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Karefulアジアツアーで謎多き上海のWaveシーンを体験してきたという話

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Waveのハードコア愛好家を自称している私ですが、先週末、所用が中国・上海であったため、偶然にもそのタイミングでアジアツアー中のWaveを代表するプロデューサーのKareful(ケアフル)の上海公演に遊びに行ってきました。

Kareful at 上海・ALLで観たこと、感じたこと

会場は上海の有名アンダーグラウンド系クラブで、毎週のイベントラインナップの素晴らしさで、ここ日本でもその名が知られているALL。同クラブは、以前、上海のベストクラブの1つとして知られていたShelterクローズ後に同じチームが新たにオープンしたクラブで、最近では東京のクラブWWWβと交換プログラム『上東』を行なっていたりもします。

実は私は今から6年ほど前、ロンドン在住時はかなり精力的に音楽制作やDJ活動を行なっており、その当時、1度Shelterで行われるイベントにブッキングして頂いたものの、その時は諸事情でプレイできなかったという経験を持っています。

とまあ、そんな個人的な思い出もあったりするのですが、今回、約3年ぶりに上海に足を踏み入れ、クラビングをしてきたわけですが、その間あちらのクラブ事情も、例えば、公共の場であるクラブの屋内が全面禁煙になったり、エントランス料金をスマフォでQRコードを読み込むだけで支払えるシステムが導入されていたり、細かな部分の変化も見られました。

何より印象的だったのは、そういったアンダーグラウンド系クラブのお客さんは、以前、少なくとも3年くらい前はヨーロッパ系や北米系、いわゆる外国人が多い印象だったのですが、そのクラブのオーナーに話を聞いたところ、最近は現地の若者が多くなっているそうで、「シーンは以前に比べて成長している。下手したらヨーロッパよりも上海を含む韓国など東アジアのシーンは刺激的かもしれない」というセリフも聞くことができました。

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閑話休題。

上海のWaveシーンの片鱗に触れる

そんな成長を続ける上海のクラブシーンですが、その私が遊びに行ったイベントでは先述のとおり、ロンドンより迎えられたKarefulがヘッドライナーだということは言わずもがななのですが、まだまだ上海ではアンダーグラウンドなものの、Waveシーンは根付きつつあるようで、Karefulのレーベル「Liquid Ritual」からリリースされたコンピレーションアルバム『Liquid Ritual Vol.1』にもトラックが収録されていたイギリス出身で上海在住のDJ/プロデューサーのDownstateや、「Genome 6.66 mbp」というコレクティヴ/レーベルのKhemistという若い中国人DJ/プロデューサーが中心として活躍しているようです。

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WaveとSoundCloudラップを織り交ぜたプレイスタイル

Karefulのプレイについては私個人としては昨年の東京公演で体験済みで、今回も約2時間ほどのプレイでは、Waveを軸にしながら、SoundCloudラップ系のトラップを織り交ぜた内容でした。

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気になったプレイ曲

その中でいくつか気になる曲があったのでShazamしてみた結果、まずNight Lovell(ナイト・ラベル)というカナダのラッパーの「Contraband」という曲がすごくイケてました。同曲は今から2年前にリリースされた『Red Teenage Melody』作品に収録されていて、こちら全体的にトラックがWaveに通じる耽美的な仕上がりになっているため、その相性も抜群だなという印象です。

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Red Teenage Melody

Red Teenage Melody

  • Night Lovell
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1500

その次にロンドン拠点のプロデューサーMisogiが同じくロンドンのグライムMCのAJ Tracey(アージ・トレーシー)をフィーチャーした今年の3月頃にリリースされた「Have U Seen」という曲が気になりました。こちらはよりSoundCloudラップよりなテイストのトラックですが、そこにグライムMCが絡んでくるところが非常に興味深いです。

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あと、その日のフロアの印象はWaveもさることながら、トラップのフロア受けがすごく印象的で、トラップがかかるとフロアにいる男女問わずみんなすごく踊る。そんな感じでした。

とはいえ、もちろんドープで耽美的なwaveもフロアでは機能していたので良かったなと。あとはこれは勝手な推測ですがSoundCloudラップとWaveを織り交ぜるのがどうやら今のWaveシーンのDJスタイルの1つの形のようです。実際に本場のロンドンでも同じなのかかなり気になるので、いつか現地で体験してみたいものです。

 

Downstateのオススメ曲

もちろん、先述の上海拠点のDownstateとKhemistのプレイも良かったです。(ちなみに彼らはその日はB2Bでプレイしていました)Downstateについては、前から名前だけは知っていたのですが、近年はWaveを積極的に取り入れているようです。

プロデュースする曲もそっち系で、オススメは「a l o n e ` f o r e v e r ¬」と、以前ご紹介した「Twin Capital」という京都と東京を拠点とするレーベルの設立者の1人であるHamacideとのコラボ曲 「i ' l l . w a i t」という曲が相当クールです。

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そのほかにもアンビエントやドローンも制作しているので、気になった方は是非彼のSoundCloudをチェックしてみてください。

Khemistのオススメ曲

そして、Khemistも所属する「Genome 6.66 mbp」もフリーキーかつクールな”エレクトロニクス”系が好きな人は絶対にハマると思います。同コレクティヴ/レーベルよりリリースされた『Compilation Vol.2 - Self Salvation』に収録されている「Luna」というストレートなWave曲は、Wave好きが聴くとシビれるはず!

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6.9 Kareful来日

残念ながら日本ではまだあまりWave系のトラックメイカー、プロデューサー、シーンの存在はまだあまり知名度があるという感じではありませんが、このように着実に東アジアにもWaveは浸透しつつあります。

そのテイストを感じられるのが、本日6/9、東京のFight Clubというベニューで行われるKarefulの来日公演。こちら、エントランスフリーで朝まで行われるそうなので、本場のWaveを体験してみたいという方は足を運んでみてください。

以上、お後がよろしいようで。

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