2017年の年の瀬、突如ネット上を席巻した”スティーブ・ジョブズ風のリコーダーおじさん”MVをネタ系オンラインメディアが取り上げたことにより、一部でバズったEd Bangerからの刺客ことVladimir Cauchemar(ウラジミール・コシュマール)のMV「Aulos」。その奇作に続く新たな彼の狂気がふんだんに詰め込まれた「BASIK YELLOW」なるMVが公開されていました。
Vladimir Cauchemar x Cardi B x フランス版Childish GambinoことOrelsan
「BASIK YELLOW」は、今や超人気フィメールラッパーの代名詞となった感があるCardi B(カーディ・B)の出世作「Bodak Yellow」と、ソングライター、俳優、映画監督、さらにはアニメ『ワンパンマン』のサイタマ役として声優もこなす、フランス版Childish Gambino(チャイルディッシュ・ガンビーノ)aka ドナルド・グローヴァー並にマルチな才能を持つラッパーのOrelsan(オレールサン)の「Basique」という2曲をマッシュアップしたものを軸に、その「Basique」のフレーズをご丁寧に自ら吹き直したフレーズを加えた狂気的な三位一体”ジェットストリームアタックリミックス”になっています。
*Orelsanの日本語表記は他にも"オールサン"、"オエルサン"など複数ありますが、本稿ではオレールサンを採用
これが新時代の”ヘンテコエレクトロ”だ
よくエレクロニックな音楽界隈では音のテイストを表現するのに”へなちょこ〇〇”とか”ヘンテコ〇〇”のようなワードが使われますが、今回のVladimir Cauchemarによるマッシュアップ x リミックスはまさにテン年代後半に生まれた新時代の”ヘンテコエレクトロ”といった感じで、絶妙に気が抜けたリコーダー音が「Aulos」同様、中毒性にあふれていて、私的にはめちゃくちゃツボです。
Cardi Bにリコーダーを持たせる狂気の所業が発動したMV
そんな新作音源となる「BASIK YELLOW」ですが、Vladimir Cauchemarらしく、公開されているちょっとしたMVもまた狂気的。こちらは「Basique」のMVをベースにパロったものになっているのですが、見所は何と言ってもリコーダーを持たされたCardi Bのシュールな姿。特にガイコツマスクを被らされたOrelsanが歩く脇で、無限に増殖していく偽Cardi B feat. リコーダーはシュールすぎて笑えます。
Busy P、Vladimir Cauchemar好きすぎ説
ちなみにこのVladimir Cauchemar、クラブの現場でもドクロマスクは常時着用のようで、今年パリの有名クラブ「Rex Club」で行われたEd Bangerのレーベル設立15周年パーティーにも出演。「Aulos」のあのリコーダーフレーズでクラバーたちをロックしている姿も動画で確認することができます。
また同じくレーベルの15周年を記念したたEd Banger歴代代表作をオーケストラカバーで演奏する企画でも「Aulos」はリリースから間もないにも関わらず、そちらのプレイリストにも名を連ねています。そのことからこの狂気的な刺客をレーベルオーナーのBusy P(ビジー・P)がいかに気にかけているかがわかります。そのことから事実はさておき、「もしかして次のDaft Punkに育てようとしているのか?」なんて妄想もフレンチ好きとしてはしてみたいなと。
あとこれは究極に余談ですが、Busy Pは元Daft Punk(ダフト・パンク)のマネージャーだけあって、Ed Bangerの先述のオーケストラカバーライブにはDaft PunkのThomas Bangalter(トーマ・バンガルテル)も姿を現していた模様。しかも素顔で…。
もしも夢が叶うならThomas BangalterにVladimir Cauchemarについてどう思っているか質問してみたいものです。以上、お後がよろしいようで。
▶︎あわせて読みたい記事はこちら