ブースの魔術師によるAphex Twinトリビュート
ターンテーブル、ドラムマシーン、キーボード、パッドなどを巧みに操りながらマジックのような即興性の高いパフォーマンスと「Ovum」、「Dirtybird」、「Royal Oak」など名だたるレーベルからのリリースで知られるブルガリアのDJ/プロデューサーのKiNK(キンク)。
そんな彼が2010年に「Sharivari Records」からリリースした Aphex Twinのトリビュート盤である「Aphex KiNK EP」が、リイシューされることになりました。
オリジナル盤は当時限定300枚のカラーヴァイナルとしてプレスされ、Aphex Twinの変名Caustic Windowから名付けられたと思われる「Soda Caustic」、音が見えたり、色が聞こえるという共感覚(Synaesthesia)持ち主である言われる彼にあやかって名付けられたと思われる「Synaesthesia」、代表曲のひとつ「Come to Dady」よろしくな最近のKiNK作品からすると物珍しいアシッドIDMな「Daddy Acid」の他2曲を含む5曲収録。
注目は追加されたロックド・グルーヴ
今回復刻されるリイシュー盤には、さらにKiNKによる12曲分のロックド・グルーヴ(Locked groove)が追加された内容になるようです。
ロックド・グルーヴと言えば、よく引き合いに出されるのがビートルズの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』で、これは簡単に説明すると、レコードの再生が終わらずに延々とループ再生される特殊な盤面仕様のこと。
テクノ系のアナログ・レコードはたまにこういった特殊なリリースがあったりして、(ループ溝とかとも呼ばれることがあるやつです。)、例えば、Richie HawtinのMinus YellowというEPには6曲分のロックド・グルーヴが収録されています。実際の再生の様子はこんな感じ。
ちなみに「Aphex KiNK EP」は、Discogsのマーケットプレイスでは、日本円で¥7,477という値段が付いていることからそこそこのレア盤と言えるのでは?
リイシュー盤は、deejay.deのこちらのリンクでプレオーダーと先述の5曲+その他のロックド・グルーヴの視聴が可能です。
KiNKがロックド・グルーヴで作る音
ここでKiNKのロックド・グルーヴに関する興味深い動画を見つけたのでついでにご紹介。
この動画ではKiNKさん、自らロックド・グルーヴのレコードをDJ Mixして、全く新しい曲を作ろうとしています。
使用されているのは、ベルリンのテクノ/ハウスプロデューサーのStefan Goldmannが制作した実験的なループを収録したロックド・グルーヴ盤「The Grand Hemiola」。微妙に拍をズラしたり、調整しながらブレンドし曲を即興で新しい形にしていく姿はさすがです。
こんな感じでレコードを買った人はAphexトリビュートを楽しみながら、それにインスパイアされたループをMix、音素材にして遊んだりと1つのEPで、その他の楽しみ方もできるオイシイ内容となっているため気になっています。
また、ロックド・グルーヴが気になった人は、一度”Locked groove”でYouTube検索してみてください。色々な動画がヒットします。その中にはトラック制作に使えるちょっとしたネタもあったりしますので…
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Reference: RA, Discogs1, 2, 3, YouTube
Top image by Peter Vulchev via KiNK Facebook
Text by Jun Fukunaga