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星野源サブスク解禁含む「最大級のJ-POPスター」という強みをフル活用した世界戦略がものすごいという話

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なんやかんやと今週は仕事が忙しく、まだ今週配信分のテラハを鑑賞できてなかったので、深夜0時を回った頃にゆっくり湯船に浸かりながらiPadでチェックしようと思ってたんですよ。そうしたら、なんとJ-POP最大級のスター、星野源の『DOME TOUR “POP VIRUS” at TOKYO DOME』がNetflixで配信されているではないですか!

 

J-POPスター”星野源”のスペックをフル活用した世界戦略が気になる件

おそらくというか、ファンの方ならすでにその情報はご存知かと思いますが、本日10/10より先述の映像作品がNetflix独占配信で公開されています。ただ、私はハードコアファンではないのと、J-POPは門外漢なのでそのことを全く知らなかったのですね。

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ですので、おお! となり、そのタイミングでちょっとTwitte検索。そうしたらこんな投稿を見かけました。

そう、最近は星野源の音楽サブスクもあったし、Perfumeもあった。しかもスピッツまであった。つまり、これまでJ-POP界隈で”暗黙の了解”的だったものが、シーン全体で解禁される流れになりつつあるのですが、そこに星野源がもう一歩踏み込んできたわけですよ。

Netflixでいえば、ちょっと前に宇多田ヒカルの『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』の配信もあったわけですが、これまで完全に従来のやり方でドメスティックなファンベース、しかもゴリゴリに強固なヤツを確立してきたお方が、昨今の音楽ビジネスの主流といえるサブスクに本気で進出していく様は、なんというかすごいなぁと思うわけです(ちなみにNetflixでの『DOME TOUR “POP VIRUS” at TOKYO DOME』は、日本語含む、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語の5ヶ国語字幕付きでした)。

というのも、星野源はミュージシャンとしての人気だけでなく、俳優としてもすさまじい人気だし、ラジオパーソナリティーとしても人気であったり、随筆家としても活動するなど、マルチに活躍されている人物。それだけにもう”日本の芸能界の至宝”的存在であり、国内マーケットに関しては制覇しまくりなわけです。

そんな人気者が、貪欲にさらなる活躍の場を求めて、海外に食指を伸ばす。これは繰り返しますが本当にすごい。私レベルのそこまで星野源について詳しくない人でさえ、そう思うのです。

 

サブスク解禁からの最新EP『Same Thing』、そしてワールドツアーにのぞむ星野源

最近の音楽サブスク解禁、Netflix配信は来週リリースを控える最新EP『Same Thing』だけでなく、11月23日からスタートする上海、ニューヨーク公演を含む「“POP VIRUS” World Tour」のプロモーションという意味合いも多分に含まれているわけですが、とにかく”持たざる者、持てるもの”という観念でいえば、圧倒的に”持てるもの”である星野源がそのビジネス面含めての影響力をフル活用して取り組む世界戦略は、スターならではの豪快ささえ感じるほど。

サブスク解禁とともに配信されたApple Musicのラジオプログラム「Beats 1」への進出(Pop Virus Radio)もさることながら、そこでのZane Rowe(ゼイン・ロウ)による”日本のスターがやってきた的な紹介(これに関しては人づてに聞いた話で恐縮ですが)は、確かに間違いはないなぁと。

日本人アーティスト、特にJ-POPアーティストの海外進出は、かつては言葉の壁だったり、歌唱力だったりで歌モノは厳しいと言われていましたが、それも今や昔の話。今では竹内まりや、山下達郎らシティ・ポップ勢の再評価のおかげだったり、K-POP勢の活躍、さらにはもうちょっとコアというか、厳密にいえば別レイヤーですが88rising勢の活躍のおかげで日本人、アジア人でも世界を舞台に活躍できるという流れが確立されています。

そこにJ-POPのスターが本人の影響力、そして”大人のパワー”を駆使して乗り込んでくるのは、鎖国状態と揶揄されていた日本におけるこの界隈ではものすごいターニングポイントになるのではないでしょうか?

