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「MAZEUM -メイジアム」日本人が知っておくべき国内アンダーグラウンド音楽ショーケースに遊びに行ってきたという話

f:id:fantasydub:20181212025929j:plain「そうだ、京都行こう」でおなじみ、日本の古都・京都にて11/30~12/1に「MAZEUM -メイジアム」なる音楽フェスが初開催されたので遊びに行ってきました。

 

日本の伝統文化とアヴァンギャルドシーンが共存する京都で新たなフェスが開催

同フェスでは、昨今、海外で活躍する日本人アーティストの増加や過去の日本人作品が評価される一方、そういったアーティストが日本国内ではあまり認知されなかったり、なかなか実力を発揮する場が少なかったり、オーディエンス不足で活動を継続するのがより困難になっている現実的な問題がある中、そういったアーティストたちを日本のオーディエンスにショーケースし、国内外の出演者とオーディエンスを交えながら共に成長していく先進的な音楽とアートの国際的プラットフォームとなることをコンセプトにしたもの。

その初開催の地となったのが、これまで日本の伝統文化とアヴァンギャルドシーンが共存する稀有な土地柄の京都。かつて京都市内に居を構えていた私としましては、そのくだりはものすごく実感できるなぁと思ったので参戦してきた次第です。

個人的な京都のアヴァンギャルドな思い出については下記のリンク先につらつらと書きつづっているので興味がある方はそちらをご参照ください。 

 

京都市内の老舗クラブや寺院が会場となったMAZEUM -メイジアム

あと今回、このフェスで会場になったのは京都が誇る老舗クラブ京都METROのほか、UrBANGUILD、Octaveといったベニュー以外に、法然院、誓願寺、極楽寺などの寺院を含む6箇所。プログラムは4部制となっており、私は11/30開催の第2部 at 京都メトロと12/1開催の第3部、市内の中心部の三条木屋町から新京極界隈でのサーキットに参加しました。

カザフスタンからやってきたNaziraが素晴らしかった

まず2部では、カザフスタンからやってきたNaziraのDJプレイが抜群に良かったです。2時間のテクノを中心としたセットでは最初はゆったりとした感じでスタートした印象を受けましたが、ロングセットならではのビルドアップの仕方で1時間経過くらいからは完全にフロアをロックしていました。

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ワルそうなアシッドテクノとか突き刺さるような激しいテクノがMETROに響き渡る様が最高にイケてる。そんな感じのDJセットでまさに発見という感じで「MAZEUM -メイジアム」主催チームのセレクト眼が光る人選だったなと。

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その場の空気すら変えるDJ Nobuの圧巻のDJプレイ

続いて登場したのは、日本を代表するテクノDJのDJ Nobu。世界の名だたるフェスやベニューであらゆるオーディエンスを沸かせ続けているその存在感はやっぱり本物。Naziraのプレイで十分盛り上がった後なのに、なんというか登場した瞬間から確実にその場の雰囲気というか空気が変わったことがヒシヒシと伝わってきました。もちろんその時点でフロアは大入り状態。

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陳腐な言い方ですが圧巻のDJプレイに京都のオーディエンスは酔い痴れたことだと思います。が、私は次の日の昼は仕事のリサーチがあったため、午前4時前くらいに一旦離脱。宿に戻り就寝。初日を終えました。

 

第3部は市内中心部にあるライブハウスとお寺が会場

2日目、夕方頃から第3部に参戦するために再び会場へ。しかし、その会場のひとつだった極楽寺を何を勘違いしたか、北白川方面にある真正極楽寺と間違い、見当違いの方向へ。京都御所がある京都御苑界隈あたりで間違いに気づき、バスを降りる。目当てのアーティストまでまだ時間があったので、以前、京都に滞在した際に一度出かけた、今、京都でアツい飲みスポットと言われている京都府庁裏にある井倉木材でちょい飲みしようと向かうも夕方17時前にもかかわらず満席で入店できず…。

ちなみにこちらは秋にその井倉木材に行った際の写真。普段は木材屋さんですが、夜は立ち飲み屋に変貌を遂げるという魅惑のスポット。この記事を読んでいただいている「そうだ、京都行こう」な人は是非足を運んでみてはいかがでしょうか?

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第3部で志人 x スガダイローを見た!

