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Massive Attack名盤『Mezzanine』DNAデータ入りスプレー缶が限定発売、3Dがバンクシーについても言及している件

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今年4月にブリストルが生んだTrip Hopのスターグループとして知られるMassive Attack(マッシヴ・アタック)が、彼らが世に送り出した名盤の1つであり今年で発売から20周年を迎える『Mezzanine』をDNAデータとして保存するという計画を発表。この斬新な試みは発表当時、大いに注目を集めました。

 

DNAデータ化したMassive Attack『Mezzanine』

この計画について、すでに発表されていることを簡単にまとめると、Massive Attackは、スイスにあるチューリッヒ工科大学によって開発されたテクノロジーを用いて、『Mezzanine』をDNAデータ化することに取り組んでいるそうです。

Mezzanine

Mezzanine

  • マッシヴ・アタック
  • エレクトロニック
  • ¥1900

その取り組みでは、『Mezzanine』に収録されているデジタルオーディオファイルを92万個のDNS鎖に変換し、160ナノメートルの5000個のガラス球に保存されるとのことなのですが、学生時代、化学の成績がパッとせず、最近の最新テクノロジーにもぶっちゃけついていけているとは言い難い私からすると、ただ、ただ「スゲーな」くらいの感想しか言うことができない置いていかれっぷり。でもなんかスゲーでこれは正解なんでしょうね。

また『Mezzanine』は、今までにDNAを用いて保存されたファイルの中で2番目に大きいものになるそうですが、1番大きいものだとどれくらいのDNS鎖に変換されて、何千個の超ミクロなガラス球に保存されるのか、あまりよくわかっていないのに気になってしまうという私の野次馬根性ぶりもまあまあハンパないなと…。

 

世界で最初にDNA化した楽曲はMiles Davis「Tutu」らしい

ちなみに音楽をDNAに変換するという試みはMassive Attack以外にも取り組んでいるそうで、昨年はMiles Davis(マイルス・デイヴィス)の「Tutu」という楽曲が世界初DNA変換された楽曲になるそうです。ちなみにその楽曲は1986年にリリースされた同名のアルバム『Tutu』に収録。

アルバム自体は生楽器だけでなく、シンセ、ドラムマシンをかなりふんだんに取り入れており、リリースの一年後の1987年のグラミー賞「最優秀ジャズ・インストゥメンタル・パフォーマンス・ソロ部門」も受賞。しかし、当時のジャズ評論家からは酷評されたとのこと。

Tutu

Tutu

  • マイルス・デイヴィス
  • ジャズ
  • ¥1600

私的には特にクラブミュージックっぽい短いStabヒットから始まる「Tutu」のコズミックファンクをもっとジャズ寄りにした黒光りする生音と機械のハイヴリッドな漆黒のグルーヴに関しては、今聴いてもかなりフレッシュだな〜とか思ってしまうんですけどねぇ…。

youtu.be

それにしても曲名、最近の6ix9ine(シックスナイン)、Kodak Black(コダック・ブラック)っぽい曲タイトルだなとか思ってしまいました。

閑話休題。

DNAデータを塗料化した『Mezzanine』スプレー缶が発売

そんなDNA化も話題の『Mezzanine』ですが、最近、Massive Attackはそこからさらに一歩踏み込んで、なんとその音源情報をエンコードしてDNAデータ化した塗料入りスプレー缶を数量限定で発売することにしたそうです。またこのスプレー缶1本分には約アルバム100万枚分のデータが含まれているとのこと。もうかなり何がなんだがわかりませんが、とにかくなんかすごい感がハンパない…。

あと、このスプレー缶については、彼らの地元であるブリストルにグラフィティカルチャーを持ち込んだレンジェンドとしても知られ、かの芸術テロリストBanksy(バンクシー)もリスペクトする元グラフィティ・アーティストであるMassive Attackメンバーの3DことRobert Del Naja(ロバート・デル・ナジャ)も、「このDNAエンコードされたスプレー缶は匿名性を求めるストリート・アーティストが使用する可能性は低そうだが、過去の作品を保存する方法としては創造的な手段だ」とコメントを発表しています。

 

またBanksy=3D説を匂わせるような発言をする3D

ここでの匿名性を求めるストリート・アーティストとは、おそらく自分が正体だと噂される先述のBanksyのことを指すのですが、すでにご存知のとおり、最近、Banksyは、例の絵画『風船と少女』をオークション会場内で遠隔操作を使い、額に仕込まれたシュレッダーで切り刻むという行為自体をインスタレーション化。新たに『愛はごみ箱の中に(Love Is in the Bin)』という作品に作り変えるという前代未聞の行為で注目を集めていたことを考えると、この3Dのコメントはイギリス人らしく冗談まじりのシニカルさたっぷりかつタイムリーなコメントだなと感じました。

youtu.be

まあBunksyは覆面アーティストだからBunksyなんだと言う私の知人のような人もいれば、3D=Banksy説はロマンがあると感じる人もいたりもするので、究極的には正体が判明して欲しかったり、欲しくなかったりという感情の間を行き来しているわけなのですが、先述の3Dのコメントは個人的におもしろかったなぁと。

なお、スプレー缶に詰まった塗料化した『Mezzanine』をどうやって再生するのかについては明らかにされていないとのことなので、もしかしたらただのスプレーの可能性もあったりして…。そんな風に考えるとちょっと人を食ったような感じになるので、Banksyっぽいなとか思ったり思わなかったり…。以上、お後がよろしいようで。

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Top Image via Massive Attack
Source: Stereogum, NME, Wikipedia