余談ですがBeats 1で”Tatsuro Yamashita”の『サンデー・ソングブック』もOAしてよという話

ここからは勝手な想像ですが「Beats 1」にGen Hoshinoが出てきたとして、国内での反響と違い、海外からの反応はそこまでだったと思うのですよ。なんだったら、海外のFuture Funk以降の世代に日本人アーティストを訴求すると仮定した場合、確実にTatsuro Yamashitaのほうが安パイだったはず。なんてったってシティポップ再評価だけでなく、その流れであのTyler, the Creator(タイラー・ザ・クリエイター)もサンプリングしているわけですからね。

なんだったら『サンデー・ソングブック』をオンエアして、山下達郎に良い音質で〇〇を聴かせてほしいとリクエストするクレイジーなリスナーがいることも世界に証明してほしいレベルw

もちろん、コアなJ-POP、日本のドラマファンは世界中に確実にいる。その証拠に自分は日本の大河ドラマを”魔法”を駆使しして、英語字幕付きで毎週視聴しているマニアにイギリス在住時代に出会ったことがあるため、そのことに関しては自信があります。あと、あまり国内に住んでいると気に留めることはないかと思いますが、海外に日本のテレビコンテンツを届ける某クールジャパン系のサービスもあります(確かアジア中心だったかと)。

 

だから、Gen Hoshinoの存在に気がついている人も一定数は確実にいるのは間違いない。ただ、”日本のスター”という紹介が今の海外の普通の人にどこまで通じるのかは正直、未知数(これだけ若いラッパーが『Naruto』、『ONE PIECE』、『BREACH』にインスパイアされているにもかかわらずという現実がありますが…)。

それでも私の中のイメージでは、今回の星野源の世界進出はかつてキング・カズ、イチローなどのスターが日本を制覇し尽くしたのちに、満を辞してセリエAやメジャーリーグ挑戦した姿がタブって見えるわけですよ。決して、新庄だったり、大黒、西澤の世界挑戦だとかとは規模感というか、満を持して感が違う。

まあ、カズに関していえば、結果はあれでしたが、イチローの活躍は多くの方が知るとおり。ですので、是非星野源にはイチローばりの活躍をしてほしいなぁと。そういう意味ではワンオクの世界的な活躍は野茂的な感じなのかも。

閑話休題。

 

Superorganismとのコラボを世界はどう捉えるのか? 気になる…

そこで世界に進出の武器として星野源が持っていくEP『Same Thing』が興味深いです。こちらは国内に対しては人気ラッパーのPUNPEEをフィーチャーした曲「さらしもの(feat. PUNPEE)」が収録されているため、まあ盤石なのは間違いなし。特にPUNPEEとは「アイデア」に参加するMPC使いのSTUTSとのつながりもあるわけで…。

夜を使いはたして feat. PUNPEE

夜を使いはたして feat. PUNPEE

  • STUTS
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

気になるのはロンドン拠点で星野源と親交が深い日本人シンガーOrono(オロノ)率いるSuperorganism(スーパーオーガニズム)とのコラボ曲にしてEPのタイトル曲「Same Thing feat. Superorganism」の海外での受け入れられた方。Superorganismは、日本でも最近人気だし、海外でも一定の人気は持ってはいるものの、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)ほどの影響力があるかといえばそうではないのも事実。

ただ、個人的に注目しているというか、期待している点は、海外音楽メディアのPitchforkあたりがレビュー掲載して、そこでどういった評価を下すかというところです。Pitchforkはこれまでに日本人アーティストの曲もレビューしているし、この前もテラハとCHVRCHES(チャーチズ)のコラボを記事化していました。

 

Netflix面でも接点はあるし、先述のBeats 1のこともあります。ですので取り上げられる可能性はかなり高いのではないかと個人的には思うわけですよ。そして、もし、取り上げられた場合、そこでの評価が今後、いわゆる海外の音楽好きにとっての星野源を評価する基準値になってくる気がします。(これについてわかりやすくいうとM-1決勝の1番バッターの芸人さんみたいな感じかと)

