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Fawkesによるインダストリアルなポスト・ウィッチハウスなミックステープ『Death Is The Goddess』

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10年代初頭に一世風靡した耽美なエレクトリックミュージックのジャンル「Witch House」。総本山と化したTri Angleからリリースされた初期のHow to dress well、Holy Other、Balam Acabあたりの音源はその世界観とちょっと物憂げながらも耳馴染みの良いメロディーセンスで高い評価を得た作品かと思います。

 

その「Witch House」の世界的なブレイク前の怪しいCDRのコンピレーションに数多く収録されていた、一般的に知られる”売れたWitch House”からは到底想像できないような、初期衝動満載の荒々しくスカムでインダストリアルなノイズ満載のプレWitch House時代の音源をどことなく思い出させるのが、Tri Angleからもリリース経験があるRabitが運営するレーベル「Halcyon Veil」。

そこからドロップされたフランスの女性プロデューサーFawkesことSarah FoulquiereのMixtape『Death Is The Goddess』。これを聴いての感想は、プレWitch House時代にすでにWitch Houseのムーブメントから外れ、亜流化してから、数年経ってからポストWitch Houseとして人知れずシーンに舞い戻ってきた感がすごい。

Witch Houseの耽美さは保ちつつも、インダストリアルな筋肉をモリモリにしたその後の姿とでも言えば良いのでしょうか?

Witch Houseがルーツのひとつに掲げるCocteau Twinsをサイボーグにしたようなインダストリアルなテイストと混じり合った幽霊のささやきのような声ネタ使いに身も心もシビれます。

Fawkesは、2015年にセルフリリースした『Dawn Duskflower』というEP以降、コンスタントに作品をリリースしてきたわけではないですが、Juke/FootworkのプロデューサーJlinとも最近の彼女のアルバム『Black Origami』で再びコラボ、今年5月には『Death Is The Goddess』を「Halcyon Veil」からリリースしていました。

 

Witch HouseがDubstep以降のBass Music感とHip Hopのビート感を持っているとするならこのようなポストWitch Houseは、どこなく「PAN」あたりのインダストリアルなあの感じと共振するのかな〜と感じます。

プレWitch House時代のトラックが持っていた荒々しいインダストリアル感をもっと洗練させた上での様式美が備わったゴスR&B的な世界観。何より良いのがやりたい放題なのにある意味気分を害する嫌らしさみたいなものがないのがこの作品の良い部分ではないかと。初期衝動で暴れましたじゃなくて、学術的なカオスみたいなものというか。

音響音楽的なアプローチをしたポストWitch House。最近ノーマークでしたが今後このあたりもチェックだなと。

収録曲のうち、特に自由奔放なビートでブレイクコア的な要素とスーサイダルな声ネタ使いが印象的な「La Ghoula」という曲がおすすめです。

Arcaのようなダークな美しさ、つまり耽美的な感じがする音楽版「悪の華」みたいなデカダンさにヤラれたい方は是非、一聴を。

 

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Death Is the Goddess - EP

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Reference: Fact
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