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Bliss Signal初来日ツアーにCRZKNYとVMOが参加。音圧も電圧も地獄級なツアーに期待だという話

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最近、AIが作成したデスメタルを24時間オンエアし続けるという狂気のYouTubeチャンネル「DADABOTS ᴏғғɪᴄɪᴀʟ」がちょっとおもしろいなぁと思って、時々覗いています。

 

メタルとベースミュージックのキメラ音楽「Bliss Signal」初来日ツアーが気になる

音楽学校の名門として知られるバークリー音楽大学出身の技術者兼ミュージシャンのCJ CarrとZack Zukowskiの2人が開発した「DADABOTS」は、デスメタルを機械学習させることで、自動で音楽を生成しつづけるというなんともテックなAIプログラム。現在、YouTubeでオンエアされる音源のもとは、カナダのデスメタルバンド・Archspire(アーチスパイアー)を学習させた結果に基づいたAI版デスメタルになっているそうです。

興味深いのは、技術者の2人はこれまでに色々な音楽を機械学習させたところ、他の音楽だと出来は不安定だったそうですが、Archspireを学習させたものに関してはそれらに比べて”安定”して、音楽として聴ける類のものになったという点。インタビューでその技術者は、なぜArchspireの音楽だと安定という結果を得ることができたのか? を語っているのですが、その理由はバンドの音楽が早いテンポの曲だったため、先述のような結果を得ることができたのでは? と、なんだか偶然が生んだ産物的な結論を出しているところが興味深いなと思っています。単純に遅いテンポの方が、解析しやすそうだなと機械オンチの私は思ってしまうわけなんですが、事実は奇なり。そうでもないところに機械学習の可能性みたいなものを感じます。

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そんな情報を得た直後のタイミングで、昨年、メタルとベースミュージックを掛け合わせるというどえらいキレたコンセプトを掲げた『Bliss Signal』なるデビューアルバムをリリースした音楽ユニット・Bliss Signalの来日ツアーが決定したというニュースが飛び込んで来ました。

Bliss Signalのベースxメタルに加わったポストロック感

同ユニットはUKベースシーンにおけるインストグライムな作風で知られ、評価も高い気鋭のプロデューサーMumdance(マムダンス)とアイルランド出身のプロデューサーWIFE(ワイフ)が、ポーランドのフェス「Unsound」でのコラボをきっかけに結成されたというユニット。サウンドは、Mumdanceの音楽的なルーツであるハードコアを軸に置きつつ、これまたMumdanceの得意とする一風変わったブライムビート、低音でビルドアップ。さらに激しいギターリフを加えるなど、まさにマシーンメタルといった具合になっています。

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メタルにフォーカスして言えばアルバム収録曲の「Tranq」は、まさに先述のその路線を鬼踏襲。しかしながらメタル特有のノイジーなギターリフと高速ビートがカッコいいのですが、このユニットは轟音系ポストロック的なアプローチもかなり取り入れており、「Tranq」もそのため、My Bloody Valentine(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)のライブよろしくな感じで、轟音で全ての音を塗りつぶしていくかのような曲になっています。そのため、ベースミュージックファンだけでなく、ポストロック好きか聴いてもかなりアガるユニットではないかと。

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頭を下に向け、全てをノイズでかき消すんだ!という、往年のシューゲーザー的アプローチをベースミュージックに持ち込んだところは非常に興味深く、そのあたりにUKの音楽が好きな私は異様なノスタルジーを考えます。そういった意味ではエレクトリックミュージックでありながらも、ライブハウスで汗だくになりながら聴いてみたい。そんな願望も今回の初来日ツアーでは成就できそうです。

 

ツアーに同行するのはCRZKNYとVMO

ツアーは5/13(月)にTSUTAYA O-nest、5/14(火)に東心斎橋CONPASS、5/15(水)に名古屋HUCK FINNという全国3箇所公演という日程が発表されています。そして、彼らのツアーに同行するのは、日本が世界に誇る低音地獄大使CRZKNYと今、もっともライブハウス、クラブで電力を喰うユニットと称されるユニットVMO a.k.a Violent Magic Orchestraの2組。低音MAX、電力消費MAXという、字面がとにかく危険で、退廃的なムードすら漂っているために、来場者はB’zよろしく”ゼロ”になれる、”もう真っ白”な状態になれるはず…。

思い起こせば、昨年の5月もCRZKNYは、伝説の3枚組アルバム『MERIDIAN』リリパを彷彿とさせる最狂なライブを代官山Unitで披露していました。そこからまた約1年を経て、東京で彼の地獄伝説を更新するようなライブが予定されていることは、東京在住の私としてはありがたい限り。

www.jfmusicwritterclass.com

 

あとVMOとCRZKNYは、YMOの「ライディーン」を世界で最も凶悪にカバーしているので、東京だけでなくほかの日程でもこれが披露されることに期待したいですね。あー、生で聴いてみたい。

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ちなみに昨年、私は”テラスハウス”とともにCRZKNYをずっと観察し続けて来ましたが、今回のツアー東京公演の翌日はテラハ最新シリーズ『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』の配信がついにNetflixで開始となります。そこにも勝手に奇妙な縁を感じています。以上、お後がよろしいようで。

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