おそらくコアなところではこんな感じの動きみたいなものが予想されますが、先述のとおり星野源はワールドツアーを控えているだけにそれまでにおそらくまた「持てるもの」のスペックを活かしたなんらかのプロモーションも行われるはずです。それがどういったものになるかは、正直、嫌味なしにめちゃくちゃ気になります。

圧倒的なJ-POPの成功者による海外戦略って、今後に続くアーティストや彼らを支える業界関係者にとってもかなり気になることではないでしょうか? ですので星野源、海外でも圧倒的に成功してほしいなぁ〜。と思う次第。

88risingと絡む星野源が見てみたい

あとこれは余談ですが、ここに今回でなくともそのうち88risingが絡んできそう。

というのも10/11にリリースされる88risingのコンピ『Head in the Clouds II』には、GENERATIONS from EXILE TRIBEとレーベルの看板アーティストの1人であるJojiとのコラボ曲「Need Is Your Love」が収録されたりもします。

また近年はMONDO GROSSO(モンド・グロッソ)再始動で国内を沸かせていた大沢伸一も新ユニットのRHYME SOとして「Just Used Music Again」という楽曲で同コンピに参加しています(この曲は、大沢氏が世界的に活躍したエレクトロ全盛期作品『The One』でも聴こえたような「ああ、これってShinich Osawaっぽいビートだな」って言いたくなる感じの曲なので世代の私としては好きです)。

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あとはレーベルの出世頭Rich Braian(リッチ・ブライアン)、Higher Brothers(ハイヤー・ブラザーズ)あたりの世界的なだけでなく日本でも知名度があるアーティストや、最近、音楽業界での再評価も著しい空山基デザインの採用なんかもレーベルのコンセプトに沿った”アジアの結集”感があったりするので、同コンピのエグゼクティヴプロデューサーはJojiですが、やはりレーベルのボス、ショーン・ミヤシロの戦略の巧みさを感じる部分です。

 

 

話が若干それましたが、それこそなんらかの形で星野源と88risingがつながれば、素人目には色々”Win-Win”のように思えます。星野源の『Same Thing』収録曲には未だコラボ相手が未発表の曲もあることですし、そこにJojiが入ってくるとしたら…。震えますね。

テラハでいえば、映画版『テラスハウス クロージング・ドア』で、あれだけやっててっちゃんがフラれてしまうレベル。あっ、そういやSuperorganismのOronoと『テラスハウス クロージング・ドア』に出演していた小田部氏は親交が深いそうで…。

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余談ですがこの記事を執筆している際のBGMは、10/8放送分の『星野源のオールナイトニッポン』。藤井隆おもしれーなと思いながら聴いていたのですが、現在は聴き終わってしまったので、Netflixで『DOME TOUR “POP VIRUS” at TOKYO DOME』流しています。ちなみにガッキーaka新垣結衣のかわいさが天文学的数値のインフレくらい毎回上昇しっぱなしだったあのドラマでおなじみ『恋』は、タイムコード1:26:30頃から披露されますよっと。

虚無の酒 aka ストロングゼロが染みる秋の夜長に。以上、お後がよろしいようで。

  追記:
直前まで伏せられていた『Same Thing』第3のコラボレーターは、今、世界的な注目を集める新たな音楽流行の震源地"サウスロンドン"シーンを代表するTom Misch(トム・ミッシュ)でした。

Tom Mischといえば、以前、星野源と対談を行なったことでも知られる人物。彼が共同プロデューサーとして参加したのEPの3曲目「Ain’t Nobody Know」。

Ain't Nobody Know

Ain't Nobody Know

  • 星野源
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 死後も絶大なる人気を誇るカリスマ・ビートメイカーで最近ではNujabes(ヌジャベス)ともにネットで人気の音楽ジャンル「Lo-Fiヒップホップ」の"ゴッドファーザー"としても崇め奉られるJ Dilla(J・ディラ)にインスパイアされたよれたビートをインディーポップに融合させた才人 aka Tom Mischらしさ効いたトラックになっているのが良きですね。

Beat Tape 2

Beat Tape 2

  • Tom Misch
  • オルタナティブ
  • ¥1500

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 Top Image via 星野源