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電子音響音楽好き必見。Bandcampによる日本のフィールドレコーディング音源特集

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奥深いフィールドレコーディングのさらに奥の間へ

山、川、海の大自然や都会の喧騒、日常生活音といった環境音を録音して作るフィールドレコーディング。そんなフィールドレコーディングに特化した日本の音源をbandcampが特集しているのですが、これが非常に面白い。

「How Japan’s Landscape Inspired a New Kind of Electronic Music」という特集が紹介している音源は、アンビエント・ドローン筋は著名なアーティストLoscilらの作品で知られる電子音響音楽の名門「Kranky」や世界中のレーベル、主宰するWhite Paddy Mountainなどで知られるベテランChihei Hatakeyama、東京在住のイギリス人アーティストでレーベル「Diskotopia」のA Taut Line、テクノDJ/アーティストのAkiko Kiyamaら計13組の日本人アーティストによるもの。

ドキュメンタリーで観るフィールドレコーディングの世界

そして、最近のフィールドレコーディング界隈で有名なアーティストと言えばYosi Horikawa。国内外で行うそのレコーディング風景はドキュメンタリーとしてメディアから度々特集を組まれることも。

こちらは、ニュージーランド・オークランドで行われたもの。ニュージーランドと言えば、ハリウッドの大作映画『ロード・オブ・ザ・リング』のロケ地にも採用されたことでも知られるくらいの大自然の宝庫。

そして、日本の屋久島でも。フル映像はこちらのRed Bull Music Academyのページで視聴できます。

こういった感じで集められた音を使って作られた音楽がこちら。

録音された鳥の鳴き声や、森に踏み入れる人の足音などが印象的です。

そのYosi Horikawaの盟友Daisuke Tanabeの音源もbandcampはピックアップ。この2人がフィリピン・マニラで行ったフィールドレコーディングの様子も動画で確認できます。

元記事では極東のBoards of Canadaを彷彿とさせるようなIDM的なことが書かれていたりします。ピックアップされているアルバム『Floating Underwater』は繊細で美しいメロディーと緻密なビートのプログラミングが素晴らしいだけでなく、アルバムを通して聴くことができるビートは非常にバラエティーに富んでいます。

バウンシーなグルーヴの「Allergy」、Amen Breakが際立つ「Pinebee」がオススメです。

もしもJ DillaとMadlibがフィールドレコーディングに恋をしたら

その他のアーティストの中で特に印象的だったのは京都のKuromojiというアーティスト。この特集で初めてその音源を聴いたのですが、ピックアップされている『Autumn Leaves and…』というアルバムが非常に秀逸です。

J DillaとMadlibに影響を受けているらしいのですが、実際に聴いてみるとその感じはひしひしと伝わってきます。特に「Pond」、「Side A」のJ Dila感と「folks」のMadlib感のあるビートは感じ入るものがありますし、そこにフィールドレコーディングされた音、ノイズが絡んでくるのは結構な”発明”なのではないでしょうか? 今となってはもっと早く知っていればなぁ〜と思うくらい私の中の傑作盤という作品になりました。

ロシア・サンクトペテルブルグや、スウェーデン・ストックホルムにある海外レーベルからリリースを重ねてきたというSaito Kojiも要注目です。「prayer」という一曲の収録時間がなんと23分にも及ぶアンビエント大作はbvdubを豊富とさせる、音の向こう側に地平線が見える系です。勝手なイメージですが、古いゴダールの映画のラストシーンが似合うなと思っています。

甘く囁く暴力ノイズの季節

前半は綺麗めな音を紹介してきましたが、この特集にはアヴァンギャルドな音源もしっかりあります。例えば、日本の大衆ギャンブル・パチンコの音をレコーディングしたというPACHINKO MACHINE MUSIC、まあ、ノイズです。スカムです。80~90sのJapanoise、暴力温泉芸者などお好きな人は必聴かと。

Isamu Yorichikaというアーティストの別名義Toiret Statusも強烈です。録音したトイレを流す音に奇妙な編集を加えた「#35」で幕をあけるアルバム『◎omaru◎』は、Juke、Ghettotech、Breakcoreを抜群のプログラミング&エディットスキルとセンスでビルドアップした衝撃作です。

もしかしたらあまり音楽に興味がない人が聴いたとしたら、ただのアングラでカルトな作品かもしれませんが、DTMをやっている人にとっては、このスキル・センスは無視できないんじゃないのかなと。

トラックメイカーのセンスの有無を判断できるリトマス紙みたいなアルバムだと感じます。リリース元はOrange Milk、そう次にVaporwave界隈の鬼才Nmeshがリリースするレーベルです。

このように実験電子音響音楽の中でも奥深いフィールドレコーディングのさらに奥の間にあるといった日本のフィールドレコーディング音源。興味を持った人はbandcampの原文も是非チェックしてみてください。

そういやちょっと前にSoundcloudファンとbandcampファンの違いを表すミームがバズってましたが、あれ確かに正しい気がする…

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  • エレクトロニック
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Reference: Daily bandcamp
Top image by Nicole Ginelli
Text by Jun Fukunaga