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Yves Tumor、東京を魅了したグラムロックスター然とした立ち振る舞いにシビレまくった件

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今年9月に、名門レーベル「Warp」からアルバム『Safe in the Hands of Love』をリリースしたYves Tumor(イヴ・トゥモア)が、先週12/20に東京に緊急来日。渋谷・Contactにて来日イベントが行われたので足を運んでみました。

 

東京で行われたYves Tumorの緊急来日ライブ

Yves Tumorの『Safe in the Hands of Love』については、「時代を切り拓く謎の先駆者となるのか?」という触れ込みのもと、今秋頃から散々評論されているので、芸術性だ、なんだかんだは各自グーグル様に尋ねて頂くのが良いかと思いますので、本稿では割愛させて頂きますが、私、個人としての同アルバムの感想は端的に言って、というか身も蓋もない言い方をすれば、ポストロック。さらにもっと言えば、かつてエレクトロ全盛期によく言われた「ギターをラップトップに持ち替えた〜」のくだりを今に持ち込んだ感のあるポストロックなのかなと勝手に思っている次第です。

Safe In the Hands of Love

Safe In the Hands of Love

  • Yves Tumor
  • エレクトロニック
  • ¥1500

 

『Safe in the Hands of Love』は例えば、アルバム冒頭を飾る「Faith In Nothing Except In Salvation」でのど頭いきなりのジャズフレーズで始まる曲があったかと思えば、『Age of』以前のOneohtrix Point Never(ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー)風、ノイジーかつベーシーなIDMチューン「Economy Freedom」があったり、往年のJoy Orbison「Hype Mango」のようなビートが際立ったダブステップのような「Honesty」、マッドチェスター感のある「Noid」、モロにポストロックな「Lifetime」、強烈にサイケデリックな「Let The Lioness In Your Flow Freely」など、幅広く端的にいえばアヴァンギャルドでサイケで、その猥雑な感じがまたアヴァンギャルドで…みたいな感じがするのですが、個人的にはこれの答えはもうポストロックで良いだろ? みたいに思ったため、個人的にこれはもうポストロックです。

ただ、何が秀逸かというとこういった幅広い音楽性を1つどころにまとめて、公開している自身のビジュアルワークにリンクする「Yves Tumorっぽいな」といったイメージと見事に当てはめてるところは、やはり彼が才能あるアーティストである所以なのかなと思います。

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グラムロックスターのように妖艶な立ち振る舞いのYves Tumor

そんなYves Tumorのライブは、先述のとおり、ギターをラップトップに持ち替えたロックスター感がものすごかったです。むしろ、ロックスターというよりはグラムロックスター寄りの妖艶さがありました。ルックス的にもピンクの髪、細身の身体にレザージャケット、タイトなトラックスーツのような出で立ちだったこともあり、よりそんな感じがしましたし、どことなくZiggy Stardust(ジギー・スターダスト)が現代でライブをやったらこんな感じの魅せるパフォーマンスをするのかなぁなどとも思いました。

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あとかなりマイクにディレイ、エコー系のエフェクトをかけている場面もあり、全体的にサイケさ2割増しくらいだったのもその怪しさ、妖艶さを増幅させるのに一役買っていたのかなとも。それと、個人的に大好きなロックスターの1人、Primal Scream(プライマル・スクリーム)のBobby Gillespie(ボビー・ギレスピー)の姿がダブって見える場面もあり、打ち込みなんだけど、すごくロックしていたのが良かったですね。(アルバムにもちょっと昔のPrimal Screamライクに聴こえる曲があると思っていたからかもしれませんが…)。

 

キャパ的にはそこまで大きいベニューではなかっただけに、次はこのキャパではもう見れないのかな〜と思うところがありつつも、例えばフジロックとか野外フェスのような大きな舞台でも観てみたいと思わされました。特にライブ中は、ノイズとディレイが大好物な私は、アルバムでも超絶サイケさが炸裂するアシッドIDMフォーク的「Licking An Orchid」待ちみたいなところがあったので、それが披露された際の轟音ノイズと照明からはまさに至高のサイケヴァイヴス。

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個人的にはすごく大満足なライブセットだったかなと。加えて、どこかで観たことがあるライブ時の立ち振る舞いだなと当日思っていたのですが、どことなく日本のバンド、女王蜂のアヴちゃんを彷彿とさせる感じがしたので、次回来日時は、対バンとかもやってほしいです。

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Yves TumorとAphex Twinの奇妙な縁

ちなみにYves Tumorはアメリカ・テネシー州出身ながら現在は、イタリアのTurinを拠点に活動中。Turinといえば、所属レーベル「Warp」の看板アーティストAphex Twin(エイフェックス・ツイン)が、今年新作EP『Collapse EP』リリース前に、謎の3Dロゴ、通称”崩壊(Collapse)”ロゴが出現した場所です。このあたりもWarp、Aphex Twinのマーケティング戦略なのか、ちょっと気になるところですね。以上、お後がよろしいようで。

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Top Image via beatink
source: wikipedia