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君は謎のDJ「カルロスひろし」とその日本語ラップDJ MIXを知っているか?

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ちょっと前にThe Roots(ザ・ルーツ)のラッパー・Black Thought(ブラック・ソート)が、ヒップホップラジオ局「Hot 97」のFREESTYLES ON FLEXで10分間ひたすらフリースタイルでラップし続けるということがありました。

youtu.be

リリックには、歴代の有名ラッパー、例えばレジェンドのRakim(ラキム)、Pharaohe Monch(ファロア・モンチ)、Kool G. Rap(クール・G・ラップ)やらKanye West(カニエ・ウエスト)、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)なんかの名前が出てきたり、シェイクスピア、聖書から引用したりととにかく壮大だったことが話題になっていました。

それをTwitterのタイムラインで見かけたことで気になり映像を見たのですが、正直なところ、英語かつラップなので、帰国子女でもないので、それだけでは内容が理解できず。なので、Geniusに上がっているリリックをチェックしてたのですが、それよりもそのリリックのアノテーション(注釈)を投稿しているコントリビューターの知識が半端ない。「マジこいつらラップ好きすぎだな」度数の高さに感心しました。インターネット万歳でございます。

ただこのように壮大なリリックも自分の場合はそのサイトがないと理解することもできません。「Gucci Gang」なる謎のワードを連呼しながら、金、ドラッグ、女について2分程度ラップする曲ならいざ知らず、コンシャスなラップとかを理解しようした場合、Geniusなしではツラい。

その点、自分の母国語である日本語を使ったラップは当然、耳で聴くだけで情報として入ってくるし、理解しやすくてやっぱりいいなぁと思ってしまいます。逆にいえば、SoundCloudラップとかは仮に英語がわからなくても音として捉えることでなんとなくキャッチーで歌えてしまうのも受けてるところなのかなーとも。

 

そんなわけで日本人にとって最も理解しやすいヒップホップといえば日本語ラップ。その音源を使い、抜群に良いDJ Mixを聴かせてくれるのが、川崎のスケートショップ・goldfishに所属する謎のDJ・カルロスひろし。彼については以前、同じgoldfishからリリースされたDJ MAYAKUのDJ MIXをご紹介した時にちょっとだけ触れましたが、マジで選曲センスが良いです。

彼のDJとしての良さはMixにストーリー性を持たせることができる点(どっかのDJのバイオっぽいですが)。その証拠にこれまでのDJ MIXのタイトルも「あなたがいるなら何度でも新しく生まれる」、「無くした時計が目を覚ます頃に」といったようにどことなく80年代とか90年代初期のトレンディードラマっぽいのですが、Mix自体がちゃんとそのタイトルをイメージさせる内容になっている点は非常に秀逸です。

そのカルロスひろしが、最近、新作MIX「会えなかった時間を今夜取り戻したいのです」をリリース。ジャケも往年の牧瀬里穂が出てきそうかつ山下達郎がバックにかかりそうな雰囲気で良い感じのクリスマス仕様になっています。また収録曲もメロウで、彼のセンスが光ります。

ちなみにMixのオープニング曲はC.o.s.a. & Kid Fresino feat. コトリンゴ「Swing at Somewhere」。コトリンゴの声はやっぱ良いなと思いつつ、Kojoe feat. Daichi Yamamoto「Cross Color」→Kashif「Be Colorful」からのYUKI「Yes」という3曲の流れが私的に前半のハイライト。その他、今月の日本語ラップの話題盤、NENE『NENE』からドリーミーな「Famous」など最新トレンドも押さえているところはさすがだし、Kojoe「Mayaku」はラップ抜きで考えてもトラックが超イケてます。

余談ですがそのKojoeの曲が収録されているアルバム『here』はトラックメイカー視点で見てもかっこいいトラックだらけ。インスト盤も出来ることならリリースしてほしいくらいクールなビートが聴けます。

here

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  • Kojoe
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥2000

そして後半のハイライトは最後2曲Toshiki Hayashi feat. Kan Sano & JJJ「Little Life」からのSTUTS「夜を使いはたして feat. PUNPEE」は冬の夜のアーバンの極み。クリスマスの夜を使い果たしてしまったから、「会えなかった時間を今夜取り戻したいのです」となるのかぁ〜というMixのギミックに感服します。カルロスひろしのこういうところはマジでニクい。ニク過ぎる!!

そういったストーリー性のあるMixを作れる、つまりDJ的な魔法が使える彼がプレイするとオシャレ感全開のKANDYTOWN系の曲がただでさえオシャレなのに3割増しでオシャレに聴こえます。出世魚が2段飛ばしで成長して名前変わる的なイメージ。

今年失恋して明石家サンタに電話がつながるも景品がたわしだった的な残念な人も、恋人や家族と楽しく過ごしたという人も、クリスマスの余韻を引き擦りながら今冬中聴いてほしいなと思います。また日本語ラップが最近気になるから知りたいという人にもぴったり。何より私自身、カルロスひろしの日本語ラップMIXシリーズで以前から勉強させてもらっているので、その辺りはひとつ信頼してもらえたらと。

Mixのトラックリストはこちらでどうぞ。そうそう、このMixはフリーDLなので落とすことも可能です。

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Text by Lady Citizen aka JF
Top Image via goldfish