その後、無事というのも長年京都に住んでいた身の自分が言うと変ですが、三条河原町界隈に到着。以前から気になっていたバンドの空間現代のライブを拝見。The Leftyをフィーチャーしてのライヴは会場のOctaveが満員状態になるほどの盛況ぶり。ステージからは異様な音像と熱気が伝わってくるという感じに加えて照明もトリッピーでまさにアヴァンギャルドなカッコよさだったなと。 

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その後はENDONもGOATも見たいとは思いつつも、目当ての志人 x スガダイローを見るために新京極にある誓願寺へ移動。とはいえ、まだ少し時間があるということでもうひとつのお寺会場の極楽寺へ。ここでのKoki EmuraによるアンビエントDJセットが何気に私的には「MAZEUM -メイジアム」の裏ハイライト。お寺の雰囲気も加味され、独特のサイケ感が良かったです。

 

で、ですよ。始まりましたよ、志人 x スガダイロー。実は10年以上前に、志人がメンバーだった降神のことが、私、すごく好きでCD-Rだった『降神』と『望~月を亡くした王様~』を聴きまくっていたのですが、初めてその降神のライブを見たのも、京都で行われたあるクラブサーキットイベント。それ以来の志人でしたがそのステージはもう完全に現代芸術。ラッパーというか確かに本人が自称するように吟遊詩人ですわ、ホンマ。

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例えばヒップホップ業界でサクセスを目指すのがラッパーの普通のスタンスですが、志人は完全に別ベクトルに向かっている感じ。例えとしてあっているかどうかはわかりませんが、ダウンタウンを目指すのが普通の芸人なら、アーティーなラーメンズを目指す独自路線とでも言いましょうか。しかも決してジャルジャルではないところがポイント的な。

詩種

詩種

  • 志人・スガダイロー
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1800

特に途中、スガダイローの演奏もあってかシューベルトの「魔王」のように感じるようなシーンもあって、ちょっと鳥肌モノでした。ちょっとうまく言葉にできませんが、とにかくこれは”モノが違う”、”別物”なんだなという感じがしました。

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そしてUrBANGUILDで行松陽介のエナジーフルでマッチョな肉体がダイナミックに動くDJセットを見て第3部も無事幕。行松氏、DJプレイもさることながらプレイ時の圧がすごい。まさに心身一体のDJセットだなと。

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第4部のMoor Motherがマジで気になっていたのですが、次の日は某お笑いコンテストのレビュー執筆という仕事があったため、あまり無理もできないので私の「MAZEUM -メイジアム」はここで終了。

 

DiploもKanyeもいないけど… 京都にはMAZEUMがあった

奇しくもその週末は東京にはDiplo(ディプロ)、Kanye West(カニエ・ウェスト)、ASAP Rocky(エイサップ・ロッキー)などメジャーどころのスターが滞在していることが話題になっていましたが、京都では完全に別ベクトルのアングラフェスが行われているという、いかにも私が愛した味京都らしいスノッブな事象が発生していたことは本当に奇跡ではないかと。

ちなみにサーキットタイプの第3部が面白かったのは各会場の配置。UrBANGUILD、Octave、誓願寺、極楽寺は地図上で見れば、これぞ京都な碁盤の目をほぼ横にスライドしていくように移動できました。その点でいえば、先述の北白川の極楽寺と間違えたのは本当に凡ミス中の凡ミス…。ちゃんと情報処理できる大人になりたい。そう強く思いました。

なお、余談ですがMAZEUMにはadidasの協賛がついており、9000円の2日通しチケット購入者には前面にアイコニックなトレフォイルロゴ、背面にMAZEUMロゴが入ったTシャツも特典として付いてきました。adidasのロゴTシャツってオリジナルスのショップ等で買うと確か4000円くらいだったと思うのでそういう意味でもかなりお徳な気がします。

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第2部と第3部のみの参加のため、自分が見た限りではありますが初開催のMAZEUMは大盛況だったのではないでしょうか? というわけでまた来年開催、新たな気づきやインスピレーションを参加者に与えてくれるこのイベントが開催されることに期待したいなと思います。以上、お後がよろしいようで。

追記:山川冬樹氏のライブ時の証明は京都のアーティストグループ・ダムタイプの方が担当だったとのこと。

 

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Top Image via MAZEUM -メイジアム