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Alva Notoことカールステン・ニコライの波形編集ソフトを使った音作りに迫る動画が興味深い

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実験電子音響音楽の最高峰と呼ばれるレーベル「Raster-Noton」のAlva Notoことカールステン・ニコライ(Carsten Nicolai)の音作りに関するワークショップ動画が非常に興味深いです。

 

波形編集ソフトから作られるカールステン・ニコライの音

Twitterのタイムラインでたまたま流れてきたことで知ったその動画、チェックしてみるとかなりコアなんですが、「ああ、なるほど! 」と思わされます。

そのワークショップは何年か前のCDR Berlinで行われたもので、そこでカールステン・ニコライが自身の音作りについてレクチャー。オーディオテストソフトのテスト音声を素材として使っている的な説明もびっくりですが、個人的に特に興味深かったのはDAWではなく、波形編集ソフトを使い、そこに取り込んだ音をいじりながら個性的な音作りをしている点です。
*追記:使っていたオーディオテストソフトはこちらのAudioTestというものでした。

youtu.be

レクチャー中、彼は取り込んだ先ほどの音を拡大し、その低音域部分をカット。それを編集ソフトに並べてフレーズを作っているシーンが見受けられます。

これだけ見ていると他のDAW、特にAbelton Liveでもやろうと思ったらできるんじゃね? と思わされたので、波形編集ソフトのメリットを調べてみました。

その結果「藤本健の“DTMステーション”」にそのメリットがまとめられていることを発見。詳細についてはこちらのリンクで確認してもらえればと思いますが、それを読んだ上で思ったのはこの手の音作りがしたい場合、波形編集ソフトはものによってはDAWよりもさらに細かい作業ができるので試す価値ありということ。

実験電子音響系のある意味変態的とも言える独創的な音作りを波形編集作業を通してやってみたいという人はこの方法を取り入れてみるのも良いのではないでしょうか?

ちなみに動画のコメント欄によると、カールステン・ニコライは、おそらくAmadeusという波形編集ソフトを使用しており、それにグリッドを打って使っているとのこと。

初心者はビートパターン打ち込みの参考に

取り込んだ音の波形編集となるとある程度の音作りへの情熱というかこだわりがないと細かい作業すぎてぶっちゃけ辛さを感じるだけの作業になります。そういったことを考えたら音楽制作初心者にはそこまでおすすめな動画ではありませんが、先述のとおりソフトの編集画面にグリッドが打たれているため、どの位置に音素材なり、MIDIデータを打ち込めばその動画のようなビート、リズムパターンになるかというのはわかりやすいです。

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なのでIDMやエレクトロニカ系の凝ったビート、リズムパターンを打ち込みたいけどなかなか上手くいかないという初心者にとっても何気にかなり有益な動画だと思います。

最後に余談ですがそういやRaster-Noton、ちょっと前にRaster-MediaとNotonに分かれていたけど、個人的にはまだまだAlva Notoは”Raster-Notonの人”というイメージだなぁーと。ちなみにNotonはカールステン・ニコライのソロ・ワークを発表するためのレーベルだそうです。

形の上ではRastermusicとNotonが合併してRaster-Notonが生まれる前に戻ったような感じですが本稿ではわかりやすくするため、"Raster-Noton"の人として書かせて頂いております。あしからず。

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Top image via Alberto Garcia