2018年4/20に訃報が報じられたEDMシーンの巨星Avicii(アヴィーチー)。その後、遺作アルバムのリリースに関する噂が持ち上がり出し、これまでに幾度か報じられてきましたが、Aviciiの死後、約1年後となった今月、特設サイトが立ち上がり、生前、彼が新作アルバムの制作をほぼ終えていたことが改めて公式に明かされました。
Avicii遺作シングル「SOS」だが地元メディアからは辛口気味な意見も
同サイトに公開されたTEAM Aviciiの声明によると、Aviciiのコラボレーターたちは残された完成間近な楽曲のコレクションとその音楽に関するメモ書き、メールのやり取り、テキスト・メッセージを元に制作を続け、彼のイメージに近づくことを目指していたといいます。
またそこで明かされた情報でもっともファンを沸かせたことといえば、4/10(日本時間4/11)にシングル「SOS」、そして6/6にアルバム『TIM』という遺作リリースの発表でだったかと思います。
ちなみに6/6は、彼の故郷スウェーデンの建国記念日ということもあり、同国民にとってはまさに地元が生んだスターに想いを馳せるにふさわしい1日になるのかな〜と勝手に思っていました。しかしながら最近の地元メディア「Aftonbladet(アフトンブラーデット)」に掲載されていた記事を読んでみると一概にそうとも言い切れない模様。懐疑的というか、リリース前にもかかわらずかなり辛口な意見が述べられていました。
「SOS」は本当にAviciiがリリースしたかった形になっているのか?という疑問の声
まず「Aftonbladet」では、今回の遺作がAviciiの死後に完成したものであるため、本当に彼が生きていた場合のビジョンをもとに作られたものと同じようなものになっているのか? その出来上がりを疑問視しているような部分も見受けられました。
それについては、先述の声明で書かれていたことでもあるのですが、完成度については生前のAviciiの曲と聴き比べた場合も人によって評価が分かれそう。そういった予想もできるため、それを判断することはなかなか難しいのでは? と思います。またAftonbladetでは生前のAviciiが鬱を発症するほど完璧主義だった点に着目。それほど自分の音楽に対するこだわりを持っていた人物像が今回の意見に影響を与えている部分だと思われます。
「SOS」にはAloe Blaccが参加
「SOS」には、Avicii作品では大ヒットした「Wake me up」でフィーチャーされたAloe Blaccが参加していることが最近の報道によって明らかになっています。また新曲の歌詞については、Aviciiのドキュメンタリー映画『Avicii: True Stories』の簡単な要約のようなもので、鬱々とした気分で助けが必要な人物(Avicii)を”地下世界”から誰かが救い出し、それはドラッグよりマシで何らかの心の平穏を与えるといった感じの内容だと説明しています。それだけにAloe Blacc(アーロー・ブラック)の歌は非常に不気味かつ落胆的で、今、それに耳を傾けるのは非常に寂しいとのこと。
ちなみに「SOS」はすでに一部のティーザーが公開されていますが、記事によるとフックとビートは2010年代のヒットチャートを席巻してきたEd Sheeran (エド・シーラン)の「Shape of you」に似せた感じだと評しており、この曲は”Aviciiベスト”的なプレイリストには選曲されることがないかもしれないと危惧。
Snippet #Avicii feat. Aloe Blacc #SOS (New April 10th 2019) From Swedish TV this morning.The song will be released 9 PM in Europe. #NewAviciiSong2019 #AloeBlacc #AviciiSOS #Avicii2019https://t.co/odLbNDzTFq
— baffe (@baffe2012) April 10, 2019
またK-POPやBillie Eilish(ビリー・アイリッシュ)がチャートを牛耳る現在のチャートに受け入れられるコマーシャルなポップスを本当にAviciiが自分の音楽として制作することを考えていたのだろうか? と疑問を呈しています。さらに完成度に関してはまだリリースされる段階ではなく、リフレッシュされたデモ段階レベルの仕上がりで、もっと洗練されて良くなるべき曲だと手厳しく評しています。
リリース後の世間の評価が気になる
おそらくこの記事の書き手はかなりのAviciiファンのため、このような厳しい意見を述べていることももちろんあるかと思いますが、昨今、話題になることも少なくない死後にリリースされる"遺作"問題に関して、基本的に否定派なのかもしれません。この辺りに関しては個人の思いれによるところがかなり大きい気もしますが、果たして世間のAviciiファンはこの遺作第1弾をどう捉えるのか? 気になるところです。なお、この記事を執筆している時点では「SOS」リリースまで後数時間。その時点ですでにAftonbladetは、同曲のアートワークも公開しています。以上、お後がよろしいようで。
追記:「SOS ft. Aloe Blacc」配信開始。
Avicii「SOS」がリリースされました。現在は、ファンが寄せたAviciiとの思い出が曲にのせて紹介される動画「SOS (Fan Memories Video) ft. Aloe Blacc」も公開中です。
また同曲の制作の裏側に迫るショートドキュメンタリー動画の「The Story Behind "SOS" ft. Aloe Blacc」も合わせて公開されています。こちらにはAloe Blaccが出演し、新曲以外にも「Wake Me Up」について語るシーンも。
さらにAviciiの「Pure Grinding」制作に関わった音楽プロデューサーのKristoffer FoagelmarkとAlbin Nedlerも出演。「SOS」制作について語られます。
また特設サイトには同曲の歌詞も掲載中。内容的には先述の地元メディアが紹介していたとおり、Aviciiの苦悩が綴られたまさに「SOS」という感じのものになっている印象を受けました。かなり悲痛な歌詞というイメージを受けたため、どことなくエモトラップ的だなとも思いました。気になった方は是非特設サイトでご確認ください。
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Top Image via Aftonbladet
Reference: Aftonbladet, Avicii Special Site