロナウイルス感染拡大に関しては、人体よりももはや経済の方が深刻なダメージを受けつつある印象。株価、為替相場の急落は今後の世界経済の先行きを暗くしていく懸念があります。

また人体への影響に関していえば、日本よりも海外の方が深刻でイタリア、韓国では医療崩壊、俳優トム・ハンクスから政府要人への感染が報じられるなど、ようやく出されたWHOのパンデミック宣言の言葉どおり、まさに世界的なパンデミック状態に。

とはいえ、今、色々言われているPCR検査をしようがしまいが特効薬はないので、自助努力による予防に務めるしかないわけで。そのためにも情報リテラシーを高め、エビデンスに基づいた情報を各自で収集する必要があります。

ただ、その情報収集が困難…。この前、”テレビ番組を見るのは情弱だけ。しかしながらテレビ番組の方が高度なリテラシーが求められるというパラドックスが発生”している的なツイートを見かけましたが、本当にそんな感じがしてなりません。

 

個人的にはテレビ番組だとか行政だとかが”誤った情報を発信している、もしくは情報を隠している”みたいなことはあまり考えたくないです。そうだったら普通に怖いし、嫌すぎる..。

しかし、これだけどこからでも情報が発信され、中にはデマも含まれたり、扇情的なものが色々と蔓延している”ポスト・トゥルース”な時代では、脊髄反射ではなく、情報の正確さを確かめることと考えた上で理性的な行動をとることが必要だと思います。

もちろん個人的にも”イベント自粛”は色々な面で思うことがあるだけに、状況を踏まえつつ、まずは自分ができる形でサポートしたり、楽しむことがファンとしての在り方なのでは? と思っています。

ちょっと脱線してしまいましたが、今回のceroの有料配信ライブは見終わった後に、次はライブに行ってみたいと思わせてくれたのが良かった点です。これに関しては視聴した人なら結構多くの人が思っていることだろうし、未確認ですがすでにSNSでつぶやかれているんじゃないかなと。

最近、海外では”クラバーの聖地”ベルリンではクラブが新型コロナウイルスの感染者源になっているという報告やアメリカでは国家非常事態宣言が出される可能性が取り沙汰されたりしているため、RDCも中止理由に挙げていたように海外アーティストの来日はアーティストに対して入出国時の拒否や隔離のリスクを背負わせることにもなります。そのため状況次第ではフェスのような大規模イベントは今後もキャンセルが続く可能性も考えられます。

 

その意味で有料配信ライブチケットは、観客にとってもイベント側の人間にとってもメリットがあると思いました。こんなことを書いてはいるものの、何か特別に自分ができるわけではないのですが、ひとつの意見としてここに記しておきたいと思います。

5G普及後は”ミックスドリアリティ”要素がある有料ライブ配信登場にも期待

ちょっとコロナ騒ぎで忘れらた感はありますが、今年はかの「5G元年」。事態が収束後、5Gが普及すればその特性を活かしたリッチな映像とインタラクティブな視聴体験による配信ライブもそのうち届けられることになりそうです。

そうなれば、MR(ミックスドリアリティ)要素を詰め込んだ配信ならではのライブコンテンツも生まれそうですし、配信ライブの価値も上昇するし、チケットの価格もよりその価値に見合った額に設定できそう(もしかしたら配信ライブチケットの方が高額に設定されるなんてことがあったりして)。そう考えると今回のceroの配信ライブはマジで有料配信チケットの可能性を次に繋げたのではないでしょうか?

私としてはArcaあたりにそういうコンテンツを是非とも制作して頂きたいと最近公開された「@@@@@」MVを見ていて思いました。このブレイドランナーよろしくなSF世界観を味わえるMRなライブとか味わってみたいですね。

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ちなみになにやらSXSWは、ヴァーチャルでミートアップイベントを実施するそうです。

なお、cero「Contemporary http Cruise」はチケット購入者の場合、1週間アーカイヴで楽しめるとのこと。また本来ライブ後に販売される予定だったツアーマーチの販売もスタートしたようなので、ファンの方は是非。

(マーチにはカクバリズムのECサイトで使えるクーポンも適用可能な模様)

 

テックが支えるエンタメ界隈の”空白期間”

余談ですが私は今回がcero初体験でした。でも見事にどハマり。まずは音源を聴きまくるところから始めて、バンドに関することなどを調べたのち、ceroリテラシーが高まった状態化した上でアーカイヴを楽しもうかなと思っています。

そんなわけで早速、この「魚の骨 鳥の羽根」という曲が超好きになりました。ジャジーなベースラインとエレピの響き、良き良きですね。

youtu.be今年、エンタメ界隈は予期せぬ”空白期間”に迎えることになりましたが、EC、ライブ配信、電子チケット、スマホ決済などテックな部分が今、エンタメを支えていることは興味深いですね。

そうそう、中国では新型コロナウイルス猛威を奮う中、配信ライブが人気を博し、視聴者からの投げ銭が約1600万円も集まるなんてこともあったそうな。

以上、お後がよろしいようで。

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