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Oneohtrix Point Never、カンヌ・サウンドトラック賞を受賞

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実験音楽~現代音楽シーンのキーパーソン、Oneohtrix Point Never(ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー)が、音楽製作を手がけた映画『Good Time』が、現在開催中のカンヌ国際映画祭で、カンヌ・サウンドトラック賞を受賞しました。

今回、彼が手がけた映画『Good Time』は、2014年の東京国際映画祭にてグランプリと最優秀監督賞の2冠に輝いた映画『神様なんかくそくらえ(Heaven Knows What)』を手がけた監督BenとJoshuaのSafdie兄弟による新作で今年のコンペティション部門で上映されたクライム・スリラー作品です。

Oneohtrix Point Neverは、この作品で、Iggy Popを迎えた「The Pure And The Damned」、Hospital Escapeという楽曲を提供しているようです。また、これらの楽曲の一部は現在、公開されている映画のトレーラーで視聴可能の模様。

ちなみにHollywood Reporterによれば、映画自体もカンヌでは大盛況だったようで、上映後には6分間に渡りスタンディングオベーションが起こったそう。気になる公開日はアメリカでは8/11ですが、日本では今のところ未定のようです。

そういえば、今年のカンヌでは、Netflixで配信予定の作品が出品されたことで、「伝統的な映画の興行形態を破壊している」という批判が出ていましたね。

格式高いカンヌ映画祭ならではのものだと思いますが、昨年、Chance the Rapperがストリーミングのみのアルバム『Coloring Book』をリリース後に、これまでになかった形態の作品であるこのアルバムを従来のセールスチャートのポイントに換算してチャートインさせたり、グラミー賞にノミネートさせたりと、柔軟に対応してきた音楽業界と比べたら、その対応はいささか厳しいというか、時代遅れな感じがしないこともない...

個人的な意見になりますが、そのあたりがフィジカルなCDではなくデータ、ストリーミングでの流通がメインになっていきている音楽業界と、まだまだ新作は映画館で観るものという認識が一般的な映画業界の差なのかもしれませんね…

ともあれ、Oneohtrix Point Neverの快挙は喜ばしいこと。ちなみに昨年、発表された「Sticky Drama」のMVで見せた実写版「裸のランチ」のような奇妙でチープなSF映画風の映像は、音のインパクトの強さも相まって、1度見てしまったら、美と破壊を高らかに謳い上げるかのような摩訶不思議な世界観の虜になってしまうほどの中毒性を持っています。それだけに私は今でもたまに見返してしまいます。

そうそう、今年のカンヌといえば、Phoenixが楽曲提供したSofia Coppolaの新作映画も出品されていました。そちらについてはこちらでどうぞ。

 

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Source: Fact, Hollywood Reporter1, 2 engadget
Top image by Maxwell Schiano