letter music

日々更新される音楽情報を読み解くWebzine

音楽誌NME、紙媒体発行終了発表に時代の流れを感じる…

f:id:fantasydub:20180308113741j:plain

最近の若者にとってはもしかしたらあまり馴染みがないかもしれませんが、イギリスの有名音楽雑誌NMEが紙媒体での発行中止を発表しました。

NMEオンラインフル移行後にはラジオや有料の紙媒体を開始

発行中止の理由は、生産コストの上昇と厳しい広告市場のためであり、現在も発行しているデジタル版にフル移行し投資を集中させるためとのことです。

また同誌の名物企画であるカバーアートとそこに抜擢したアーティストへのインタビューはデジタル版のNME Big Readというコーナーに移行。そのほか、ネットラジオを2つ開始したり、新たに有料版のNME Goldをスタートさせる予定があるようです。

1952年から66年もの間、イギリスの音楽カルチャーを牽引してきたNME。個人的には10代半ば頃に、日本のストリートファッション誌だったかで『Be Here Now』をリリースしたばかりのOasisのインタビューを読んでブリットポップに目覚め、そこからNMEやらQ magazineやら洋書の音楽雑誌を知り、タワレコの洋書コーナーで当時はあまり英語が得意ではなかったものの、ちょっと音楽通を気取って買い漁っていた記憶があります。う〜ん、懐かしい…。

このことを報じたThe guardianを読んでいると、日本もそうですが、イギリスでも当然、紙媒体での雑誌を取り巻く状況は厳しいようで、読者のオンライン志向に加えて広告収入を得る意味でもデジタルへの移行が進んでいる模様。また、これも今っぽいですが、ひと昔前なら新しい音楽をディグる場のひとつだった音楽誌も今や、Spotifyなどストリーミングサービスの台頭でそのお株を奪われ、読者離れの原因にもなっているそうな…。

確かにというか、今の若者にとっては音楽情報なんてものは、基本的にはネットでチェックするものであり、わざわざ雑誌を買って…というものではないのかもしれません。特に紙版のNMEは週刊誌であり、毎日更新されるオンライン版の方がもはや慣れ親しんでいるという方が普通なのでしょう。改めて情報化社会の波を感じます。

NME発行終了から改めて考えたこと

ずっーと前から言われている”消え行く紙媒体”。NMEもその例外に非らず。ちょっとした諸行無常感…。その反面、インディーレベルでは、物として残らないデジタルに反して、お手製のZineが都会のアーバンな若者たちの間で人気を博し、ちょっとしたブームになっていることから考えると今後、紙媒体というのは、そういったヒップスターな若者御用達化が加速する、もしくはそういう形でしか継続できなくなるのかな〜などと思ってしまいます。

ただ情報の受け手としては質がよければ、フォーマットは何でも良いという考えもあり…。かつてDJ間で起こったアナログDJ以外はDJに非らず論争も今は昔の話。もはやそんなことを耳にする方が珍しいレベルにまでなっていたりもするので、今回のNMEの紙媒体終了も、NMEがフォーマット問わず有益な情報を届けてくれるとそこに興味を持った読者が、逆に先述のZine的に、新しい紙媒体NME Goldに価値を見出していくなんてことも大いにありえそうです。それが収益の柱になるかはさておきといった感じではありますが…。

これについてはもはや周知の事実的ではありますが、デジタルで広告収入とファンベースを獲得して、話題作りのためのプロダクトプレイスメントとしてフィジカルを出すという、モダンなミュージシャンのビジネスストラテジーを音楽雑誌を手がける出版社が踏襲する時代が改めてやってきたんだなぁと今回のNME発表からは実感させられます。

ただ私と同世代だと例えば、若手の海外ロックバンドやミュージシャンの存在を知る時は大抵、”NMEで絶賛”とかそういう謳い文句で興味を惹かれていたことも少なからず経験してきたという人は多いはず。それだけに1つの時代の終わりを感じたというのもまだ事実…。個人的には引き続き、オンライン版でNMEを楽しませていただきたいと思います。

なお、NMEはロックのイメージが強いですが、最近はクラブ系、ヒップホップ系の記事も結構掲載されているので気になった人はオンライン版をチェックしてみてください。

▶︎あわせて読みたい記事はこちら

Text by Lady Citizen aka JF
Top image via Wapster
Source: The guardian